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2021年度介護保険法改正を理解しておきましょう

公開日 2021/01/01

最終更新日 2022/11/11

2021年度の介護保険法改正に際し、給付費分科会の報告がまとまったのが2020年12月23日。
この報告・改定でも、さまざまな論点が議論されました。

本記事ではその中でも、地域包括ケア推進にまつわる加算の見直しのポイントをご紹介しています。

厚労省がいかに、認知症への対応力向上、そして看取り対応の充実を介護事業所に求めているかがお分かりいただけるかと思います。

《注目》合わせてチェック
21年度の介護保険法改正にて、
全事業所での策定が【義務化】されたBCP(業務継続計画)。

自然災害、感染症の発生時にも、ケアを続ける備えはできていますか?
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

2021年度法改正の内容がいよいよFIX

12月2日(水)・9日(水)・18(金)と立て続けに給付費分科会が開催される中、いよいよ総括として「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」がまとまった2020年12月23日。

全部で80ページにも上る資料となっていますが、是非、皆様には、ご自身に関係が深いところだけでも結構ですので目を通していただければと思います。

中でも多くの皆様にとって関りがあり、かつ、重要な論点だと思われる「地域包括ケアシステムの推進」について、ポイントをピックアップしてまいりたいと思います。

2021年度介護報酬改定に関する審議報告 「地域包括ケアシステムの推進」について(抜粋)

では、早速、中身を確認してまいりましょう。

まずは、認知症への対応力向上に向けた取組の推進について、4つのポイントをピックアップさせていただきます。

1つ目のポイントは「認知症専門ケア加算等の見直し」についてです(特に重要と思われる部分には下線を引いております。以降も同じ)。

①認知症専門ケア加算等の見直し

【ア:訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、訪問入浴介護★イ:ア及び、通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、短期入所生活介護★、短期入所療養介護★、特定施設入居者生活介護★、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護★、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院】

  • 認知症専門ケア加算等について、各介護サービスにおける認知症対応力を向上させていく観点から、以下の見直しを行う。
  • 訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、他のサービスと同様に、認知症専門ケア加算を新たに創設する。
  • イ 認知症専門ケア加算(通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護においては認知症加算)の算定の要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修(認知症専門ケア加算(Ⅰ)は認知症介護実践リーダー研修、認知症専門ケア加算(Ⅱ)は認知症介護指導者養成研修、認知症加算は認知症介護指導者養成研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修)を修了した者の配置について、認知症ケアに関する専門性の高い看護師(認知症看護認定看護師、老人看護専門看護師、精神看護専門看護師及び精神科認定看護師)を、加算の配置要件の対象に加える。なお、上記の専門研修については、質を確保しつつ、eラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行う。

続いて、2つ目のポイント「認知症に係る取組の情報公表の推進」についてです。

②認知症に係る取組の情報公表の推進

【全サービス(介護サービス情報公表制度の対象とならない居宅療養管理指導を除く)★】

介護サービス事業者の認知症対応力の向上と利用者の介護サービスの選択に資する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、研修の受講状況等、認知症に係る事業者の取組状況について、介護サービス情報公表制度において公表することを求めることとする。

続いて3番目のポイント「多機能系サービスにおける認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設」についてです。

③多機能系サービスにおける認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設

【小規模多機能型居宅介護★、看護小規模多機能型居宅介護】

在宅の認知症高齢者の緊急時の宿泊ニーズに対応できる環境づくりを一層推進する観点から、多機能系サービスについて、施設系サービス等と同様に、認知症行動・心理症状緊急対応加算を新たに創設する。

最後に4つ目のポイント「認知症介護基礎研修の受講の義務づけ」についてです。

④認知症介護基礎研修の受講の義務づけ

【全サービス(無資格者がいない訪問系サービス(訪問入浴介護を除く)、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く)★】

認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳の保障を実現していく観点から、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させていくため、介護サービス事業者に、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者について、認知症基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づける。その際、3年の経過措置期間を設けることとする。なお、認知症基礎研修については、質を確保しつつ、e ラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行う。

以上4点のポイントからも分かるように、今後、全てのサービス・介護職員にとって、「認知症専門知識・スキルの向上」は「nice to have(あれば良いもの)」ではなく、「needs(or must)to have(必要不可欠なもの・絶対条件)」になってくることをしっかり認識し、知識・スキル向上の機会を戦略的に設けていくことが求められていくことと思われます。


では、次のポイント「看取りへの対応の充実」に移ってまいります(ここでは5点のポイントをピックアップさせていただきます)。

先ずは1点目のポイント「看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実」についてです。

①看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実

【短期入所療養介護、小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院】

看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、訪問看護等のターミナルケア加算における対応と同様に、基本報酬(介護医療院、介護療養型医療施設、短期入所療養介護(介護老人保健施設によるものを除く))や看取りに係る加算の算定要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求めることとする。また、施設系サービスについて、サービス提供にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めることを求めることとする。

続いて2つ目のポイント「介護付きホームにおける看取りへの対応の充実」についてです。

②介護付きホームにおける看取りへの対応の充実

【特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護】

介護付きホームにおける中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算について、以下の見直しを行う。

  • ア 看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。(※上記①の再掲)
  • イ 要件における看取りに関する協議等の参加者として、生活相談員を明記する。
  • ウ 算定日数期間を超えて看取りに係るケアを行っている実態があることを踏まえ、現行の死亡日以前30 日前からの算定に加えて、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける
  • 看取り期において夜勤又は宿直により看護職員を配置している場合に評価する新たな区分を設ける

