名古屋の介護・福祉業界に強い
社会保険労務士法人エンジー

行政書士事務所エンジー
中小企業診断士エンジー

地下鉄名城線 東別院駅 徒歩1分

052-304-8169

営業時間 平日:8:30-17:30

営業時間 平日:8:30-17:30

地下鉄名城線 東別院駅 徒歩1分

アクセス 無料相談はこちら

著者アーカイブ enjie_me-admin

著者:enjie_me-admin

2021年5月に公表された「財政健全化に向けた建議」 介護事業に関わる内容を確認しておきましょう

骨太方針2021(仮称)を睨み、財政制度分科会(財務省)が建議を公表

今後の社会保障改革を睨み、“国の金庫番”とも呼べる財務省が介護業界に向けた改革論点の叩きをあらためて示したのが2021年4月15日(財政制度分科会にて)。

その後、議論が更に精緻化される中、国の航海羅針盤とも表現できる“骨太方針2021(仮称)”への反映を念頭・目標に、財務省から正式な建議(正式名称:財政健全化に向けた建議)が5月21日に公表されました。

同省が作成した建議資料の中で特に介護事業者に関連するであろう9個の論点について確認してまいります。

「財政健全化に向けた建議」示された論点とは

では、早速、中身に移ってまいりましょう。ここでは本資料で示された資料を一気に紹介する形で進めてまいります。

尚、重要と思われる部分には下線を引いておりますので、併せて是非、ご確認いただければ幸いです。

ア)利用者負担の見直し

介護保険制度の持続可能性を確保するため、利用者負担の更なる見直しといった介護保険給付範囲の見直しに取り組む必要がある。

利用者負担については、2割・3割負担の導入を進めてきたが、今般の後期高齢者医療における患者負担割合の見直しを踏まえ、令和6年度(2024年度)に開始する第9期介護保険事業計画期間からの実施に向けて、サービスの利用者負担を原則2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図ることを検討していく必要がある。

 

イ)介護人材確保の取組と ICT 化等による生産性向上

今後、高齢化による介護需要の増加により、生産年齢人口が減少する中で、介護人材は増加が求められる。

こうした中で、新型コロナの影響による離職者の介護分野への職業転換施策を一層強化し介護人材確保のための取組を進めるとともに、サービスの質を確保しつつ、より少ない労働力でサービスが提供できるよう、配置基準の緩和等も行いながら、業務の ICT 化等による業務効率化を進めていく必要がある。

また、介護サービスの経営主体は小規模な法人が多いことを踏まえ、令和4年(2022年)6月までに施行される社会福祉連携推進法人制度の積極的な活用を促すなど、経営主体の統合・再編等による介護事業所・施設の運営効率化を促す施策もあわせて講じていく必要がある。

こうした取組は、介護職員の働きやすい職場を実現するとともに、介護職員の処遇改善の余地をもたらす。今後、我が国において就業者数の大幅な減少が見込まれる中、介護サービスを安定的に提供していくために必要不可欠な取組である。

 

ウ)ケアマネジメントの在り方の見直し

居宅介護支援(ケアマネジメント)については、要介護者等が積極的にサービスを利用できるようにする観点から、利用者負担をとらない例外的取扱いがなされてきた。

しかしながら、介護保険制度創設から約20年が経ち、サービス利用が定着し、他のサービスでは利用者負担があることも踏まえれば、利用者負担を導入することは当然である。

そもそも、制度創設時、ケアプラン作成は「高齢者の自立を支援し、適切なサービスを確保するため、…そのニーズを適切に把握したうえで、ケアプランを作成し、実際のサービス利用につなぐもの」とされていたが、その趣旨にそぐわない実情も見られる

具体的には、ケアマネ(居宅介護支援)事業所の約9割が他の介護サービス事業所に併設しており、「法人・上司からの圧力により、自法人のサービス利用を求められた」という経験を見聞きしたケアマネジャーが約4割いるなど、サービス提供に公正中立性の問題が存在することが窺うかがえる。

さらに、ケアマネジャーは、インフォーマルサービスだけでなく、介護保険サービスをケアプランに入れなければ報酬を受け取れないため、「介護報酬算定のため、必要のない福祉用具貸与等によりプランを作成した」ケアマネジャーが一定数いることが確認されている。

利用者が自己負担を通じてケアプランに関心を持つ仕組みとすることは、ケアマネジャーのサービスのチェックと質の向上にも資することから、令和6年度(2024年度)に開始する第9期介護保険事業計画期間から、ケアマネジメントに利用者負担を導入すべきである。

また、福祉用具の貸与のみを行うケースについては報酬の引下げを行うなどサービスの内容に応じた報酬体系とすることも、あわせて令和6年度(2024年度)報酬改定において実現すべきである。

 

エ)多床室の室料負担の見直し

制度創設時から、「施設介護については、在宅介護とのバランスや高齢者の自立が図られてきている状況から見て、食費等日常生活費は、利用者本人の負担とすることが考えられる」とされていた。

このため、平成 17 年度(2005 年度)に、食費と個室の居住費(室料及び光熱水費)を介護保険給付の対象外とする見直しを実施(多床室は食費と光熱水費のみ給付対象外)し、平成 27 年度(2015 年度)に、特養老人ホームの多床室の室料負担を基本サービス費から除く見直しを行った。

しかしながら、介護老人保健施設・介護医療院・介護療養病床の多床室については、室料相当分が介護保険給付の基本サービス費に含まれたままとなっている。

居宅と施設の公平性を確保し、どの施設であっても公平な居住費(室料及び光熱水費)を求めていく観点から、令和6年度(2024年度)に開始する第9期介護保険事業計画期間から、給付対象となっている室料相当額について基本サービス費等から除外する見直しを行うべきである。

 

オ)地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の在り方の見直し

地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業は、保険者である各市町村が高齢者の伸び率を勘案した事業費の上限内で事業を実施し、その枠内で交付金を措置する仕組みとしているが、厚生労働省が定めるガイドライン上、「一定の特殊事情」がある場合には、個別の判断により事業費が上限を超えても交付金の措置を認めることとされている。

「一定の特殊事情」の判断要件は、「費用の伸びが一時的に高くなるが、住民主体の取組等が確実に促進され費用の伸びが低減していく見込みである場合」とされているが、相当数の保険者が3年連続で上限を超過している。

また、「介護予防に効果的なプログラムを新たに導入する場合」をはじめ、当該要件を充足する場合として例示されているケースも、エビデンスに基づくものとは言い難い。

さらに、判断要件が例示にとどまり、例示以外の理由での申請も認めていることから、単なる事業量や利用者数の増加等を理由とした申請が相当数行われ、「一定の特殊事情」とは認めがたい申請も含めてすべての上限超過が認められている

上限が機能せず、形骸化しており、重要な制度改革の根幹がこのような運用となっていることは看過できない問題であり、速やかに上限超過を厳しく抑制すべきである。

 

カ)区分支給限度額の在り方の見直し

介護サービスは生活に密接に関連し利用に歯止めが利きにくいこと等から、制度創設時に、「高齢者は介護の必要度に応じて設定された介護給付額の範囲内で、自らの判断と選択により実際に利用したサービスについて保険給付を受けることができることとすることが適当である」とされ、要介護度ごとに区分支給限度額が設定された。

しかしながら、制度創設以降、様々な政策上の配慮を理由に、区分支給限度額の対象外に位置付けられている加算が増加している。

制度創設時に企図したように、設定された限度額の範囲内で給付を受けることを徹底すべきであり、令和6年度(2024年度)に開始する第9期介護保険事業計画期間に向けて、特に生活と密接に関連している度合が高いと考えられる、居宅における生活の継続の支援を目的とした加算をはじめ、加算の区分支給限度額の例外措置を見直すべきである。

 

