【介護・障害福祉】事業の開業準備チェックリスト|指定申請前後に確認すべき項目と実務のポイント|社会保険労務士法人エンジー

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【介護・障害福祉】事業の開業準備チェックリスト|指定申請前後に確認すべき項目と実務のポイント

【介護・障害福祉】事業の開業準備チェックリスト|指定申請前後に確認すべき項目と実務のポイント

公開日 2026/09/05

社会保険労務士法人エンジーでは、介護サービス事業所・施設や障害福祉サービス事業所を運営する事業者様に向けて、実務に役立つ情報を発信しています。今回は、開業準備時のチェックリストについて取り上げていきたいと思います。

介護事業や障害福祉サービス事業を開業する際には、指定基準の確認や物件探し、指定申請書類の作成、そして人材の採用から労務管理まで、多岐にわたる準備が必要です。本記事では、介護・障害福祉サービス事業の立ち上げを検討している方へ向けて、開業までの全体スケジュールと、指定申請の前後で見落としがちな実務上のチェックポイントを整理して解説します。

1.【介護・障害福祉】事業の開業準備における全体スケジュール

介護・障害福祉サービス事業の開業には、法人の設立から事業所の指定を受けるまで、一定の準備期間が必要です。ここでは、一般的な全体のスケジュール感と大まかな流れを整理します。

指定希望日から逆算して、3〜6ヶ月前を目安に準備を開始する

介護・障害福祉サービス事業の指定日は、多くの自治体で毎月1日付とされていますが、申請期限や事前相談の時期は、指定権者やサービス種別によって異なります。たとえば愛知県所管分・名古屋市の介護サービスでは、指定希望月の約2か月前までに申請書類の提出・受理が必要となる運用が示されており、名古屋市の障害福祉サービスでは図面相談や申請書類の点検にも別途期限があります。[3][4][12]

法人設立、物件契約、人員確保、図面相談、申請書類の補正対応などを踏まえると、指定希望日の3〜6ヶ月前を目安に準備を始めるのが実務上望ましいです。通所系・施設系サービス、共同生活援助、就労継続支援A型などは、さらに早めの準備が必要になる場合があります。[2][12]

【一覧表】介護・障害福祉サービス事業立ち上げの大まかな進行フロー

事業開始までの一般的な流れを一覧で確認します。以下は、指定希望日から逆算した開業までの主なステップです。

時期の目安主なタスク・準備内容
6ヶ月前事業計画の策定、法人設立、資金調達の準備
4〜5ヶ月前物件の選定、事前協議(必要な場合)、人員基準の確認
3〜4ヶ月前物件の賃貸借契約、内装工事、スタッフの採用活動開始
2〜3ヶ月前指定申請書類の作成、自治体窓口への提出・補正対応
1〜2ヶ月前備品の搬入、スタッフの研修、雇用契約・就業規則の整備
開業日(指定日)事業開始、利用者受け入れ、届出・要件確認が完了している加算の算定開始

※申請書類の提出・受理期限や図面相談の時期は、自治体・サービス種別によって異なります。必ず指定権者の最新案内を確認してください。[3][4][12]

2. 【指定申請前】開業準備の重要チェックリスト

指定申請を行う前に、事業の基盤となる要件を確実に満たしておく必要があります。ここでは、申請前に確認すべき4つの重要ポイントを解説します。

チェック1:法人格の選定と定款・登記の準備

介護・障害福祉サービス事業を行うには、原則として法人格が必要です。また、定款の目的には、実施するサービスに応じた適切な事業内容を記載しておく必要があります。[1][2][3]

定款の記載に不備があると、定款変更や変更登記が必要となり、申請スケジュールに影響することがあります。就労継続支援A型など一部のサービスでは、法人の事業目的や運営主体について追加の確認が必要となる場合もあるため、事前に指定権者の案内を確認しましょう。[2]

チェック2:初期費用と運転資金の調達・資金繰り計画

介護・障害福祉サービス事業では、物件取得費や内装工事費に加え、開業後の人件費・家賃を賄う運転資金の確保が重要です。介護報酬・障害福祉サービス等報酬は、各月分を翌月10日までに請求し、その後審査・支払まで一定の期間を要するため、入金までのタイムラグを踏まえた資金繰り計画が必要です。[10][14]

開業直後は利用者数が安定しない可能性もあるため、融資や補助金の活用も含め、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。

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チェック3:指定基準の確認(人員・設備・運営基準)

サービス指定を受けるには、サービス種別ごとに定められた「人員基準」「設備基準」「運営基準」を満たす必要があります。基準は、介護保険サービスでは指定居宅サービス等の基準、障害福祉サービスでは指定障害福祉サービスの基準などに定められており、自治体の条例・手引きでも確認が必要です。[5][6]