続いて3つ目のポイント「認知症グループホームにおける看取りへの対応の充実」についてです(上記内容と被るため、敢えて下線は引いておりません)。

③認知症グループホームにおける看取りへの対応の充実

【認知症対応型共同生活介護】

認知症グループホームにおける中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算について、以下の見直しを行う。

  • ア 看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。(※上記①の再掲)
  • イ 算定日数期間を超えて看取りに係るケアを行っている実態があることを踏まえ、現行の死亡日以前30 日前からの算定に加えて、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける。

続いて4点目のポイント「訪問介護における看取り期の対応の評価」についてです。

④訪問介護における看取り期の対応の評価

【訪問介護】

看取り期における対応の充実と適切な評価を図る観点から、看取り期には頻回の訪問介護が必要とされるとともに、柔軟な対応が求められることを踏まえ、看取り期の利用者に訪問介護を提供する場合に、訪問介護に係る2時間ルール(前回提供した訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合には、2回分の介護報酬を算定するのではなく、それぞれのサービス提供に係る所要時間を合算して報酬を算定すること)を弾力化し、2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合に、所要時間を合算せずにそれぞれの所定単位数の算定を可能とする。

最後に5点目のポイント「通所困難な利用者の入浴機会の確保」についてです。

⑤通所困難な利用者の入浴機会の確保

【小規模多機能型居宅介護★、看護小規模多機能型居宅介護】

看取り期等で多機能系サービスへの通いが困難となった状態不安定な利用者に入浴の機会を確保する観点から、多機能系サービスの提供にあたって、併算定ができない訪問入浴介護のサービスを、多機能系サービス事業者の負担の下で提供することが可能であることを明確化する。

前述の「認知症への対応力向上」と同様、看取り期の対応についても、関わる可能性が高い全てのサービスにおいて強化・充実が求められてくることは明らかです。認知症対応と同様、関わる皆様は更なる知識・スキルの向上に努めていく必要があると言えるでしょう。


議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切

以上、今回は地域包括ケアシステムの推進1点に絞り、代表的な論点について確認・言及させていただきました。

この他にも全サービスにおいて論点、及び対応案が示されていますので、関連サービスについては是非、早めに目を通された方が宜しいかと存じます。

加えて、毎回申し上げていることではありますが、介護経営者としては「こうなる」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地するのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢が不可欠です。その意味からも今年開催された介護給付費分科会の資料を遡り、各サービスに議論されている資料についてもあらためて再確認されることも重要だと言えるでしょう。

是非、早めに情報をキャッチアップし、頭の中で“PDCA”を回しておかれることをおススメする次第です。私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。

※引用元資料はこちら

第197回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15543.html


著者:enjie_me-admin

KJ法でグループワークをしました2回目

公開日 2020/12/02

最終更新日 2021/12/01

以前、弊社の経営理念を深めるために社員全員でグループワークをいたしました。

第1回目のグループワークとして、

”幸せな職場ってどんな職場なの?”
”明るい未来ってどんな未来なの?”

を話しあったのを踏まえて、今回は、

“お客様との繋がりを深めるために、エンジーができることは?”
“お客様と共に明るい未来を創っていくために、エンジーができることは?”

についてKJ法で話し合いました。

その結果、

  • お客様の課題を発見し、解決のための新しいサービスを提供すること、
  • そのサービスをエンジーが実践し、フードバックする=共に経営するを実践すること、
  • お客様にとってエンジーが身近な存在になるために、密なコミュニケーションと質の高い情報発信

を意識して、サービス作りをしていく方向性が明確となりました。

毎年少しずつバージョンアップしていきたいと思います。

著者:enjie_me-admin

11月に開催された“介護給付費分科会”のポイントを理解しておきましょう

公開日 2020/12/01

最終更新日 2020/12/02

2021年度法改正・報酬改定に向け、各サービスの具体的な論点が更に明確に

2021年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。

11月16日(月)・26(木)と分科会が開催される中、いよいよ、各サービスの具体的な改正論点が明確になってきています。

現状の情報を早めにインプットし、(心構えも含めた)然るべき準備を行っていくために、多くの介護事業者が関わられている可能性が高く、また、ポジティブな変化(≒報酬増につながる可能性大)につながる要素が多いと感じられる「居宅介護支援・介護予防支援」について、代表的な論点をピックアップ・確認していきたいと思います。

 

2021年度法改正に向けた「居宅介護支援・介護予防支援」主な論点・対応案とは(抜粋)

では、早速、中身を確認してまいりましょう。まずは、質の高いケアマネジメントについてです。

【論点】

  • 居宅介護支援事業所は、介護事業経営実態調査における収支差が一貫してマイナスであり、直近の令和元年度の収支差は▲1.6%(対前年度比▲1.5%)。
  • こうした中、質の高いケアマネジメントを提供できる居宅介護支援事業所として、人員配置を手厚くした上で、24時間の連絡体制や困難事例等の積極的な受入れとともに、研修や事例検討会等の計画的な開催など、地域における他の事業所の質も向上させるような体制や取組も実施していることを評価した「特定事業所加算」を取得した事業所の収支差を見ると、加算(Ⅰ)(算定率1.05%)が+4.2%、加算(Ⅱ)(算定率17.43%)が+0.8%、加算(Ⅲ)(算定率10.69%)が▲0.2%となるなど、全体平均よりは収支状況がよい傾向にある。
  • 居宅介護支援事業所の経営の安定を図るとともに、質の高いケアマネジメントを一層推進させていく観点から、どのような対応が考えられるか。
  • 居宅介護支援事業所の公正中立性の確保や、資質向上、業務負担軽減等については、これまで事業所内における取組や研修体系の見直し等を進めてきたが、今後、どのような対応が考えられるか。