キ)居宅サービスについての保険者等の関与の在り方

居宅サービスについては、制度創設以来、事業所数が大きく増加している。

また、居宅サービスが充実する中で、訪問介護や通所介護の1人当たり給付費が、全国平均と比べて極めて高い水準となっている地域もある。

こうした中、市町村が地域のサービス供給量をコントロールするための方策として、都道府県が指定権者である居宅サービスのうち、訪問介護・通所介護・短期入所生活介護について、市町村が、都道府県に事前協議を申し入れ、その協議結果に基づき、都道府県が指定拒否等を行う枠組み(いわゆる「市町村協議制」)がある。

しかしながら、あくまで定期巡回サービス等を普及させる観点から、事前協議を申し入れ、競合する訪問介護等の一部サービスを指定拒否できることとされる扱いに留まっている。同様に、市町村が指定権者である地域密着型通所介護についても、あくまで定期巡回サービス等を普及させる観点から指定拒否ができることとされている。

一方で、定期巡回サービス等は創設から約10年以上経過し、サービスの普及が進んでいる。

こうした点も踏まえ、全サービスの居宅サービス事業者及び地域密着型通所介護の指定に取り組む必要がある。

定期巡回サービス等の普及の観点にかかわらず、サービス見込み量を超えた場合に、市町村が都道府県への事前協議の申し入れや指定拒否ができるようにし、保険者である市町村が実際のニーズに合わせて端的に地域のサービス供給量をコントロールできるようにすべきである。また、都道府県及び市町村がより積極的に制度を活用できるよう、国はガイドラインや取組例の発出等の支援を速やかに行うべきである。

 

ク)軽度者に対する居宅療養管理指導サービス等の給付の適正化

近年、居宅療養管理指導・訪問看護・訪問リハビリテーションといった医療系の居宅系サービス費用が、総費用や要介護者数の伸びを大きく上回って増加している。

居宅療養管理指導等のサービスは、原則、「通院が困難な利用者」に対して給付することとされているが、軽度者(要支援1・2、要介護1・2)の費用の伸びが顕著な状況であり、実態として「通院が困難な利用者」以外にもサービスが提供されていないか、速やかに把握を行う必要がある。

例えば、居宅療養管理指導については、薬局の薬剤師による軽度者へのサービス費用が大きく増加している。

「必要以上に居宅療養管理指導を利用するプランを作成した」ケアマネジャーが一定数いることが確認されており、「少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、居宅療養管理指導費は算定できない」と算定要件が明確化されたことも踏まえ、算定要件を満たす請求のみが適切に行われるようにすべきである。

 

ケ)介護サービス事業者の経営状況の把握

介護及び障害福祉サービス等事業者は、法令上、サービス提供内容等の運営情報について都道府県に報告を行い、都道府県は、厚生労働省が設置する「介護サービス情報公表システム」及び「障害福祉サービス等情報検索」で報告を受けた内容を公表することとされている。

このうち、障害福祉サービス等については、すべての法人について、「事業所等の財務状況」の都道府県への報告及び「障害福祉サービス等情報検索」における公表が法令上義務化されている一方で、介護サービスについては、法令上何ら規定がなく、公表が義務化されていない。

このため、介護サービスについても法令改正を行い、損益計算書をはじめとする事業報告書等の報告・公表を義務化し、介護サービス事業者の経営状況の「見える化」を速やかに推進すべきである。

また、障害福祉サービス等については、法令上、報告・公表が義務化されているにもかかわらず、「障害福祉サービス等情報検索」での財務状況の公表が低調であるため、法令に従い、財務状況を公表するように徹底すべきである。

国策の“風”を読み取り、早め早めの準備を

以上、「財政健全化に向けた建議」より、介護事業者に直接関係のある部分から論点を幾つか抜粋してお伝えさせていただきました。

本内容は国全体の方針ではなく、あくまで「財務省」という一省庁の視点に基づいた建議である、ということはしっかり認識しておく必要はあろうかと思いますが、それでも「財政健全化」が叫ばれる我が国としては、財務省の挙げる声に一定の重みがあることも否めない事実だと思われます。

事業者としては上記内容を踏まえつつ、「もしこれらの施策が実行された場合にどう対応するか?」について事前に頭を働かせておくことが重要だと言えるでしょう。

今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

※上記内容の参照先URLはこちら↓

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20210521/01.pdf

著者:enjie_me-admin

2021年4月に行われた「財政制度分科会」の内容を確認しておきましょう

財務省としての意見を発信する「財政制度分科会」が開催

2021年4月より第8期の法改正・報酬改定が施行され、落ち着きを取り戻すまでにはあと約1ヶ月~2ヶ月程度は必要であろうと思われる介護業界。

そんな折、財政的観点から「抜本的改革に着手すべき」と声高に主張する“財政制度分科会”が4月15日に開催されました。

“国の金庫番”とも呼べる財務省が介護業界に対し、どのような改革案を突き付けているのか?

今回は同省が作成した資料「社会保障について」の中で特に介護事業者に関連するであろう10点の論点の中から抜粋し、特に注視・認識しておいた方が良いと思われる5点の内容を採り上げ、お届けしてまいります。

財政制度分科会で採り上げられた「論点」「改革の方向性(案)」とは

では、早速、中身に移ってまいりましょう。ここでは本分科会で示された資料を紹介する形で進めてまいります。先ずは、「制度創設時からの介護保険費用等の推移」という資料についてです。

「介護費用は制度創設時に予測した水準に比べて増加しており、保険料についても当初見込みを上回るペースで上昇している一方、(財源別国民医療費における保険料の減少効果が芳しくないこと等)制度設計時に想定していた費用対効果には程遠い状況である」、即ち、「財政面においては、もっとシビアに見ていく必要があるのでは?」というメッセージ(先制パンチ?)かと思われます。

続いて2番目の資料を確認してまいりましょう。上記文脈からの、「利用者負担の見直し」というタイトルの資料についてです。

「介護保険サービスの利用者負担を原則2割とすることや利用者負担2割に向けてその対象範囲の拡大を図ることを検討していく必要」というメッセージは、次期改定にどのような影響を及ぼすのか、注目すべきポイントの一つだと思われます。

続いて3番目の資料を確認してまいりましょう。

「介護人材確保の取組とICT化等による生産性向上」というタイトルの資料についてです。

「令和4年6月までに施行される社会福祉連携推進法人制度の積極的な活用を促す」・・・・とても印象に残る言葉だな、と感じた次第です。続いて4番目の資料を確認してまいりましょう。

「ケアマネジメントのあり方の見直し」というタイトルの資料についてです。

あらゆる観点から、「ケアマネジメントにも利用者負担を導入すべき」というメッセージを伝えたい財務省の意図が明快に反映された資料だと感じる次第です。

最後に、5番目の資料を確認してまいりましょう。「区分支給限度額のあり方の見直し」というタイトルの資料についてです。

「区分支給限度額の対象外となっている加算がもし限度内に収められたら、自社の売上はどうなるだろうか・・・・」現実的かどうかは別にして一度計算をしてみると、財務省のメッセージが今の介護事業者にとって如何にシビアなものかが分かると思われます。

国策の“風”を読み取り、早め早めの準備を

以上、財政制度分科会内の資料「社会保障」より、介護事業者に直接関係のある部分から論点を幾つか抜粋してお伝えさせていただきました。

本内容は国全体の方針ではなく、あくまで「財務省」という一省庁の意見である、ということはしっかり認識しておく必要はあろうかと思いますが、それでも「財政健全化」が叫ばれる我が国としては、財務省の挙げる声に一定の重みがあることも否めない事実だと思われます。

事業者としては上記内容を踏まえつつ、「もしこれらの施策が実行された場合にどう対応するか?」について事前に頭を働かせておくことが重要だと言えるでしょう。

※上記内容の参照先URLはこちら↓

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20210415zaiseia.html

著者:enjie_me-admin

令和3年度介護報酬改定のQ&Aの内容を確認しておきましょう

2021年3月26日、「令和3年度介護報酬改定」のQ&A(第三弾)が公表

いよいよ新年度(第8期)が始まり、介護保険法改正・報酬改定の実施行が開始となる2021年4月。

本改正・報酬改定の全体像は既に見えているものの、未だ詳細の解釈通知が完全に出そろっている訳でではない中、3月19日に第一弾、23日に第二弾、26日に第三弾、そして29日に第四弾のQ&Aが発出されました。