指定申請時には、国の基準だけで判断せず、必ず指定権者の最新の手引きや運用も確認しましょう。

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チェック4:物件選定・賃貸借契約と事前協議

通所系・施設系サービスや障害福祉サービスの一部では、建物の用途・面積・設備が指定基準に適合しているか、契約や改修工事の前に確認することが重要です。必要に応じて、指定権者への図面相談や、建築基準法・消防法等に関する建築士・消防署等への確認を行いましょう。[2][3][4][12]

契約後に基準を満たせないことが判明すると、開業スケジュールの遅れや追加費用につながるため、物件選定の段階で慎重に確認する必要があります。

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3. 【指定申請〜開業直前】見落としがちな実務チェックリスト

指定申請の手続きが進むと、次は開業後の実務に向けた準備が本格化します。ここでは、申請から開業直前までに整えておくべき実務面を整理します。

チェック5:指定申請書類の作成と自治体窓口への提出

指定申請では、各自治体が指定する期日までに、申請書類と添付書類を作成・提出する必要があります。提出後は、人員配置、勤務形態一覧表、平面図、運営規程、重要事項説明書、資格証、実務経験証明書などの整合性が確認され、不備がある場合は補正や再提出が求められます。自治体によっては、不備が残ったままでは申請が受理されず、指定希望月に間に合わないことがあります。[2][3][4]

チェック6:採用スタッフの雇用契約・就業規則の整備

事業開始に向けて、採用したスタッフと適切な雇用契約を結び、労働条件を明確にしておく必要があります。常勤や非常勤など、多様な働き方に対応したルールの整備が求められます。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、労働基準法に基づき、就業規則を作成し、労働者代表等の意見書を添えて、所轄の労働基準監督署長へ届け出る義務があります。[7]

なお、この「10人以上」は会社全体ではなく、原則として事業場単位で判断されます。

チェック7:処遇改善加算や各種加算の届出準備

介護保険サービスにおける介護職員等処遇改善加算や、障害福祉サービスにおける福祉・介護職員等処遇改善加算など、各種加算を取得する場合は、加算区分やサービス種別に応じて、計画書の作成・届出、実績報告などの手続きが必要です。[8][13]

処遇改善加算を適切に活用して賃金改善や職場環境改善に取り組むことは、採用活動においてもプラス材料となり得ます。

 

処遇改善加算を開業当初から取得する場合は、届出だけでなく、賃金制度や職員への周知方法まで早めに整理しておくことが重要です。

チェック8:BCP策定・業務マニュアル・記録・請求ソフト等の運営体制

開業前には、感染症や自然災害に備えた業務継続計画(BCP)、日々の業務手順を整理したマニュアル、記録・請求ソフトなど、実際に事業を運営するための体制を整えておく必要があります。介護サービス・障害福祉サービスでは、運営基準上、BCPの策定等も求められています。[5][6][9]

また、虐待防止や身体拘束適正化に関する指針、委員会、研修等についても、サービス種別に応じて準備しておきましょう[5][6]

 

4. 開業準備で事業者がつまずきやすい4つの落とし穴

準備を順調に進めているつもりでも、制度の複雑さゆえに思わぬトラブルに見舞われることがあります。ここでは、開業にあたって注意すべき4つの落とし穴を紹介します。

落とし穴1:人員基準の解釈違いによる採用・配置の遅れ

常勤換算の計算方法や、資格要件の解釈を誤ると、申請直前になって人員不足が発覚するケースがあります。基準の正しい理解が不可欠です。たとえば、「専従」と「兼務」のルールや、実務経験日数の証明書の取得に時間がかかる場合などがあります。人員配置のルールは複雑であるため、疑問があれば早い段階で自治体へ確認を取ることが推奨されます。

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落とし穴2:自治体(愛知県・名古屋市等)によるローカルルールや事前協議のズレ

国の基準を前提としつつ、指定申請の提出期限、事前相談・図面相談の方法、添付書類、補正対応、受付方法などは、指定権者ごとに異なる場合があります。いわゆるローカルルールや自治体ごとの運用上の取扱いを事前に確認しておくことが重要です。[2][3][4][12]

 

指定申請の期限や事前相談の進め方は指定権者・サービス種別で異なるため、早めに最新の手引き確認と窓口相談を行いましょう。

落とし穴3:開業直後の入金タイミングを見誤り、運転資金が不足する

介護報酬や障害福祉サービス等報酬は、原則として各月分を翌月10日までに請求し、その後、国保連合会等の審査を経て支払われます。[10][14]