【対応案】

  • 特定事業所加算については、質の高いケアマネジメントの推進を図る等の観点から、拡充を含めた必要な対応を検討してはどうか。一方、①小規模事業所の中には、職員の配置要件などに関し、要件を満たすことができない事業所もあり、そうした場合であっても、事業所間の連携を推進することにより、質の高いケアマネジメントを実現できると考えられる場合については一定の評価を行うため、事業所間連携を促進する加算区分を設定することも検討してはどうか。(※見直しイメージについて、次頁参照)
  • なお、(介護予防)(看護)小規模多機能型居宅介護事業所連携加算について、算定率が低調であることや、報酬体系の簡素化の観点から廃止してはどうか。
  • ※「多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービス含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること」の加算要件への追加を含む対応
  • ■ さらに、現行の加算(Ⅳ)の算定要件については、加算(Ⅰ)〜(Ⅲ)と評価軸が異なることや、医療と介護の連携を推進する観点から、②加算の名称について、算定要件に沿った名称として、例えば、「医療介護連携体制強化加算【仮称】」と見直してはどうか。

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

下線①については、小規模居宅介護支援事業所にとっては「朗報」と呼べる内容かもしれません。

今までにも大規模居宅介護支援事業所との連携が叫ばれてきた小規模居宅介護支援事業所ですが、この「新たなインセンティブ」の登場により、連携を模索する事業所は増えてくるのではないでしょうか(とは言え、その一方で、「連携相手を探す」ということ自体も決して簡単な話ではないかもしれないことも理解しておく必要があるでしょう)。

下線②について、まだ仮称とは言え、「医療介護連携体制強化加算」とわざわざ銘打たれていることを考えると、「医療介護の連携強化は居宅介護支援事業所にとって重要業務の一つ」である、ということをあらためて明確に示す・位置付ける意図があるのではないか、と推測してしまいます。

申し上げるまでもないことかもしれませんが、ケアマネージャーの皆様はあらためてその点を確認しておいた方が良いともいえるでしょう。

次に、逓減制についてです。

【論点】

  • 居宅介護支援費については、平成18年度介護報酬改定において、適切なケアマネジメントを行うために、業務に要する手間・コストの適正な反映、サービスの質の向上等の観点から、介護支援専門員(常勤換算)1人当たり40件を超えた場合、60件を超えた場合にそれぞれ逓減制の仕組みが設けられたところ。一方、居宅介護支援事業所は、介護事業経営実態調査における収支差が近年一貫してマイナスであり、直近の令和元年度の収支差も▲1.6%(対前年度比▲1.5%)となっている。
  • 引き続き適切なケアマネジメントの実施を確保しつつ、居宅介護支援事業所の厳しい経営状況等も踏まえた収支改善を図る観点から、どのような対応が考えられるか。この際、近年の技術進歩等により、ICT機器を導入したり、事務職員を配置している事業所では、それ以外の事業所よりも一人当たり利用者数が多く、かつ、労働投入時間が短い点などを考慮することができないか。

【対応案】

  • ICTの活用を図っている事業所の方が、研修の受講時間やケアマネ業務以外の認定調査の委 託業務に携わっている時間が長いにも関わらず、介護支援専門員1人当たり1か月間の労働投入時間が短いこと、更に平均取扱件数が多い。また、事務職員の配置を行っている事業所についても、同様に労働投入時間が短く、かつ、平均取扱件数が多い。以上を踏まえ、一定のICT活用(注)、又は、事務職員の配置を図っている事業所については、ケアマネジメントの質を確保し介護支援専門員の負担に留意しながら、その取扱件数を増加させることが可能と考えられることから、逓減制の適用を45件からとすることとしてはどうか

(注)ICT活用:・事業所内外や利用者の情報を共有できるチャット機能のアプリを備えたスマホ

・訪問記録を随時記載できる機能のソフトを組み込んだタブレット 等

※ 逓減制の適用を45件からとした場合には、特定事業所加算の要件(10)の介護支援専門員1人当たりの受け入れ可能な利用者数についても合わせて見直しを検討してはどうか。

  •  また、これらの取扱いの際の逓減制の逓減率については、メリハリのついた取扱いとすべきではないか。(※見直しイメージについて、次頁参照)
  •  なお、居宅介護支援費(Ⅰ)の適用上限を超える場合について、現在、事業所が自然災害や感染症等による突発的な対応で利用者を受け入れた場合は、例外的に件数に含めないこととしているが、地域の実情を踏まえ、以下の場合についても例外的な取扱いにすることを検討してはどうか。

・ 事業所がその周辺の中山間地域等の事業所の存在状況からやむを得ず利用者を受け入れた場合

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

こちらも前述のものと同様、居宅介護支援事業の経営者にとっては「朗報」と呼べる改正かもしれません。

仮に、増加する5名分が全て中重度者(要介護3~5)だったと考えると、ケアマネージャー1名当たりの月額報酬増額は、1,373単位×5名=6865単位≒68,650円となります。