以降も第5弾、第6弾と続くことになろうかと思いますが、現時点で開示されているQ&Aの中から特に多くの皆様にあてはまるかもしれない内容「認知症介護基礎研修の義務付け」に関するQ&A内容を抜粋し、確認してまいります。

「認知症介護基礎研修の義務付け」に関連するQ&A(全8問)の内容について

それでは早速、中身に移ってまいりましょう。先ずはQ&Aの問3についてです(=後ほど照合しやすくするため、敢えてQ&A第三弾に記載されている設問Noを流用しておりますこと、予めご容赦ください)。

【問3

養成施設及び福祉系高校で認知症に係る科目を受講したが介護福祉士資格は有していない者は、義務づけの対象外とすることが可能か。

【答】

養成施設については卒業証明書及び履修科目証明書により、事業所及び自治体が認知症に係る科目を受講していることが確認できることを条件として対象外とする。なお、福祉系高校の卒業者については、認知症に係る教育内容が必修となっているため、卒業証明書により単に卒業が証明できれば対象外として差し支えない。

続いて、Q&Aの問4についてです。

【問4

認知症介護実践者研修の修了者については、義務づけの対象外とすることが可能か。

【答】

認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修等の認知症の介護等に係る研修を修了した者については、義務づけの対象外として差し支えない。

続いて、Q&Aの問5についてです。

【問5

認知症サポーター等養成講座の修了者については、義務づけの対象外とすることが可能か。

【答】

認知症サポーター等養成講座は、認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者を養成するものであるが、一方で、認知症介護基礎研修は認知症介護に携わる者が認知症の人や家族の視点を重視しながら、本人主体の介護を実施する上での、基礎的な知識・技術及び理念を身につけるための研修であり、その目的・内容が異なるため、認知症サポーター等養成講座修了者は、義務付けの対象外とはならない

続いて、Q&Aの問6についてです。

【問6

人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者についても、義務付けの対象となるのか。

【答】

人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者については、義務付けの対象外である。一方で、義務付けの趣旨を踏まえ、認知症介護に携わる者が認知症の人や家族の視点を重視しながら、本人主体の介護を実施するためには、人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わらない者であっても、当該研修を受講することを妨げるものではなく、各施設において積極的に判断いただきたい。

続いて、Q&Aの問7についてです。

【問7

外国人介護職員についても、受講が義務づけられるのか。

【答】

EPA介護福祉士、在留資格「介護」等の医療・福祉関係の有資格者を除き、従業員の員数として算定される従業者であって直接介護に携わる可能性がある者については、在留資格にかかわらず、義務づけの対象となる。

続いて、Q&Aの問8についてです。

【問8

外国人技能実習生が認知症介護基礎研修を受講する場合、技能実習計画には記載する必要があるのか。

【答】

認知症介護基礎研修は、法令等に基づき受講が義務づけられるものであることから、技能実習制度運用要領第4章第2節第3(2)を踏まえ、技能実習計画への記載は不要である(令和6年3月までの間、努力義務として行う場合も同様。)。なお、受講に係る給与や時間管理が通常の技能実習と同様に行われることや、研修の受講状況について、能実習指導員が適切に管理することが必要である。

続いて、Q&Aの問9についてです。

【問9

事業所が外国人技能実習生に認知症介護基礎研修を受講させる場合、入国後講習中や新型コロナウイルス感染症対策のための入国後 14 日間の自宅等待機期間中に受講させてもよいか。

【答】

・入国後講習中の外国人技能実習生については、入国後講習の期間中は業務に従事させないこととされていることから、認知症介護基礎研修を受講させることはできない。一方、新型コロナウイルス感染症対策のための入国後 14 日間の自宅等待機期間中であって入国後講習中ではない外国人技能実習生については、受入企業との間に雇用関係がある場合に限り、認知症介護基礎研修(オンラインで実施されるものに限る。)を受講させることができる

・なお、実際の研修受講にあたっての取扱い等(※)については、実施主体である都道府県等により異なる場合があることにご留意いただきたい。(※)研修の受講方法(eラーニング、Zoom 等による双方向型のオンライン研修、集合研修)、料金(補助の有無等)、受講枠など

最後に、Q&Aの問10についてです。

【問10

外国人介護職員が研修内容を理解して受講できるように、多言語化された研修教材は提供されるのか。

【答】

令和3年度中に、日本語能力試験のN4レベルを基準としたeラーニング教材の作成を行うとともに、介護分野の在留資格「特定技能」に係る試験を実施している言語(フィリピン、インドネシア、モンゴル、ネパール、カンボジア、ベトナム、中国、タイ、ミャンマーの言語)を基本として外国人介護職員向けのeラーニング補助教材を作成することを予定している。

納得感が高い施策をギリギリまで考えていくことが重要

以上、第三弾のQ&Aの中から、多くの介護事業者の皆様にあてはまるであろう内容の一つである「認知症介護基礎研修の義務付け」の部分を抜粋・確認させていただきました。

自事業に関連深い内容を特定・抜粋し、読み込むのはそれなりに骨の折れる作業かもしれませんが、是非、「3年に1回の出来事」として割り切って(?)いただき、一定の時間を確保してしっかりと熟読~運営に落とし込んでいただければと思う次第です。

その上で理解しがたい内容があった場合には是非、自治体担当者は勿論、場合によっては厚生労働省に直接確認されてみることをおススメします(気持ち的に臆してしまう方もいらっしゃるようですが、筆者の経験上、懇切丁寧に回答してくれる場合の方が多いと感じます)。

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000760502.pdf

 

著者:enjie_me-admin

グループホームの整備要件緩和・新設要件創設について確認しておきましょう【3ユニット/サテライト】

2021年度改正で注目の「3ユニット」「サテライト型」

「3ユニット」や「サテライト型」の認知症対応型グループホームが、2021年度の介護保険法改正・報酬改定で基準緩和・創設されたことをご存知ですか?

例年に比べると、比較的緩やかな改正内容となった2021年度改定。
その中でも最も大きな変化の一つとなったのが、グループホームに関する変更点です。

具体的には、下記の3点が注目されます。
 1)「3ユニット」が基本的に認められた。
 2)3ユニットで夜勤2人体制が可能に。
 3)サテライト型のグループホームを制度化。

この記事では、介護事業者の新規展開の一助となるよう、この整備基準の緩和と新設についてご紹介します。

《注目》合わせてチェック
同じく21年度の介護保険法改正にて、
全事業所での策定が【義務化】されたBCP(業務継続計画)。

自然災害、感染症の発生時にも、ケアを続ける備えはできていますか?
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

グループホームの整備基準の緩和・新設 その具体的な内容とは

では、早速、中身を確認してまいりましょう。

まずは整備基準緩和内容の1つめについてです。


<従来>
共同生活住居(ユニット)の数を1または2とする。
ただし、用地の確保が困難であることその他地域の実情により事業所の効率的運営に必要と認められる場合は、共同生活住居(ユニット)の数を3とすることができる。

  ↓

<改定後>
共同生活住居(ユニット)の数を1以上3以下とする。


今までグループホームを新設する際、「最大2ユニットまで」という要件が付されることが全国的にも多く、3ユニットの整備認可はほぼ不可能、というのが一般的だったかと思われます。

しかし、今回の上記改正により「3ユニットの整備」が基本的に認められることになり(地域の整備状況にもよるかもしれませんが)、経営の効率性が増してくることにも注目が集まるかもしれません。

2点目の緩和内容は、3ユニットのグループホームでの夜勤人員についてです。


<従来>
1ユニットごとに1人
 ・1ユニット : 1人夜勤
 ・2ユニット : 2人夜勤
 ・3ユニット : 3人夜勤

  ↓

<改定後>
1ユニットごとに1人
 ・1ユニット : 1人夜勤
 ・2ユニット : 2人夜勤
 ・3ユニット : 3人夜勤

ただし、利用者の安全確保や職員の負担にも留意しつつ、人材の有効活用を図る観点から、3ユニットの場合であって、各ユニットが同一階に隣接しており、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能な構造で、安全対策(マニュアルの策定、訓練の実施)をとっていることを要件に、例外的に夜勤2人以上の配置に緩和できることとし、事業所が夜勤職員体制を選択することを可能とする(追加)。


