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社会保険労務士法人エンジー
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営業時間 平日:8:30-17:30
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公開日 2026/05/15
社会保険労務士法人エンジーでは、介護施設や障害福祉サービスを運営する事業者様に向けて、実務に役立つ情報を発信しています。今回は、介護・障害福祉事業の開業に伴う指定申請時の「物件選び」について解説します。
新たに介護事業所や障害福祉サービス事業所を開業する際、物件探しは重要な準備の一つです。ただし、一般的なオフィス探しと同じ感覚で物件を決めると、後から指定基準、建築基準法、消防法、都市計画法その他の関係法令への適合に課題が判明し、開業時期の遅れや追加費用につながることがあります。※[1][2][5][6][7]
この記事では、介護・障害福祉の指定申請において、なぜ物件契約前の確認が重要なのか、物件選定時の具体的なチェックポイントとともに解説します。
介護・障害福祉事業の開業では、物件を契約する前に必要な確認を行うことが、開業スケジュールや初期費用に大きく影響します。良さそうな物件を見つけても、すぐに賃貸借契約を結ぶのではなく、まずは指定基準や関係法令に適合する見込みがあるかを確認することが重要です。
不動産会社が提示する条件と、行政が定める福祉事業の要件は、判断基準が異なります。不動産会社から「福祉用途で利用可能」と説明された物件であっても、それだけで指定権者が求める設備基準や関係法令への適合が確認されたことにはなりません。
貸主が福祉事業での利用を認めていることと、指定権者である自治体が定める設備基準、面積要件、人員・運営基準等を満たしていることは別の問題です。建物の構造、用途地域、既存用途、建物規模等によっては、申請書類の補正や追加確認が必要となり、指定希望日に間に合わない、または予定どおり開業できない場合があります。※[1][2][3][4]
そのため、不動産としての契約条件だけで判断せず、福祉事業特有の要件を確認する工程が不可欠です。
要件確認を後回しにして契約を済ませると、指定申請前の図面相談や消防・建築確認の段階で修正対応が必要になることがあります。
たとえば、デイサービスや生活介護等の通所系サービスでは、指定基準上の設備要件に加え、建築基準法、消防法、自治体条例、バリアフリー関連基準等の確認が必要になる場合があります。その結果、廊下・階段・避難経路・便所の仕様・段差・車椅子利用への対応などについて、レイアウト変更や改修が必要となることがあります。※[2][4][5][7]
また、建築基準法上「居室」に該当する部屋については、採光や換気等の基準が問題となる場合があります。予定していた部屋の使い方によっては、建築士等に確認したうえで、レイアウトや用途の見直しが必要です。※[5]
こうした失敗を防ぐためにも、図面の段階で要件を満たせるかを確認しておくことが重要です。
物件契約前に管轄行政や専門家へ相談すべき理由は、自力判断による金銭的・時間的なリスクを抑えるためです。
指定要件を満たさない物件を契約すると、事業を開始できないまま家賃だけを支払い続ける可能性があります。
指定申請では、設備基準への対応、改修工事、図面の再確認、申請書類の補正・再提出等が必要になることがあります。これらに時間を要すると、指定希望日に間に合わず、開業時期が後ろ倒しになる場合があります。遅延期間は、自治体の申請スケジュール、補正内容、工事規模、サービス種別によって異なります。※[1][2]
その間も賃料や人件費などの固定費は発生します。契約前に要件クリアの見込みを確認しておけば、空家賃のリスクを抑えやすくなります。
福祉施設では、消防法令上の設備設置義務が問題となる場合があります。契約後に設備不足が判明すると、想定外の改修コストが発生することがあります。
特に注意が必要なのは、自動火災報知設備、誘導灯、スプリンクラー設備などです。利用者の状態、宿泊の有無、建物の用途区分、延床面積、収容人員等によって、既存設備では不足すると判断される場合があります。※[7]
ビルの一部を賃借する場合でも、消防設備の追加設置や建物全体に関わる調整が必要になることがあります。工事費用は、既存設備、用途区分、延床面積、収容人員、工事範囲等によって異なるため、契約前に消防署や消防設備業者へ確認し、必要に応じて概算見積を取得しておくことが重要です。