下線部にあるように「一定のICT活用、又は、事務職員の配置を図る」等の工夫は確かに必要かもしれませんが、取組を前向きに検討するに値する内容だと言えるのではないでしょうか(他方、44件もの担当を持つことが出来るよう、業務効率化のみならず、ケアマネージャー個々の資質向上も併せて求められることになるでしょう)。

次に、通院時の情報連携、及び看取り期におけるサービス利用前の相談・調整等に係る評価の在り方についてです。

【論点】

  • 居宅介護支援においては、入退院時に係る医療機関との連携を報酬上評価しているが、通院時に同行して医療との連携を図る例があることも踏まえ、医療と介護の連携を強化する観点から、どのような対応が考えられるか。

【対応案】

  • 医療と介護の連携を強化し、適切なケアマネジメントや質の向上を進める観点から、介護支援専門員と医療機関の通院時に係る情報連携について、要件を明確化した上で、報酬上評価を行うことにしてはどうか。

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

【論点】

  • ケアマネジメントについて、退院時等に必要なケアマネジメントの対応を行ったが、サービス利用につながらなかった場合には、居宅介護支援費が算定されない。ケアマネジャーがその役割を効果的に果たしながら質の高いケアマネジメントを実現できる環境整備を進める観点から、どのような対応が考えられるか。

【対応案】

  • 介護保険サービス利用を前提とした退院に係る相談・調整について、看取り期における医療・介護連携を適切に進める観点から、利用者の死亡によりサービス利用につながらなかった場合等に限り、モニタリングやサービス担当者会議における検討等の必要なケアマネジメント業務や給付管理のための準備が行われ、介護保険サービスが提供されたものと同等に取り扱うことができるケースについては、基本報酬の請求を可能とすることにしてはどうか。

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

こちらも前述の「医療介護連携強化」に関連する改正内容として、取組を進めるに値する内容だと思われます。

 

最後は、介護予防支援についてです。

【論点】

  • 介護予防ケアプランの作成等の介護予防支援は、地域包括支援センターにより行われるが、センターはその一部を指定居宅介護支援事業者に委託することができる。しかしながら、委託された介護予防ケアプランは全体の47.7%にとどまっている。(平成28年度実績)(地域包括支援センターが行う包括的支援事業における効果的な運営に関する調査研究事業(平成29年度老人保健健康増進等事業))
  • 令和元年12月の介護保険部会意見書において「外部委託を行いやすい環境の整備を進めることが重要」とされていることも踏まえ、業務負担が大きいとされる介護予防支援におけるケアマネジメント業務について、要支援者等に対する適切なケアマネジメントを実現する観点から、どのような 対応が考えられるか。

【対応案】

  • 業務負担が大きいとされる介護予防支援におけるケアマネジメント業務について、外部委託を行いやすい環境の整備を進める観点から、地域包括支援センターが委託する個々のケアプランについて、委託時における居宅介護支援事業所との連携を評価する加算(委託連携加算【仮称】)を創設することとしてはどうか。

その際、質の高い介護予防ケアマネジメントを実現する観点から、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターとの適切な情報連携等を求めてはどうか。

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

「何年にもわたり指摘・議論されてきた懸案事項がようやく前進した」そんな印象を覚えるような内容です。

あとは委託連携加算【仮称】の金額がどの程度になるのかに注目が集まるところだと思われますが、今までの「0.5件」という予防ケアプランのカウントに立脚し、そこにどの程度の色を付けるか?等の観点から加算額が導き出されるのか、或いは実際の利用者1人1月の労働投入時間データに基づいて導き出されるのか(≒要介護1は139.5分、要介護2は140.1分であるのに対し、要支援1は110.5分、要支援2は111.0分(出典:老人保健健康増進等事業(令和元年度)「居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する業務実態の調査研究事業」))、今後の動向が気になるところです。

議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切

以上、今回は居宅介護支援事業所1点に絞り、代表的な論点について確認・言及させていただきました。

この他にも全サービスにおいて論点、及び対応案が示されていますので、関連サービスについては是非、早めに目を通されておかれることをおススメします。

介護経営者としては「こうなるかもしれない」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地する可能性が高いのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢がますます重要となってくるでしょう(その意味からも是非、介護給付費分科会で提示されている資料も併せてご確認下さい)。

また、早め早めに情報をキャッチアップし、頭の中で“PDCA”を回しておく事も必要です。「もし上記が実行された場合、自社にはどのような影響が出てくるか?」「それら想定される影響に対し、どのような対応を行う事が最適なのか?」幹部育成の視点も含め、そのような議論を社内で始めていかれる事を是非、おススメする次第です。

私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。

 

※本ニュースレターの引用元資料はこちら

第194回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14888.html

著者:enjie_me-admin

KJ法でグループワークをしました

公開日 2020/11/05

久しぶりに社内の取り組みの報告です。

弊社では経営理念、経営方針、行動指針、10年ビジョンなどを定めており、スタッフ全員に配布しております。

社内浸透するため、毎年ブラッシュアップのための取り組みをしており、今年は、経営理念をより具体的にイメージできるため、KJ法でグループワークを行いました。

ちなみに弊社の経営理念は、

“私たちは、幸せな職場作りを通じて、お客様と繋がりを深めて発展に貢献します”
①私たちは、中小企業の経営ソリューション業を目指します。
②私たちは、関わる人すべてが、明るい未来へのサポートをいたします。
③私たちは、お互いを尊重し、成長し、何でも言いあえる職場を作ります。

です。

第1回目のグループワークとして、

”幸せな職場ってどんな職場なの?”
”明るい未来ってどんな未来なの?”