「ただし」以降が今回の緩和内容です。
つまり、3ユニットのグループホームにおいて、夜勤者2人体制での勤務シフトを組めるということになります。

「各ユニットが同一階に隣接しており、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能な構造で、安全対策(マニュアルの策定、訓練の実施)をとっていること」という適用要件はしっかりとおさえておかなければならないものの、
上記条件に適合できる立地・物件が見つかった場合においては十分、検討に値する内容ではないかと思われます(本緩和要件適用の場合、「1人あたり50単位の減算」という条件は付されることになりますが)。

これらの要件緩和の魅力度は地域によって変わってくると思いますが、是非、頭に留めておいてください。

最後に3点目、「グループホームにおけるサテライト型事業所の創設」を確認してまいりましょう。

【サテライト型事業所の創設】

基準 ※本体事業所と異なる主なもの

・本体事業所との兼務等により、代表者、管理者を配置しないことが可
・介護支援専門員ではない認知症介護実践者研修を修了した者を計画作成担当者として配置することが可
・サテライト型事業所のユニット数は、本体事業所のユニット数を上回らず、かつ、本体事業所のユニット数との合計が最大4まで

サテライト型事業所の人員基準

(介護予防)認知症対応型共同生活介護(本体事業所)サテライト型(介護予防)認知症対応型共同生活介護
代表者認知症の介護従事経験若しくは保健医療・福祉サービスの経営経験があり、認知症対応型サービス事業開設者研修を修了した者本体の代表者
管理者常勤・専従であって、3年以上認知症の介護の従事経験がある認知症対応型サービス事業管理者研修を修了した者本体の管理者が兼務可能
介護従業者(日中)常勤換算方法で3:1以上常勤換算方法で3:1以上
介護従業者(夜間)時間帯を通じてユニットごとに1以上時間帯を通じてユニットごとに1以上
計画作成担当者
介護支援専門員
介護支援専門員であって、認知症介護実践者研修を修了した者1以上認知症介護実践者研修を修了した者1以上

サテライト型事業所のその他基準・報酬

(介護予防)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
サテライト型事業所の本体となる事業所認知症グループホーム
※ 事業開始後1年以上の本体事業所としての実績を有すること、又は、入居者が当該本体事業所において定められた入居定員の100分の70を超えたことがあること
本体1に対するサテライト型事業所の箇所数最大2箇所まで
※本体ユニット数とサテライトユニット数の合計が「4」以下であることが必要
本体事業所とサテライト型事業所との距離等自動車等による移動に要する時間がおおむね20分以内の近距離。
本体事業所と同一建物や同一敷地内は不可
サテライト型事業所の設備基準等本体事業所と同様
指定本体、サテライト型事業所それぞれが受ける
※ 医療・介護・福祉サービスについて3年以上の実績を有する事業者であること
※ あらかじめ市町村に設置される地域密着型サービス運営委員会等の意見を聴くこと
定員サテライト型事業所=2ユニットまで(各ユニット5~9人)
本体事業所=3ユニットまで(同)
介護報酬通常の(介護予防)認知症対応型共同生活介護の介護報酬と同額

基本的には「小規模多機能」の基準に準じた内容だと認識いただいて差し支えないかと思います。

これから新たにグループホームの取り組みを検討される方には勿論ですが、既にグループホームに取り組まれている方にとっても興味深いスキームに映るのではないでしょうか。

【東海地区の事業者限定】グループホームの新増設でお困りなら、ご相談を

以上、21年度改正からインパクトの大きかった一部分を紹介させていただきました。

地域密着サービスである以上、グループホームの整備は各保険者の計画に左右されてくることはご承知の事かと思いますが、
だからこそ「これを機に、グループホームの新設(増設)を検討したい」とお感じになられた方は「先手必勝」の精神で行動していくべきです。

社会保険労務士法人エンジーでは、訪問看護事業所をはじめとした介護・福祉事業所の指定申請代行労務顧問などの業務を行っています。もちろん、グループホームに関する指定申請代行の経験も豊富で、顧問先も多数いらっしゃいます。

名古屋市周辺を中心に、介護・障害福祉事業の顧問先は100社以上。専門的な知識と豊富な実績で、御社の事業をサポートします。

3ユニットグループホームの開設や、サテライト事業所の開設についても、まずはお気軽にご相談ください。

~エンジーならではの3つの特徴~

【1:社会保険労務士・行政書士のダブルライセンス事務所】
 →労務管理、介護保険サービス、障害福祉サービスに関する専門知識が豊富!

【2:介護・障害に特化】
 →顧問先は100社以上!最新情報も欠かさずチェック。
  的確なサポートをしています!

【3:処遇改善や指定申請などの代行実績が豊富】
 →継続的に代行を委託して頂けているのが信頼の証です!

※今回のニュースレターの引用元資料はこちら
  第193回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
  https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14716.html

著者:enjie_me-admin

行動指針の見直しを行いました

弊社は3月から新しい期が始まるのにともない、経営理念、ビジョン、中期経営、短期経営計画、行動指針等の見直しを行っております。

昨年11月、12月のワークショップに続き、今月15日に行動指針の見直しのワークショップをおこないました。

今回は、

  1. 「(自分が)エンジーで仕事をする上で気を付けていること(すでにやっていること)」
  2. 「(自分が)エンジーで仕事をする上で、今はできていないけれど、こうありたいこと(願望)」
  3. 「他のメンバーでお手本にしたいこと」
  4. 行動指針の使い方 案

について話しあいました。

毎年、少しずつこのような活動を行うことで、お客様に対してよりよいサービスが提供できるように努めたいと思います。

著者:enjie_me-admin

2021年度介護保険法改正を理解しておきましょう

2021年度の介護保険法改正に際し、給付費分科会の報告がまとまったのが2020年12月23日。
この報告・改定でも、さまざまな論点が議論されました。

本記事ではその中でも、地域包括ケア推進にまつわる加算の見直しのポイントをご紹介しています。

厚労省がいかに、認知症への対応力向上、そして看取り対応の充実を介護事業所に求めているかがお分かりいただけるかと思います。

《注目》合わせてチェック
21年度の介護保険法改正にて、
全事業所での策定が【義務化】されたBCP(業務継続計画)。

自然災害、感染症の発生時にも、ケアを続ける備えはできていますか?
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

2021年度法改正の内容がいよいよFIX

12月2日(水)・9日(水)・18(金)と立て続けに給付費分科会が開催される中、いよいよ総括として「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」がまとまった2020年12月23日。

全部で80ページにも上る資料となっていますが、是非、皆様には、ご自身に関係が深いところだけでも結構ですので目を通していただければと思います。

中でも多くの皆様にとって関りがあり、かつ、重要な論点だと思われる「地域包括ケアシステムの推進」について、ポイントをピックアップしてまいりたいと思います。

2021年度介護報酬改定に関する審議報告 「地域包括ケアシステムの推進」について(抜粋)

では、早速、中身を確認してまいりましょう。

まずは、認知症への対応力向上に向けた取組の推進について、4つのポイントをピックアップさせていただきます。

1つ目のポイントは「認知症専門ケア加算等の見直し」についてです(特に重要と思われる部分には下線を引いております。以降も同じ)。

①認知症専門ケア加算等の見直し

【ア:訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、訪問入浴介護★イ:ア及び、通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、短期入所生活介護★、短期入所療養介護★、特定施設入居者生活介護★、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護★、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院】