介護保険法や障害者総合支援法に基づく基準は、国の省令等を基礎としつつ、自治体の条例、手引き、申請手続き、提出書類、事前相談の方法等によって運用が異なる場合があります。※[2][3][4][9]
同じサービス種別であっても、指定権者ごとに、事前協議の方法、図面確認の進め方、提出書類、補正の指摘内容等が異なることがあります。自己判断で進めず、開業予定地を管轄する指定権者、建築担当部署、消防署等に確認し、必要に応じて建築士や消防設備業者等にも相談しましょう。
名古屋市で開業する場合も、物件の購入・賃借や改修工事の前に、図面をもとに基準適合を確認することが大切です。不動産会社の「福祉利用可」だけで判断せず、指定権者・消防署・建築士へ早めに相談しましょう。※[1][2]
物件の要件確認では、福祉の指定基準だけでなく、建築と消防に関する法令も確認する必要があります。主な確認先は以下の通りです。
◆介護・障害福祉の指定基準
◆ 建築基準法・都市計画法
◆ 消防法
※人員配置、サービス種別、自治体条例等によって詳細な基準は異なります。最新情報は必ず管轄行政の窓口や公式手引きで確認してください。
ここからは、上記について以下で詳しくみていきます。
提供するサービスの種類に応じて、必要となる部屋の種類や面積は異なります。事業の目的に合わせた図面設計ができるかを確認しましょう。
訪問介護、居宅介護、介護保険上の訪問看護などの訪問系サービスでは、事業運営に必要な広さを有する専用区画や、サービス提供に必要な設備・備品等が求められます。また、利用者情報を適切に管理する観点から、自治体の運用上、鍵付きキャビネットや書庫等の設置を求められる場合があります。※[3][4]
一方、通所介護、生活介護、就労継続支援、放課後等デイサービスなどの通所系サービスでは、機能訓練室、訓練・作業室、指導訓練室、相談室、静養室、事務室等の設置や面積が確認されます。必要な室名や面積基準は、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法、自治体条例・手引きによって異なります。※[2][3][4]
就労継続支援B型などの日中活動系サービスでは、訓練・作業室等について、利用定員やサービス提供に支障のない広さが確認される場合があります。自治体によっては、利用者1人あたりの目安面積が示されることもあるため、開業予定地の指定権者に確認が必要です。※[2]
福祉施設として使用できる場所かどうかは、都市計画法に基づく用途地域の指定や、建築基準法上の用途制限等によって影響を受ける場合があります。※[5][8]
住宅系の用途地域などでは、施設の用途、規模、建物の使い方によって、用途制限や自治体の取扱いを確認する必要があります。サービス種別や建物規模によっては、予定している用途での使用が難しい場合もあります。
また、既存建物を福祉施設等に転用する場合、建築基準法上の用途変更に該当するか、確認申請が必要となる規模か、確認申請が不要な場合でも現行法令に適合しているかを確認する必要があります。
2019年6月施行の建築基準法改正により、用途変更時に建築確認が必要となる特殊建築物の規模は、原則として100㎡超から200㎡超へ引き上げられました。そのため、用途変更に係る部分の床面積が200㎡以下の場合、建築確認手続きが不要となる場合があります。ただし、確認申請が不要な場合でも、建築基準法や消防法等への適合が不要になるわけではありません。※[5][6]
これらは専門的な判断を要するため、賃貸借契約前に建築士へ確認を依頼し、必要に応じて自治体の建築担当部署や指定権者へ相談することが望ましいです。
福祉施設等は、消防法施行令上の用途区分、利用者の避難困難性、宿泊の有無、延床面積、収容人員等に応じて、一般的な事務所とは異なる消防設備や防火管理上の対応が必要となる場合があります。※[7]
共同生活援助、短期入所、通所介護、生活介護等では、消火器、誘導灯、自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備、スプリンクラー設備等の設置が必要となる場合があります。障害福祉サービスの一部では、利用者の障害支援区分等が消防上の判断に影響することもあります。
テナントとして入居する場合、消防設備の追加設置には、建物所有者や管理会社との調整が必要です。工期や費用負担にも影響するため、契約前に消防署へ相談し、必要に応じて消防設備業者にも確認しましょう。