について皆で思ったことを付箋に書き、模造紙に貼って話し合いました。

その内容が下記の写真です。

 

たくさん出て有意義な時間でした。

次回は、

①お客様との繋がりを深めるために、エンジーができることは?
②お客様と共に明るい未来を創っていくために、エンジーができることは?

についてのグループワークを予定しております。

楽しみです。

著者:enjie_me-admin

10月に開催された“介護給付費分科会”のポイントを理解しておきましょう

公開日 2020/11/01

最終更新日 2020/11/05

2021年度法改正・報酬改定に向け、各サービスの具体的な論点が明確に

2021年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。2020年10月に入り、いよいよ、各サービスの具体的な改正論点が明確になってきています。

現状の情報を早めにインプットし、(心構えも含めた)然るべき準備を行っていくために、今回のニュースレターでは、多くの介護事業者が関わられているであろう「訪問介護」「通所介護」について、代表的な論点をピックアップ・確認していきたいと思います。

 

2020年10月開催の「介護給付費分科会」で示された論点(抜粋)とは

では、早速、中身を確認してまいりましょう。

まずは、通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護生活機能向上連携加算についてです。

【論点】

■ 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の生活機能向上連携加算算定率(※)は、
  • 通所介護 事業所ベース:1.2%/3.9% 回数ベース:0.4%
  • 地域密着型通所介護 事業所ベース:0.7%/1.1% 回数ベース:0.2%
  • 認知症対応型通所介護 事業所ベース:2.3%/2.5% 回数ベース:0.4%
  • 介護予防認知症対応型通所介護 事業所ベース:1.8%/3.3% 回数ベース:0.0%

と非常に低くなっている。

加算創設の目的(外部のリハビリテーション専門職と連携することにより、自立支援・重度化防止に資する介護を推進すること)を達成する観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 外部のリハビリテーション専門職との連携を促進するため、訪問介護等における算定要件と同様、ICT活用を認めることを検討してはどうか。また、連携先を見つけやすくするための方策を検討してはどうか。

※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

リハ(=医療職)と介護の連携体制を強化し、より効果的なケアを実行していくためにも「生活機能向上連携加算」の取得促進を進めていきたい、という厚生労働省の意思が明快に反映されたものと思われます。

尚、「検討の方向(案)」の文言は、加算を取得していない理由として、「近隣に該当の事業所・施設が存在するのかが分からない」という声が一定程度上がっていることが背景にあるようです。

 

次に、通所介護・地域密着型通所介護 個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)についてです。

【論点】

■ 通所介護・地域密着型通所介護においては、利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うこととされている。
■ さらに、より効果的に機能訓練を実施する観点から、個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)を設け、利用者の居宅を訪問した上で利用者の居宅での生活状況を把握し、
  • 個別機能訓練加算(Ⅰ):主に身体機能の維持又は向上
  • 個別機能訓練加算(Ⅱ):主に生活機能の維持又は向上

を目指し機能訓練を実施した場合に、評価を行っている。

■ 個別機能訓練加算については、通常規模型・地域密着型において算定率が低く、算定できている事業所であっても、それぞれの加算の目的に応じた機能訓練項目を設定することが難しい場合もあるが、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 個別機能訓練加算について、加算を算定できない理由や、算定できている事業所での機能訓練の実施状況に鑑み、人員配置要件や機能訓練項目の見直しを行うことを検討してはどうか。

※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

人員配置要件について、具体的には、「機能訓練指導員を常勤又は専従により配置することが難しい」という要因が加算不取得理由の多数を占めている状況を受け、この点に見直しが入ってくるものと思われます。

また、機能訓練項目の見直しについては、「個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定している場合において、訓練内容にほとんど差がなく、かつ、個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定している場合でも生活機能に関する訓練はほとんど実施されていない」という調査結果を踏まえての見直しになるものと思われます。

 

次に、通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護入浴介助加算についてです。

【論点】

■ 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の入浴介助加算算定率(※)は、
  • 通所介護 事業所ベース:94.5% 回数ベース:71.5%
  • 地域密着型通所介護 事業所ベース:77.8% 回数ベース:56.2%
  • 認知症対応型通所介護 事業所ベース:98.1% 回数ベース:71.3%
  • 介護予防認知症対応型通所介護 事業所ベース:69.8% 回数ベース:60.7%

と非常に高くなっている。

■ 事業所の中には、単に利用者の心身の状況に応じた入浴介助を行うのみならず、利用者が自立して入浴を行うことができるよう、自宅での入浴回数の把握や、個別機能訓練計画への位置付け等を行っているところもある。
■ これらを踏まえ、入浴介助加算の在り方について、どのように考えるか。

【検討の方向(案)】

■ 入浴介助加算について、現在の算定状況や、入浴介助を通じた利用者の居宅における自立支援・日常生活動作能力の向上に資する取組を行っている事業所の状況をふまえ、見直しを検討してはどうか。

※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋

上記内容及び付随資料の情報だけでは何とも解釈しがたい部分はありますが、可能性として、「入浴介助加算という加算項目が無くなり、個別機能訓練の中の訓練項目の一つとして位置付けられる」という方向性が打ち出されるかもしれない、ということは頭に置いておいた方が宜しいかもしれません(報酬はどうなるの?という点については言及が為されていないので、現時点では方向性が見えづらい状況です)。

 