  • 認知症専門ケア加算等について、各介護サービスにおける認知症対応力を向上させていく観点から、以下の見直しを行う。
  • 訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、他のサービスと同様に、認知症専門ケア加算を新たに創設する。
  • イ 認知症専門ケア加算(通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護においては認知症加算)の算定の要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修(認知症専門ケア加算(Ⅰ)は認知症介護実践リーダー研修、認知症専門ケア加算(Ⅱ)は認知症介護指導者養成研修、認知症加算は認知症介護指導者養成研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修)を修了した者の配置について、認知症ケアに関する専門性の高い看護師(認知症看護認定看護師、老人看護専門看護師、精神看護専門看護師及び精神科認定看護師)を、加算の配置要件の対象に加える。なお、上記の専門研修については、質を確保しつつ、eラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行う。

続いて、2つ目のポイント「認知症に係る取組の情報公表の推進」についてです。

②認知症に係る取組の情報公表の推進

【全サービス(介護サービス情報公表制度の対象とならない居宅療養管理指導を除く)★】

介護サービス事業者の認知症対応力の向上と利用者の介護サービスの選択に資する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、研修の受講状況等、認知症に係る事業者の取組状況について、介護サービス情報公表制度において公表することを求めることとする。

続いて3番目のポイント「多機能系サービスにおける認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設」についてです。

③多機能系サービスにおける認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設

【小規模多機能型居宅介護★、看護小規模多機能型居宅介護】

在宅の認知症高齢者の緊急時の宿泊ニーズに対応できる環境づくりを一層推進する観点から、多機能系サービスについて、施設系サービス等と同様に、認知症行動・心理症状緊急対応加算を新たに創設する。

最後に4つ目のポイント「認知症介護基礎研修の受講の義務づけ」についてです。

④認知症介護基礎研修の受講の義務づけ

【全サービス(無資格者がいない訪問系サービス(訪問入浴介護を除く)、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く)★】

認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳の保障を実現していく観点から、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させていくため、介護サービス事業者に、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者について、認知症基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づける。その際、3年の経過措置期間を設けることとする。なお、認知症基礎研修については、質を確保しつつ、e ラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行う。

以上4点のポイントからも分かるように、今後、全てのサービス・介護職員にとって、「認知症専門知識・スキルの向上」は「nice to have(あれば良いもの)」ではなく、「needs(or must)to have(必要不可欠なもの・絶対条件)」になってくることをしっかり認識し、知識・スキル向上の機会を戦略的に設けていくことが求められていくことと思われます。


では、次のポイント「看取りへの対応の充実」に移ってまいります(ここでは5点のポイントをピックアップさせていただきます)。

先ずは1点目のポイント「看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実」についてです。

①看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実

【短期入所療養介護、小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院】

看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、訪問看護等のターミナルケア加算における対応と同様に、基本報酬(介護医療院、介護療養型医療施設、短期入所療養介護(介護老人保健施設によるものを除く))や看取りに係る加算の算定要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求めることとする。また、施設系サービスについて、サービス提供にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めることを求めることとする。

続いて2つ目のポイント「介護付きホームにおける看取りへの対応の充実」についてです。

②介護付きホームにおける看取りへの対応の充実

【特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護】

介護付きホームにおける中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算について、以下の見直しを行う。

  • ア 看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。(※上記①の再掲)
  • イ 要件における看取りに関する協議等の参加者として、生活相談員を明記する。
  • ウ 算定日数期間を超えて看取りに係るケアを行っている実態があることを踏まえ、現行の死亡日以前30 日前からの算定に加えて、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける
  • 看取り期において夜勤又は宿直により看護職員を配置している場合に評価する新たな区分を設ける

続いて3つ目のポイント「認知症グループホームにおける看取りへの対応の充実」についてです(上記内容と被るため、敢えて下線は引いておりません)。

③認知症グループホームにおける看取りへの対応の充実

【認知症対応型共同生活介護】

認知症グループホームにおける中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算について、以下の見直しを行う。

  • ア 看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。(※上記①の再掲)
  • イ 算定日数期間を超えて看取りに係るケアを行っている実態があることを踏まえ、現行の死亡日以前30 日前からの算定に加えて、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける。

続いて4点目のポイント「訪問介護における看取り期の対応の評価」についてです。

④訪問介護における看取り期の対応の評価

【訪問介護】

看取り期における対応の充実と適切な評価を図る観点から、看取り期には頻回の訪問介護が必要とされるとともに、柔軟な対応が求められることを踏まえ、看取り期の利用者に訪問介護を提供する場合に、訪問介護に係る2時間ルール(前回提供した訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合には、2回分の介護報酬を算定するのではなく、それぞれのサービス提供に係る所要時間を合算して報酬を算定すること)を弾力化し、2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合に、所要時間を合算せずにそれぞれの所定単位数の算定を可能とする。

最後に5点目のポイント「通所困難な利用者の入浴機会の確保」についてです。

⑤通所困難な利用者の入浴機会の確保

【小規模多機能型居宅介護★、看護小規模多機能型居宅介護】

看取り期等で多機能系サービスへの通いが困難となった状態不安定な利用者に入浴の機会を確保する観点から、多機能系サービスの提供にあたって、併算定ができない訪問入浴介護のサービスを、多機能系サービス事業者の負担の下で提供することが可能であることを明確化する。

前述の「認知症への対応力向上」と同様、看取り期の対応についても、関わる可能性が高い全てのサービスにおいて強化・充実が求められてくることは明らかです。認知症対応と同様、関わる皆様は更なる知識・スキルの向上に努めていく必要があると言えるでしょう。


議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切

以上、今回は地域包括ケアシステムの推進1点に絞り、代表的な論点について確認・言及させていただきました。

この他にも全サービスにおいて論点、及び対応案が示されていますので、関連サービスについては是非、早めに目を通された方が宜しいかと存じます。

加えて、毎回申し上げていることではありますが、介護経営者としては「こうなる」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地するのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢が不可欠です。その意味からも今年開催された介護給付費分科会の資料を遡り、各サービスに議論されている資料についてもあらためて再確認されることも重要だと言えるでしょう。

是非、早めに情報をキャッチアップし、頭の中で“PDCA”を回しておかれることをおススメする次第です。私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。

※引用元資料はこちら

第197回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15543.html


著者:enjie_me-admin

KJ法でグループワークをしました2回目

以前、弊社の経営理念を深めるために社員全員でグループワークをいたしました。

第1回目のグループワークとして、

”幸せな職場ってどんな職場なの?”
”明るい未来ってどんな未来なの?”

を話しあったのを踏まえて、今回は、

“お客様との繋がりを深めるために、エンジーができることは?”
“お客様と共に明るい未来を創っていくために、エンジーができることは?”

についてKJ法で話し合いました。

その結果、

  • お客様の課題を発見し、解決のための新しいサービスを提供すること、
  • そのサービスをエンジーが実践し、フードバックする=共に経営するを実践すること、
  • お客様にとってエンジーが身近な存在になるために、密なコミュニケーションと質の高い情報発信

を意識して、サービス作りをしていく方向性が明確となりました。

毎年少しずつバージョンアップしていきたいと思います。

著者:enjie_me-admin

11月に開催された“介護給付費分科会”のポイントを理解しておきましょう

2021年度法改正・報酬改定に向け、各サービスの具体的な論点が更に明確に

2021年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。

11月16日(月)・26(木)と分科会が開催される中、いよいよ、各サービスの具体的な改正論点が明確になってきています。

現状の情報を早めにインプットし、(心構えも含めた)然るべき準備を行っていくために、多くの介護事業者が関わられている可能性が高く、また、ポジティブな変化(≒報酬増につながる可能性大)につながる要素が多いと感じられる「居宅介護支援・介護予防支援」について、代表的な論点をピックアップ・確認していきたいと思います。

 

2021年度法改正に向けた「居宅介護支援・介護予防支援」主な論点・対応案とは(抜粋)