実際の支払予定日は都道府県国保連合会の処理日程により異なるため、開業直後はサービス提供から入金までのタイムラグを見込んでおく必要があります。入金サイクルを見誤ると、人件費・家賃・社会保険料などの支払いに支障が出るおそれがあります。開業後半年程度の資金繰り表を作成し、余裕を持った運転資金を確保しておきましょう。

落とし穴4:労務管理や就業規則の不備による早期離職

人員基準を満たすために採用したスタッフが早期に離職すると、事業所の運営に大きな影響が出ます。求人時の条件と実際の待遇が異なる場合や、残業代・手当のルールが不明確な場合は、労働トラブルにつながるおそれがあります。労働契約締結時には、賃金、労働時間、休日、契約期間などの労働条件を明示する必要があります。[11]

雇用契約書や就業規則を整備し、適法かつ実情に合った労務管理体制を整えておきましょう。

5. 自力で進めるか専門家に相談すべきかの判断基準

開業準備は自社内ですべて行うことも可能ですが、指定申請、処遇改善加算、就業規則・雇用契約書の整備など、制度要件や労務管理に不安がある場合は、各専門家の業務範囲に応じて、社会保険労務士、行政書士、建築士、税理士などに相談することも選択肢となります。

ここでは、それぞれの判断基準を整理します。

自社・自力対応で進めやすいケース

過去に開業経験がある場合や、行政手続きに慣れた担当者が社内にいる場合は、自社で進めやすいケースがあります。訪問介護など、設備面の確認事項が比較的少ないサービスであれば、自治体の手引きを確認し、指定権者へ相談しながら対応できる可能性があります。ただし、訪問介護であっても、人員基準、サービス提供責任者の要件、勤務形態一覧表、運営規程、労務管理などの確認は必要です。[5]

社労士・専門家への相談を検討したほうがよいケース

初めての開業で手続きの全体像が掴めない場合や、指定申請に向けた人員配置、処遇改善加算、就業規則の整備をまとめて進めたい場合は、専門家への相談が有効です。また、事業計画の策定や採用活動などに集中したい場合も、労務関係書類の整備や各専門家との連携を活用することで、準備を効率的に進めやすくなります。

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まとめ:開業準備を円滑に進めて安定した事業運営を目指そう

介護・障害福祉サービス事業の開業準備では、物件選定、指定申請、資金繰り、人員確保、労務管理などを並行して進める必要があります。特に開業前は、何から手を付ければよいか分からない状況になることも多いため、指定申請書類だけでなく、雇用契約書・就業規則、賃金制度、処遇改善加算の準備まで、開業後の運営を見据えて用意しておくことが大切です。

また、サービス提供体制を整えるうえでは、管理者やサービス提供責任者等の配置、勤務体制、職員の役割分担を早めに決めておく必要があります。介護・障害福祉サービス事業では、制度や人員基準に関する知識が求められる場面も多く、開業準備の段階から実務に即した確認が重要です。

社会保険労務士法人エンジーでは、主に人員配置・労務管理・処遇改善加算等の観点から、介護・障害福祉サービス事業の開業準備をサポートしています。

  • 人員基準・勤務体制の確認
  • 雇用契約書・就業規則等の整備
  • 処遇改善加算等に関する賃金制度・職場環境整備の支援
  • 指定申請に必要な労務関係書類の確認
  • 必要に応じた行政書士・建築士・税理士等との連携

※指定申請書類の作成代行、建築基準法・消防法上の判断、税務申告等については、各専門家の業務範囲に応じて連携しながら進めることが重要です。

開業準備や開業後の労務管理体制づくり、サービス利用者への安定したサービス提供に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

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(参考資料・出典)
この記事は、令和8年8月時点で公表されている以下の資料等をもとに作成しています。
[1] 介護保険法|e-Gov法令検索
[2] 事業所の指定申請の手続きについて(障害者総合支援法)|愛知県
[3] 介護サービス事業所・施設の新規指定について|愛知県
[4] 事業所の新規指定申請について|名古屋市 介護・障害情報提供システム
[5] 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov法令検索
[6] 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov法令検索
[7] モデル就業規則について|厚生労働省
[8] 介護職員の処遇改善:加算の申請方法・申請様式|厚生労働省
[9] 介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修|厚生労働省
[10] 介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令|e-Gov法令検索
[11] 労働契約締結時の労働条件の明示|厚生労働省
[12] 事業所の新規指定申請の手続きについて|名古屋市 介護・障害情報提供システム
[13] 福祉・介護職員の処遇改善|厚生労働省
[14] 介護給付費等の請求に関する命令(障害福祉サービス等関係)|e-Gov法令検索

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