次に、地域等との連携についてです。

【論点】

■ 通所介護事業所において、利用者が地域において社会参加活動を実施したり、地域住民との交流を図る場を設けるなど、地域等との連携を行っている場合があるが、これらの取組には、
  • 利用者にとって、心身機能の維持向上に資するのみでなく、要介護状態となっても社会で役割をもつことができるようになる
  • 事業所にとって、より地域に開かれた事業を展開することができる

といった効果があると考えられる。

■ 通所介護事業者において、地域等との連携を促進していく観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 地域密着型通所介護等において運営基準上で設けられている地域等との連携にかかる規定を、通所介護においても設け、通所介護事業所における地域での社会参加活動、地域住民との交流を促進することとしてはどうか。

※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋

「“場”を有している」という観点含め、従来の機能に加え、通所介護事業所に今後、“地域連携”という更なる役割を担ってもらいたい、という厚生労働省の意図が明快に反映されたものと思われます。

 

次に、訪問介護 特定事業所加算についてです。

【論点】

■ 訪問介護の特定事業所加算(体制要件+人材要件+重度者対応要件で構成。区分支給限度基準額に含まれる)については、質の高いサービスを提供する事業所を評価するものであるが、区分支給限度基準額を超える利用者が出るとの理由から、要件を満たしているにも関わらず、加算を算定できていない事業所が一定数存在する。
■ 一方で、訪問介護以外のサービスにおける類似の加算であるサービス提供体制強化加算(体制要件+人材要件)については、介護職員の処遇改善に資する加算であり、区分支給限度基準額に含まれない加算とされているため、訪問介護の特定事業所加算についても同様の取扱いにすべきではないかとの要望がある。
■ 訪問介護の特定事業所加算について、重度者対応などの質の高いサービスを提供する事業所を評価していくという政策目的や、有効求人倍率が高い・人手不足感が強いことなどの現状を踏まえ、訪問介護員の処遇改善に向けた取組をより一層推進する観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 訪問介護の特定事業所加算について、
  • 質の高いサービスを提供する事業所を評価する観点から「定期的な事業所内の会議の開催」や「介護福祉士等の手厚い配置」等の体制や人材を評価しているが、対象となり得る事業所を適切に評価する観点から、訪問介護以外のサービスにおいて同様の項目を評価するサービス提供体制強化加算が区分支給限度基準額の対象外とされていることも踏まえて、見直しを検討してはどうか。
  • 地域において難易度が高い介護や質の高い介護を提供する事業所を適切に評価する観点から「重度者対応」の評価は維持しつつ、報酬体系の簡素化の観点からも、見直しを検討してはどうか。

※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

訪問介護における有効求人倍率が「15.03倍(2109年度時点)」となっており、人財確保策の一貫として訪問介護職員の処遇改善の重要性が高まる中、「区分支給限度基準額を超える利用者が出るとの理由から、要件を満たしているにも関わらず、特定事業所加算を算定できていない事業所が一定数存在」していることに対して改善を加え、処遇改善を促進させていこう、というのが本論点の意図となっています。

 

次に、訪問介護の生活機能向上連携加算についてです。

【論点】

■ 生活機能向上連携加算は、自立支援型のサービスの提供を促進し、利用者の在宅における生活機能向上を図る観点から、訪問・通所リハビリテーション事業所やリハビリテーションを実施する医療提供施設のリハビリ専門職・医師と連携して作成した計画に基づく介護を評価。
■ 当該加算については普及が進んでいないところであるが、外部のリハビリ専門職等と連携した自立支援型サービスの提供を効果的かつ効率的に進める観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 生活機能向上連携加算(Ⅱ)について、サービス提供責任者とリハビリ専門職等がそれぞれ利用者の自宅を訪問した上で協働してカンファレンスを行う要件に関して、要介護者の生活機能を維持・向上させるためには多職種によるカンファレンスが効果的であること及び業務効率化の観点から、利用者・家族も参加するサービス担当者会議によることを可能とすることを検討してはどうか。

※また、通所介護における生活機能向上連携加算の検討の方向(案)と同様、連携先を見つけやすくするための方策を検討してはどうか。

※定期巡回・随時対応型訪問介護看護、(介護予防)小規模多機能型居宅介護も同様にしてはどうか。

※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋

本論点も通所介護同様の意図だと理解して差し支えないものと思われます。具体的には、サービス担当者会議の場を有効活用していく、という方向になるでしょう。

 

次に、訪問介護 通院等乗降介助についてです。

【論点】

■ 通院等乗降介助については、居宅要介護者の目的地(病院等)が複数ある場合であって、出発地及び到着地が居宅以外である目的地間の移送(例えば、病院間の移送や通所系・短期入所系サービス事業所から直接病院等に行った場合)については、算定できないこととされている。
■ このような目的地間の移送についても、算定を認めるようにして欲しいとの指摘があるが、通院等乗降介助について、利用者の負担軽減や利便向上の観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 通院等乗降介助について、利用者の身体的・経済的負担の軽減や利便向上の観点から、以下の①+②又は②+③のように、居宅が始点又は終点になる場合には、病院等から病院等への移送や、通所系・短期入所系サービス事業所から病院等への移送についても、介護報酬の算定を認めることを検討してはどうか。

 

※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋

上記変更は極めて現実的・朗報と考えても差し支えないかもしれません。

 