では、早速、中身を確認してまいりましょう。まずは、質の高いケアマネジメントについてです。

【論点】

  • 居宅介護支援事業所は、介護事業経営実態調査における収支差が一貫してマイナスであり、直近の令和元年度の収支差は▲1.6%(対前年度比▲1.5%)。
  • こうした中、質の高いケアマネジメントを提供できる居宅介護支援事業所として、人員配置を手厚くした上で、24時間の連絡体制や困難事例等の積極的な受入れとともに、研修や事例検討会等の計画的な開催など、地域における他の事業所の質も向上させるような体制や取組も実施していることを評価した「特定事業所加算」を取得した事業所の収支差を見ると、加算(Ⅰ)(算定率1.05%)が+4.2%、加算(Ⅱ)(算定率17.43%)が+0.8%、加算(Ⅲ)(算定率10.69%)が▲0.2%となるなど、全体平均よりは収支状況がよい傾向にある。
  • 居宅介護支援事業所の経営の安定を図るとともに、質の高いケアマネジメントを一層推進させていく観点から、どのような対応が考えられるか。
  • 居宅介護支援事業所の公正中立性の確保や、資質向上、業務負担軽減等については、これまで事業所内における取組や研修体系の見直し等を進めてきたが、今後、どのような対応が考えられるか。

【対応案】

  • 特定事業所加算については、質の高いケアマネジメントの推進を図る等の観点から、拡充を含めた必要な対応を検討してはどうか。一方、①小規模事業所の中には、職員の配置要件などに関し、要件を満たすことができない事業所もあり、そうした場合であっても、事業所間の連携を推進することにより、質の高いケアマネジメントを実現できると考えられる場合については一定の評価を行うため、事業所間連携を促進する加算区分を設定することも検討してはどうか。(※見直しイメージについて、次頁参照)
  • なお、(介護予防)(看護)小規模多機能型居宅介護事業所連携加算について、算定率が低調であることや、報酬体系の簡素化の観点から廃止してはどうか。
  • ※「多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービス含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること」の加算要件への追加を含む対応
  • ■ さらに、現行の加算(Ⅳ)の算定要件については、加算(Ⅰ)〜(Ⅲ)と評価軸が異なることや、医療と介護の連携を推進する観点から、②加算の名称について、算定要件に沿った名称として、例えば、「医療介護連携体制強化加算【仮称】」と見直してはどうか。

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

下線①については、小規模居宅介護支援事業所にとっては「朗報」と呼べる内容かもしれません。

今までにも大規模居宅介護支援事業所との連携が叫ばれてきた小規模居宅介護支援事業所ですが、この「新たなインセンティブ」の登場により、連携を模索する事業所は増えてくるのではないでしょうか(とは言え、その一方で、「連携相手を探す」ということ自体も決して簡単な話ではないかもしれないことも理解しておく必要があるでしょう)。

下線②について、まだ仮称とは言え、「医療介護連携体制強化加算」とわざわざ銘打たれていることを考えると、「医療介護の連携強化は居宅介護支援事業所にとって重要業務の一つ」である、ということをあらためて明確に示す・位置付ける意図があるのではないか、と推測してしまいます。

申し上げるまでもないことかもしれませんが、ケアマネージャーの皆様はあらためてその点を確認しておいた方が良いともいえるでしょう。

次に、逓減制についてです。

【論点】

  • 居宅介護支援費については、平成18年度介護報酬改定において、適切なケアマネジメントを行うために、業務に要する手間・コストの適正な反映、サービスの質の向上等の観点から、介護支援専門員(常勤換算)1人当たり40件を超えた場合、60件を超えた場合にそれぞれ逓減制の仕組みが設けられたところ。一方、居宅介護支援事業所は、介護事業経営実態調査における収支差が近年一貫してマイナスであり、直近の令和元年度の収支差も▲1.6%(対前年度比▲1.5%)となっている。
  • 引き続き適切なケアマネジメントの実施を確保しつつ、居宅介護支援事業所の厳しい経営状況等も踏まえた収支改善を図る観点から、どのような対応が考えられるか。この際、近年の技術進歩等により、ICT機器を導入したり、事務職員を配置している事業所では、それ以外の事業所よりも一人当たり利用者数が多く、かつ、労働投入時間が短い点などを考慮することができないか。

【対応案】

  • ICTの活用を図っている事業所の方が、研修の受講時間やケアマネ業務以外の認定調査の委 託業務に携わっている時間が長いにも関わらず、介護支援専門員1人当たり1か月間の労働投入時間が短いこと、更に平均取扱件数が多い。また、事務職員の配置を行っている事業所についても、同様に労働投入時間が短く、かつ、平均取扱件数が多い。以上を踏まえ、一定のICT活用(注)、又は、事務職員の配置を図っている事業所については、ケアマネジメントの質を確保し介護支援専門員の負担に留意しながら、その取扱件数を増加させることが可能と考えられることから、逓減制の適用を45件からとすることとしてはどうか

(注)ICT活用:・事業所内外や利用者の情報を共有できるチャット機能のアプリを備えたスマホ

・訪問記録を随時記載できる機能のソフトを組み込んだタブレット 等

※ 逓減制の適用を45件からとした場合には、特定事業所加算の要件(10)の介護支援専門員1人当たりの受け入れ可能な利用者数についても合わせて見直しを検討してはどうか。

  •  また、これらの取扱いの際の逓減制の逓減率については、メリハリのついた取扱いとすべきではないか。(※見直しイメージについて、次頁参照)
  •  なお、居宅介護支援費(Ⅰ)の適用上限を超える場合について、現在、事業所が自然災害や感染症等による突発的な対応で利用者を受け入れた場合は、例外的に件数に含めないこととしているが、地域の実情を踏まえ、以下の場合についても例外的な取扱いにすることを検討してはどうか。

・ 事業所がその周辺の中山間地域等の事業所の存在状況からやむを得ず利用者を受け入れた場合

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

こちらも前述のものと同様、居宅介護支援事業の経営者にとっては「朗報」と呼べる改正かもしれません。

仮に、増加する5名分が全て中重度者(要介護3~5)だったと考えると、ケアマネージャー1名当たりの月額報酬増額は、1,373単位×5名=6865単位≒68,650円となります。

下線部にあるように「一定のICT活用、又は、事務職員の配置を図る」等の工夫は確かに必要かもしれませんが、取組を前向きに検討するに値する内容だと言えるのではないでしょうか(他方、44件もの担当を持つことが出来るよう、業務効率化のみならず、ケアマネージャー個々の資質向上も併せて求められることになるでしょう)。

次に、通院時の情報連携、及び看取り期におけるサービス利用前の相談・調整等に係る評価の在り方についてです。

【論点】

  • 居宅介護支援においては、入退院時に係る医療機関との連携を報酬上評価しているが、通院時に同行して医療との連携を図る例があることも踏まえ、医療と介護の連携を強化する観点から、どのような対応が考えられるか。

【対応案】

  • 医療と介護の連携を強化し、適切なケアマネジメントや質の向上を進める観点から、介護支援専門員と医療機関の通院時に係る情報連携について、要件を明確化した上で、報酬上評価を行うことにしてはどうか。

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

【論点】

  • ケアマネジメントについて、退院時等に必要なケアマネジメントの対応を行ったが、サービス利用につながらなかった場合には、居宅介護支援費が算定されない。ケアマネジャーがその役割を効果的に果たしながら質の高いケアマネジメントを実現できる環境整備を進める観点から、どのような対応が考えられるか。

【対応案】

  • 介護保険サービス利用を前提とした退院に係る相談・調整について、看取り期における医療・介護連携を適切に進める観点から、利用者の死亡によりサービス利用につながらなかった場合等に限り、モニタリングやサービス担当者会議における検討等の必要なケアマネジメント業務や給付管理のための準備が行われ、介護保険サービスが提供されたものと同等に取り扱うことができるケースについては、基本報酬の請求を可能とすることにしてはどうか。

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

こちらも前述の「医療介護連携強化」に関連する改正内容として、取組を進めるに値する内容だと思われます。

 