要件を満たす物件を見つけ、指定申請をスムーズに進めるには、契約の順序を守ることが重要です。
まずは不動産会社やオーナーに福祉事業での利用目的を伝え、図面を手配します。可能であれば、正式な賃貸借契約の前に、物件資料や図面を入手し、改修の可能性があることも伝えたうえで事前確認を進めます。
物件によっては、仮申込み、申込証拠金、停止条件付き契約等の方法を検討する場合もあります。
オーナー側が、福祉用途での使用や改修工事に慎重な場合もあります。そのため、早い段階で事業の目的や必要な工事の概要を説明し、理解を得ることが大切です。
あわせて、平面図、求積図、建物概要、既存用途、延床面積、階数、消防設備の状況等が分かる資料を可能な範囲で取り寄せ、指定権者、建築士、消防署等への事前相談に備えます。※[1][2]
図面等が用意できたら、指定権者の案内に従って事前相談や図面相談を行います。名古屋市では、障害福祉サービス事業所の新規指定申請にあたり、事前相談が必要とされ、図面相談についても指定を受けようとする月の3か月前の10日までに申し込むことが案内されています。※[1]
消防法上の確認は管轄消防署へ、建築基準法上の適合性は建築士や自治体の建築担当部署へ確認します。原則として、指定基準、建築基準法、消防法等の確認前に賃貸借契約を締結することは、開業遅延や追加費用のリスクがあるため慎重に判断することが大切です。
指定権者にはサービス種別ごとの設備基準や面積、必要室の配置等を確認し、消防署には消防法上の用途区分や必要設備を確認します。修正指導があった場合は、図面を修正して再度確認を受けます。
事前相談と並行して、最新の必要書類一覧や手引きを確認し、法人情報、人員体制、運営規程、勤務形態一覧表、平面図、設備・備品一覧等の準備を進めます。※[1][2]
指定申請の進め方は、名古屋市・愛知県・中核市など指定権者ごとに異なります。事前相談の方法、提出期限、必要書類を最新の手引きで確認し、余裕を持って準備しましょう。※[3][4][9]
指定権者、建築士、消防署等への事前確認により、指定基準・建築・消防上の大きな支障がないと見込まれる段階で、賃貸借契約の締結を検討します。契約時期や契約形態は、貸主との交渉状況、改修内容、申請スケジュール、自治体が求める書類によって異なります。
契約後は、自治体の申請スケジュールに合わせて、必要な改修工事、備品準備、写真撮影、平面図や設備・備品一覧等の整備を進めます。申請書類の提出時点や現地確認時点で求められる整備状況は、自治体やサービス種別によって異なるため、最新の手引きで確認してください。※[1][2]
愛知県や名古屋市における指定申請の具体的な手続きの流れについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
※関連記事:【愛知県・名古屋市版】介護サービス「新規指定申請」完全ガイド|提出先・必要書類・手数料・審査期間【記載例付】
介護・障害福祉事業を立ち上げる際、物件の要件確認は事業の土台となる重要な工程です。建築や消防の適合については、物件決定前に、管轄の建築担当部署、消防署、建築士、消防設備業者等へ確認・相談することをおすすめします。
介護・障害福祉事業の開業では、物件の要件確認に加え、指定申請に向けた書類作成やスケジュール管理も大きな負担となります。社会保険労務士法人エンジーでは、事業者様が指定申請や開業準備を計画的に進められるよう、以下のサポートを行っています。
ご相談内容に応じて柔軟にサポートいたします。愛知県・名古屋市での開業手続や、開業後の労務管理に関するご不安がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
※その他の開業ノウハウは下記からもご確認いただけます。
介護保険・障害福祉事業所の開業の流れ
(参考資料)
この記事は以下の資料を参照し作成しています。
※本記事は、介護・障害福祉事業所の物件選定時に一般的に確認すべき事項を整理したものです。指定基準、必要書類、提出期限、事前相談の方法、建築基準法・消防法上の取扱いは、サービス種別、自治体、建物の用途・規模・構造、利用者の状況等によって異なります。実際に物件を契約する前に、必ず開業予定地を管轄する指定権者、建築担当部署、消防署、建築士、消防設備業者等へ最新情報をご確認ください。
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