最後に、訪問介護 看取り期における対応の充実についてです。

【論点】

■ 訪問介護については、看取り期における医療との連携に着目した介護報酬上の特別な評価はないが、他のサービスにおいて看取り期への対応に係る加算制度が置かれていることに鑑み、評価を求める要望がある。
■ 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年版)においては、本人・家族等と多専門職種からなる医療・ケアチームが十分な話し合いを行うこととされており、これにはケアに関わる介護支援専門員のほか、介護福祉士等の介護従業者が加わることも想定されている。
■ また、介護現場の実態としても、24時間連絡できる体制を確保したり、職員研修を充実させるなど、看取り期の対応力強化を図るための取組を行っている事例があるほか、訪問介護事業所の訪問介護員が、在宅で生活する看取り期の利用者にサービス提供を行う際に、医療・ケアチームの話し合いに参加しており、その参加率は介護支援専門員と同程度となっている。
■ こうしたことを踏まえ、訪問介護における看取り期への対応の充実を図る観点から、どのような対応が考えられるか。

【検討の方向(案)】

■ 訪問介護における看取り期への対応の充実を図る観点から、看取り期における訪問介護の役割や対応の状況等も踏まえながら、その評価について検討してはどうか。※訪問入浴介護も同様に検討してはどうか。

※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋

現時点においても「看取り対応」を行っている訪問介護事業所も一定数存在すること、及び、訪問介護事業所において「看取り」という言葉が今以上に強く意識されるかもしれないことを含め、こちらも「朗報」と捉えて差し支えないものと思われます。

 

議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切

以上、代表的なサービスの、代表的な論点について確認・言及させていただきました。介護経営者としては「こうなるかもしれない」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地する可能性が高いのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢がますます重要となってくるものと思われます(その意味からも是非、介護給付費分科会で提示されている資料も併せてご確認下さい)。

また、早め早めに情報をキャッチアップし、頭の中“PDCA”を回しておく事も必要かと思われます。「もし上記が実行された場合、自社にはどのような影響が出てくるか?」「それら想定される影響に対し、どのような対応を行う事が最適なのか?」幹部育成の視点も含め、そのような議論を社内で始めていかれる事を是非、おススメする次第です。

※引用元資料はこちら

第188回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14094.html

第189回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14240.html

 

著者:enjie_me-admin

9月に開催された“介護給付費分科会”のポイントを理解しておきましょう

公開日 2020/10/01

最終更新日 2020/10/07

2021年度法改正・報酬改定に向けた議論、いよいよ各論へ

2021年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。2020年6月より本格始動した本会は6月、7月は各2回、8月は3回、9月は2回開催されており、徐々に各サービスの具体的な法改正の論点が明らかになりつつあります。

中でも今回特徴的なのは、「感染症や災害への対応力強化」というトピックスが独立したテーマとして掲げられていること。

これらの情報を早めにインプットし、(心構えも含めた)然るべき準備を行っていく事を目的に、今回は、9月4日に開催された会で挙げられた論点について、内容を確認してまいります。

2020年9月開催の「介護給付費分科会」で示された論点(抜粋)とは

では、早速、中身を確認してまいりましょう。

まずは感染症対策等にかかる現状基準の確認です。施設サービスでは、下記のような対応が「義務(≠努力義務)」として定められています。

◯感染症または食中毒の発生、まん延の防止のための以下の措置を実施
  1. 委員会の開催(概ね3ヶ月に1回)、その結果の周知
  2. 指針の整備
  3. 研修の定期的な実施
  4. 「感染症及び食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手順」に沿った対応

※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

次に災害対策に関する現状基準の確認です。訪問系サービス及び居宅介護支援事業以外の全てのサービスにおいては、下記のような対応が同じく「義務(≠努力義務)」として定められています。

  • 非常災害に関する具体的計画の策定
  • 関係機関への通報・連携体制の整備、従業者への周知
  • 定期的な避難等訓練

※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

また、上記に加え、介護サービスの安定的・継続的な提供のための、「業務継続計画(いわゆるBCP)」についての論点も確認しておきます。

  •  新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)では、特定接種の登録事業者(※1)について、業務継続計画(BCP)の作成が求められており、対象となりうる事業者に対し、「社会福祉施設・事業所における新型インフルエンザ等発生時の業務継続ガイドライン(※2)」が示されている。
  •  また、社会福祉施設等は、災害等にあってもサービス提供を維持していくことが求められており、社会福祉施設等の事業継続に必要な事項を定める「事業継続計画」の作成が推奨され(※3) 、その作成に資するものとして「社会福祉施設等におけるBCP様式(※4)」が示されているところ。
  •  令和2年度第二次補正予算においては、介護サービス事業所のBCPの策定支援のため、各サービス類型に応じたガイドラインの作成や、BCP作成の指導者養成研修のための予算を確保。

※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

上記3点を踏まえた上で、今回の法改正に掲げられている「感染症や災害への対応力強化」についても確認しておきましょう。まずは、感染症への対応に関する現状整理についてです。

■感染症への対応として、運営基準においては、
  • 介護保険施設においては、感染症対策について取組を行うことの義務
  • 通所系・居住系サービスにおいては、感染症対策に関する努力義務

が設けられている。

また、介護保険施設に対しては、「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(平成31年3月改訂)」を示している。

■今般の新型コロナウイルス感染症への対応においては、
  • 介護報酬において、一上記3点を踏まえた上で、今回の法改正に掲げられている

「感染症や災害への対応力強化」についても確認しておきましょう。まずは、感染症への対応に関する現状整理についてです。

一時的に人員基準等を満たせなくなる場合の柔軟な取扱いや、対面での実施が求められる会議の柔軟化、サービス毎の特性に応じた柔軟な取扱いを可能とするなど、臨時的な取扱いを行うとともに、