最後は、介護予防支援についてです。

【論点】

  • 介護予防ケアプランの作成等の介護予防支援は、地域包括支援センターにより行われるが、センターはその一部を指定居宅介護支援事業者に委託することができる。しかしながら、委託された介護予防ケアプランは全体の47.7%にとどまっている。(平成28年度実績)(地域包括支援センターが行う包括的支援事業における効果的な運営に関する調査研究事業(平成29年度老人保健健康増進等事業))
  • 令和元年12月の介護保険部会意見書において「外部委託を行いやすい環境の整備を進めることが重要」とされていることも踏まえ、業務負担が大きいとされる介護予防支援におけるケアマネジメント業務について、要支援者等に対する適切なケアマネジメントを実現する観点から、どのような 対応が考えられるか。

【対応案】

  • 業務負担が大きいとされる介護予防支援におけるケアマネジメント業務について、外部委託を行いやすい環境の整備を進める観点から、地域包括支援センターが委託する個々のケアプランについて、委託時における居宅介護支援事業所との連携を評価する加算(委託連携加算【仮称】)を創設することとしてはどうか。

その際、質の高い介護予防ケアマネジメントを実現する観点から、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターとの適切な情報連携等を求めてはどうか。

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

「何年にもわたり指摘・議論されてきた懸案事項がようやく前進した」そんな印象を覚えるような内容です。

あとは委託連携加算【仮称】の金額がどの程度になるのかに注目が集まるところだと思われますが、今までの「0.5件」という予防ケアプランのカウントに立脚し、そこにどの程度の色を付けるか?等の観点から加算額が導き出されるのか、或いは実際の利用者1人1月の労働投入時間データに基づいて導き出されるのか(≒要介護1は139.5分、要介護2は140.1分であるのに対し、要支援1は110.5分、要支援2は111.0分(出典:老人保健健康増進等事業(令和元年度)「居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する業務実態の調査研究事業」))、今後の動向が気になるところです。

議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切

以上、今回は居宅介護支援事業所1点に絞り、代表的な論点について確認・言及させていただきました。

この他にも全サービスにおいて論点、及び対応案が示されていますので、関連サービスについては是非、早めに目を通されておかれることをおススメします。

介護経営者としては「こうなるかもしれない」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地する可能性が高いのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢がますます重要となってくるでしょう(その意味からも是非、介護給付費分科会で提示されている資料も併せてご確認下さい)。

また、早め早めに情報をキャッチアップし、頭の中で“PDCA”を回しておく事も必要です。「もし上記が実行された場合、自社にはどのような影響が出てくるか?」「それら想定される影響に対し、どのような対応を行う事が最適なのか?」幹部育成の視点も含め、そのような議論を社内で始めていかれる事を是非、おススメする次第です。

私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。

 

※本ニュースレターの引用元資料はこちら

第194回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14888.html

著者:enjie_me-admin

KJ法でグループワークをしました

久しぶりに社内の取り組みの報告です。

弊社では経営理念、経営方針、行動指針、10年ビジョンなどを定めており、スタッフ全員に配布しております。

社内浸透するため、毎年ブラッシュアップのための取り組みをしており、今年は、経営理念をより具体的にイメージできるため、KJ法でグループワークを行いました。

ちなみに弊社の経営理念は、

“私たちは、幸せな職場作りを通じて、お客様と繋がりを深めて発展に貢献します”
①私たちは、中小企業の経営ソリューション業を目指します。
②私たちは、関わる人すべてが、明るい未来へのサポートをいたします。
③私たちは、お互いを尊重し、成長し、何でも言いあえる職場を作ります。

です。

第1回目のグループワークとして、

”幸せな職場ってどんな職場なの?”
”明るい未来ってどんな未来なの?”

について皆で思ったことを付箋に書き、模造紙に貼って話し合いました。

その内容が下記の写真です。

 

たくさん出て有意義な時間でした。

次回は、

①お客様との繋がりを深めるために、エンジーができることは?
②お客様と共に明るい未来を創っていくために、エンジーができることは?

についてのグループワークを予定しております。

楽しみです。

著者:enjie_me-admin

10月に開催された“介護給付費分科会”のポイントを理解しておきましょう

2021年度法改正・報酬改定に向け、各サービスの具体的な論点が明確に

2021年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。2020年10月に入り、いよいよ、各サービスの具体的な改正論点が明確になってきています。

現状の情報を早めにインプットし、(心構えも含めた)然るべき準備を行っていくために、今回のニュースレターでは、多くの介護事業者が関わられているであろう「訪問介護」「通所介護」について、代表的な論点をピックアップ・確認していきたいと思います。

 

2020年10月開催の「介護給付費分科会」で示された論点(抜粋)とは

では、早速、中身を確認してまいりましょう。

まずは、通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護生活機能向上連携加算についてです。

【論点】

■ 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の生活機能向上連携加算算定率(※)は、
  • 通所介護 事業所ベース:1.2%/3.9% 回数ベース:0.4%
  • 地域密着型通所介護 事業所ベース:0.7%/1.1% 回数ベース:0.2%
  • 認知症対応型通所介護 事業所ベース:2.3%/2.5% 回数ベース:0.4%
  • 介護予防認知症対応型通所介護 事業所ベース:1.8%/3.3% 回数ベース:0.0%

と非常に低くなっている。

加算創設の目的(外部のリハビリテーション専門職と連携することにより、自立支援・重度化防止に資する介護を推進すること)を達成する観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 外部のリハビリテーション専門職との連携を促進するため、訪問介護等における算定要件と同様、ICT活用を認めることを検討してはどうか。また、連携先を見つけやすくするための方策を検討してはどうか。

※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

リハ(=医療職)と介護の連携体制を強化し、より効果的なケアを実行していくためにも「生活機能向上連携加算」の取得促進を進めていきたい、という厚生労働省の意思が明快に反映されたものと思われます。

尚、「検討の方向(案)」の文言は、加算を取得していない理由として、「近隣に該当の事業所・施設が存在するのかが分からない」という声が一定程度上がっていることが背景にあるようです。

 

次に、通所介護・地域密着型通所介護 個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)についてです。

【論点】

■ 通所介護・地域密着型通所介護においては、利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うこととされている。
■ さらに、より効果的に機能訓練を実施する観点から、個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)を設け、利用者の居宅を訪問した上で利用者の居宅での生活状況を把握し、
  • 個別機能訓練加算(Ⅰ):主に身体機能の維持又は向上
  • 個別機能訓練加算(Ⅱ):主に生活機能の維持又は向上

を目指し機能訓練を実施した場合に、評価を行っている。

■ 個別機能訓練加算については、通常規模型・地域密着型において算定率が低く、算定できている事業所であっても、それぞれの加算の目的に応じた機能訓練項目を設定することが難しい場合もあるが、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 個別機能訓練加算について、加算を算定できない理由や、算定できている事業所での機能訓練の実施状況に鑑み、人員配置要件や機能訓練項目の見直しを行うことを検討してはどうか。

※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

人員配置要件について、具体的には、「機能訓練指導員を常勤又は専従により配置することが難しい」という要因が加算不取得理由の多数を占めている状況を受け、この点に見直しが入ってくるものと思われます。

また、機能訓練項目の見直しについては、「個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定している場合において、訓練内容にほとんど差がなく、かつ、個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定している場合でも生活機能に関する訓練はほとんど実施されていない」という調査結果を踏まえての見直しになるものと思われます。

 

次に、通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護入浴介助加算についてです。

【論点】

■ 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の入浴介助加算算定率(※)は、
  • 通所介護 事業所ベース:94.5% 回数ベース:71.5%
  • 地域密着型通所介護 事業所ベース:77.8% 回数ベース:56.2%
  • 認知症対応型通所介護 事業所ベース:98.1% 回数ベース:71.3%
  • 介護予防認知症対応型通所介護 事業所ベース:69.8% 回数ベース:60.7%

と非常に高くなっている。

■ 事業所の中には、単に利用者の心身の状況に応じた入浴介助を行うのみならず、利用者が自立して入浴を行うことができるよう、自宅での入浴回数の把握や、個別機能訓練計画への位置付け等を行っているところもある。
■ これらを踏まえ、入浴介助加算の在り方について、どのように考えるか。

