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社会保険労務士法人エンジー
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営業時間 平日:8:30-17:30
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公開日 2020/06/01
最終更新日 2020/05/29
5月14日(木)に39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されて以来、徐々に緊張感が緩まり始めてきています。このような環境変化に比例するかの如く、ここ数日の間に「今後、感染症のある社会(≒Withコロナ社会)ということを前提に考える中で、介護経営としてはどのような準備をすべきでしょうか?」というご質問を立て続けにいただく機会がありました。そこで今回は、現時点で感じている視点・ポイントについて是非、皆様に共有させていただきたく思います(叩き台として活用いただければ幸いです)。
では、具体的に考えていく上で、下図のようなマトリックスに基づいて考えてみたいと思います。
※株式会社ケアビジネスパートナーズにより作成
先ずは左下、「運営×守り」の領域について。
一言で言えばこの領域は、「運営OSのバージョンアップ」と呼べるかもしれません。
ここから先は、“感染症予防”というキーワードを前提にすべてのものごとを考えなければならなくなることは明らかです。
今回はなんとか緊急対応で凌ぐことが出来た事業者様もいらっしゃるかと思いますが、“改善”というよりは抜本的な“改革”という観点で、知識やスキルの習得は勿論のこと、職場内の基礎環境や業務プロセス全体を全て見直し、再構築していく必要があるでしょう。
次に左上、「運営×攻め」の領域について。この領域のメインテーマは「顧客エンゲージメント(≒心理的つながり)の強化」だと考えています。
今回のコロナをきっかけに、特にデイサービスなどでは利用控えをされた方も多かったのではないかと思います。
また、利用を継続されている方々の中にも、Beforeコロナの時代には経験したことがなかったような不安やストレスを感じられている方々もいらっしゃるかもしれません。
そのような皆様の状況に対し、専門職としてどのようなスタンスのもと、どのような配慮やコミュニケーションを提供していくべきなのか?例えば入居系サービスを提供されている某法人様では、ご家族と面会できないご利用者の心理的ストレスを少しでも軽減できるよう、ご利用者の要望に応じて“お手紙”“電話”“ビデオ通話”など様々なツールを使い分けているそうです。
「職員側の感覚や都合でツールを選択するのではなく、ご利用者様が安心する、望むものを」という視点に基づき、コミュニケーションツールについても複数の選択肢を準備されている話をお聞きし、「正にソーシャルワーク視点に基づく価値提供だなぁ」とあらためて学びをいただいた次第です。
さて、今度は右下、「経営×守り」の領域について。今回のコロナ禍により、Beforeコロナ時代には予想も出来なかった「突然の収入減」や、「職員の心理ストレスの増大」等が浮き彫りになりました。
同様の状況が今後また発生するかもしれないことを前提として、また、マトリックス上の左側の領域(=「運営×守り」「運営×攻め」の領域)を実現していくためにも、何をおいてもまずは、事業体としての「基礎体力増強」をはかっておくことが不可欠かと存じます。
具体的には「ヒト」「カネ」の視点が重要かと思いますが、例えば「ヒト」視点については、職員に生活上の補償だったりメンタル面のサポートだったり等、可能な限り、不安を取り除けるような工夫を施すこと。そして「カネ」視点はシンプルに「資金調達」や「コストダウン」により、余裕資金を可能な限り確保していくことが重要になってくるでしょう。
ちなみに「ヒト」の部分について、慰労金の支給を検討されている法人もいらっしゃるかと思いますが、是非、支給の際には一手間かけ、皆様の「想い」をしっかりと伝えていただきたいと思います。
例えば某法人様では慰労金を支給する際、代表者名で次のような手紙を添えられたとのことで、代表の想いに感激・涙し、使命感と誇りに気持ちを新たにされた職員も数多くいらっしゃったそうです。
「このコロナウイルスの感染が広がる中、以前と全く変わりなく多くのご利用者に接して下さっている職員の皆様に心より感謝いたします。医療現場と同様に介護現場も感染リスクが高いにも関わらず、皆様はご利用者の身体能力維持やご家族の安心のために日々尽力して下さっています。(中略)ほんのささやかではありますが、みなさまの毎日の奮闘に敬意を表して慰労金を送らせていただきます。(中略)この先、友達と会ったり旅行に出かけたりできる日が必ず来ます。その日まで皆で手を取り合って、不安を一人で抱え込まずに過ごしていきましょう。マスク無しの笑顔の皆様と会える日を楽しみにしています」・・・・
そして最後、右上の「経営×攻め」の領域について。
ここのテーマは “イノベーション”です。
今までは人材不足の話からこの領域が注目されつつも、なかなか取り組みが進まない、という実態が多かったと思われますが、“非対面”“非接触”“非集合”でも業務可能となるICTやロボットを導入すること自体が感染対策にもつながりますし、右下で話した職員の安心感の増大にも貢献するであろうことは間違いありません。
今まではテクノロジーの導入になんとなく後ろ向きだった方も、考え方自体をアップデートさせていかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
またこの領域の重要テーマとして「新たな収益源の確保(新規事業)」も付け加えさせていただきたいと思います。
今回のコロナ禍を受け、「現状の事業だけでは将来が不安」という想いや危機感を改めて強くした方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。
この機会だからこそ、未来を見据えて自社の新たな柱となるような“新規事業”を本気で考えてみる必要があるのではないかな、と感じる次第です。
以上、思考の叩き台として活用してみていただければ、との想いのもと、簡単にまとめさせていただきました。
「今回のアクシデントは自社に何を示唆してくれているのか?」について冷静に考え、これから新たな第一歩を踏み出されることをお勧めする次第です。
今後も引き続き、本テーマを含め、より有益な情報・事例等を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
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