【検討の方向(案)】

■ 入浴介助加算について、現在の算定状況や、入浴介助を通じた利用者の居宅における自立支援・日常生活動作能力の向上に資する取組を行っている事業所の状況をふまえ、見直しを検討してはどうか。

※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋

上記内容及び付随資料の情報だけでは何とも解釈しがたい部分はありますが、可能性として、「入浴介助加算という加算項目が無くなり、個別機能訓練の中の訓練項目の一つとして位置付けられる」という方向性が打ち出されるかもしれない、ということは頭に置いておいた方が宜しいかもしれません(報酬はどうなるの?という点については言及が為されていないので、現時点では方向性が見えづらい状況です)。

 

次に、地域等との連携についてです。

【論点】

■ 通所介護事業所において、利用者が地域において社会参加活動を実施したり、地域住民との交流を図る場を設けるなど、地域等との連携を行っている場合があるが、これらの取組には、
  • 利用者にとって、心身機能の維持向上に資するのみでなく、要介護状態となっても社会で役割をもつことができるようになる
  • 事業所にとって、より地域に開かれた事業を展開することができる

といった効果があると考えられる。

■ 通所介護事業者において、地域等との連携を促進していく観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 地域密着型通所介護等において運営基準上で設けられている地域等との連携にかかる規定を、通所介護においても設け、通所介護事業所における地域での社会参加活動、地域住民との交流を促進することとしてはどうか。

※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋

「“場”を有している」という観点含め、従来の機能に加え、通所介護事業所に今後、“地域連携”という更なる役割を担ってもらいたい、という厚生労働省の意図が明快に反映されたものと思われます。

 

次に、訪問介護 特定事業所加算についてです。

【論点】

■ 訪問介護の特定事業所加算(体制要件+人材要件+重度者対応要件で構成。区分支給限度基準額に含まれる)については、質の高いサービスを提供する事業所を評価するものであるが、区分支給限度基準額を超える利用者が出るとの理由から、要件を満たしているにも関わらず、加算を算定できていない事業所が一定数存在する。
■ 一方で、訪問介護以外のサービスにおける類似の加算であるサービス提供体制強化加算(体制要件+人材要件)については、介護職員の処遇改善に資する加算であり、区分支給限度基準額に含まれない加算とされているため、訪問介護の特定事業所加算についても同様の取扱いにすべきではないかとの要望がある。
■ 訪問介護の特定事業所加算について、重度者対応などの質の高いサービスを提供する事業所を評価していくという政策目的や、有効求人倍率が高い・人手不足感が強いことなどの現状を踏まえ、訪問介護員の処遇改善に向けた取組をより一層推進する観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 訪問介護の特定事業所加算について、
  • 質の高いサービスを提供する事業所を評価する観点から「定期的な事業所内の会議の開催」や「介護福祉士等の手厚い配置」等の体制や人材を評価しているが、対象となり得る事業所を適切に評価する観点から、訪問介護以外のサービスにおいて同様の項目を評価するサービス提供体制強化加算が区分支給限度基準額の対象外とされていることも踏まえて、見直しを検討してはどうか。
  • 地域において難易度が高い介護や質の高い介護を提供する事業所を適切に評価する観点から「重度者対応」の評価は維持しつつ、報酬体系の簡素化の観点からも、見直しを検討してはどうか。

※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

訪問介護における有効求人倍率が「15.03倍(2109年度時点)」となっており、人財確保策の一貫として訪問介護職員の処遇改善の重要性が高まる中、「区分支給限度基準額を超える利用者が出るとの理由から、要件を満たしているにも関わらず、特定事業所加算を算定できていない事業所が一定数存在」していることに対して改善を加え、処遇改善を促進させていこう、というのが本論点の意図となっています。

 

次に、訪問介護の生活機能向上連携加算についてです。

【論点】

■ 生活機能向上連携加算は、自立支援型のサービスの提供を促進し、利用者の在宅における生活機能向上を図る観点から、訪問・通所リハビリテーション事業所やリハビリテーションを実施する医療提供施設のリハビリ専門職・医師と連携して作成した計画に基づく介護を評価。
■ 当該加算については普及が進んでいないところであるが、外部のリハビリ専門職等と連携した自立支援型サービスの提供を効果的かつ効率的に進める観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 生活機能向上連携加算(Ⅱ)について、サービス提供責任者とリハビリ専門職等がそれぞれ利用者の自宅を訪問した上で協働してカンファレンスを行う要件に関して、要介護者の生活機能を維持・向上させるためには多職種によるカンファレンスが効果的であること及び業務効率化の観点から、利用者・家族も参加するサービス担当者会議によることを可能とすることを検討してはどうか。

※また、通所介護における生活機能向上連携加算の検討の方向(案)と同様、連携先を見つけやすくするための方策を検討してはどうか。

※定期巡回・随時対応型訪問介護看護、(介護予防)小規模多機能型居宅介護も同様にしてはどうか。

※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋

本論点も通所介護同様の意図だと理解して差し支えないものと思われます。具体的には、サービス担当者会議の場を有効活用していく、という方向になるでしょう。

 

次に、訪問介護 通院等乗降介助についてです。

【論点】

■ 通院等乗降介助については、居宅要介護者の目的地(病院等)が複数ある場合であって、出発地及び到着地が居宅以外である目的地間の移送(例えば、病院間の移送や通所系・短期入所系サービス事業所から直接病院等に行った場合)については、算定できないこととされている。
■ このような目的地間の移送についても、算定を認めるようにして欲しいとの指摘があるが、通院等乗降介助について、利用者の負担軽減や利便向上の観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 通院等乗降介助について、利用者の身体的・経済的負担の軽減や利便向上の観点から、以下の①+②又は②+③のように、居宅が始点又は終点になる場合には、病院等から病院等への移送や、通所系・短期入所系サービス事業所から病院等への移送についても、介護報酬の算定を認めることを検討してはどうか。

 

※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋

上記変更は極めて現実的・朗報と考えても差し支えないかもしれません。

 

最後に、訪問介護 看取り期における対応の充実についてです。

【論点】

■ 訪問介護については、看取り期における医療との連携に着目した介護報酬上の特別な評価はないが、他のサービスにおいて看取り期への対応に係る加算制度が置かれていることに鑑み、評価を求める要望がある。
■ 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年版)においては、本人・家族等と多専門職種からなる医療・ケアチームが十分な話し合いを行うこととされており、これにはケアに関わる介護支援専門員のほか、介護福祉士等の介護従業者が加わることも想定されている。
■ また、介護現場の実態としても、24時間連絡できる体制を確保したり、職員研修を充実させるなど、看取り期の対応力強化を図るための取組を行っている事例があるほか、訪問介護事業所の訪問介護員が、在宅で生活する看取り期の利用者にサービス提供を行う際に、医療・ケアチームの話し合いに参加しており、その参加率は介護支援専門員と同程度となっている。
■ こうしたことを踏まえ、訪問介護における看取り期への対応の充実を図る観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 訪問介護における看取り期への対応の充実を図る観点から、看取り期における訪問介護の役割や対応の状況等も踏まえながら、その評価について検討してはどうか。※訪問入浴介護も同様に検討してはどうか。

※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋

現時点においても「看取り対応」を行っている訪問介護事業所も一定数存在すること、及び、訪問介護事業所において「看取り」という言葉が今以上に強く意識されるかもしれないことを含め、こちらも「朗報」と捉えて差し支えないものと思われます。

 

議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切

以上、代表的なサービスの、代表的な論点について確認・言及させていただきました。介護経営者としては「こうなるかもしれない」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地する可能性が高いのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢がますます重要となってくるものと思われます(その意味からも是非、介護給付費分科会で提示されている資料も併せてご確認下さい)。

また、早め早めに情報をキャッチアップし、頭の中“PDCA”を回しておく事も必要かと思われます。「もし上記が実行された場合、自社にはどのような影響が出てくるか?」「それら想定される影響に対し、どのような対応を行う事が最適なのか?」幹部育成の視点も含め、そのような議論を社内で始めていかれる事を是非、おススメする次第です。

※引用元資料はこちら

第188回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14094.html

第189回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14240.html