  • 補正予算等を活用し、衛生物品の確保や設備整備、サービス継続、応援体制の構築、感染症対策の徹底のための支援や、ICT化の支援を行っている。
  • また、社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点や、高齢者施設における感染症発生に備えた対応等を示し、感染症対策の徹底と発生に備えた取組の促進を図っている。

また、現在、「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(平成31年3月改訂)」や今般の新型コロナウイルス感染症における「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点」を踏まえ、全てのサービス類型が対象となる、感染症対策に関するマニュアルや、事業継続計画(BCP)に関するガイドラインの作成を進めている。

※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋

 

次に、災害への対応に関する現状整理についてです。

■非常災害対策として、運営基準においては、
  • 訪問系サービスを除く全てのサービスで非常災害に関する具体的計画の策定等が義務付けられているほか
  • 小規模多機能型居宅介護や認知症対応型共同生活介護においては、訓練に当たっての地域住民との連携の努力義務が設けられている。
  • また、交付金等を活用し、高齢者施設等の防災・減災対策を支援するため、耐震化や非常用自家発電や給水設備の整備を進めている。
■また、災害発生時においては、交付金等を活用し、災害復旧に要する費用についての支援を行うとともに、介護報酬の臨時的な取扱いを可能としている。

具体的には、平成30年度以降、7回、臨時的な取扱いの対象となった災害があったが、その際には、被災により一時的に人員基準等を満たせなくなる場合や、避難所等で生活している者に居宅サービスを提供した場合、被災した要介護高齢者の受け入れにより高齢者施設等で人員超過等した場合に柔軟な取扱いを可能とするなど、臨時的な取扱いを行ったところ。

■さらに、現在、全てのサービス類型を対象に、事業継続計画(BCP)に関するガイドラインの作成を進めている。

※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋

第184回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13243.html

著者:enjie_me-admin

令和元年度 介護労働実態調査結果 のポイントを把握しておきましょう

公開日 2020/09/01

最終更新日 2020/11/05

「介護労働実態調査」の調査結果が発表

2020年8月7日、平成15年度から続く「介護労働実態調査」が公益財団法人介護労働安定センターより発表されました。

今月は、特に認識・確認しておいた方が宜しいかかもしれない情報・データを大きく4点、ピックアップして皆様にお届けさせていただきたく思います。

「さて、この視点において、自社の実情はどうなっているのだろうか?」是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。

「介護労働実態調査」で特に認識・確認しておいたほうが良いデータ

では、早速、中身に移ってまいりましょう。まずは「家族の介護の状況(年齢階級別)」についてです。

1)家族の介護の状況(年齢階級別)

「現在、介護している」は「55 歳以上60 歳未満」が26.2%と最も高く、次いで「60 歳以上65 歳未満」が23.9%、「50 歳以上55 歳未満」が21.8%となっています。

介護経営者としては突然の離職発生等のリスクを事前防止することを含め、自社のスタッフにおいての現状の情報収集を行っておいた方が宜しいかもしれません。

特に50歳以上のスタッフが多い職場では、具体的にどのような対応が可能かを考えていくことが必要・重要だと言えるでしょう。

では、2番目の項目に移ってまいります。介護や妊娠・出産・育児に係る両立支援のための取組みについてです。

2)介護や妊娠・出産・育児に係る両立支援のための取組み

「介護休業や介護休暇を就業規則に定めている」と「育児休業や育児休暇を就業規則に定めている」が7割前後の事業所で行われている一方、「育児休業や育児休暇の内容や利用手続に関して、従業員全員に周知している」「介護休業や介護休暇の内容や利用手続に関して、従業員全員に周知している」は5割前後に留まっています。

周知すること無しには、規則を定めていても活用していくことができず、「知らなかった」ことが理由となって離職につながってしまうことも大いに考えられることです。

その意味でも自社内でしっかり情報が浸透しているか、念のために確認をしておいた方が宜しい法人も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

では、3番目の項目に移ってまいりましょう。現在の仕事の満足度調査についてです。

3)現在の仕事の満足度

満足度D.I.(「満足」+「やや満足」から「やや不満足」+「不満足」を引いたもの)をみると、「仕事の内容・やりがい」「職場の人間関係、コミュニケ-ション」「雇用の安定性」「職場の環境」については高い項目となっており、一方、低い項目は「賃金」「教育訓練・能力開発のあり方」「人事評価・処遇のあり方」等になっています。

自社の現状を振り返り、職場改善のヒントとしていきましょう。それでは最後、4番目の項目に移ってまいります。早期離職防止や定着促進のための方策についてです。

4)早期離職防止や定着促進のための方策

 

こちらは、早期離職防止や定着促進のための方策についての調査となります。スタッフの定着率にお悩みの経営者の皆様は、自社でできることが無いか、確認しておくことをおすすめする次第です。

自社の現状を把握し調査結果と比較することで対応を検討

以上、4点ほどデータをピックアップして概要・ポイントをお届けいたしました。

まだまだ様々な視点のデータが公表されておりますので、詳細は下記URLを参照いただければと思います。

介護経営に携わる方や人事・組織づくりに携わる皆様は、自社の現状を把握し、調査結果と比較することにより、様々な気付きや学び、或いは改善のヒント等を得ることが出来るものと思われます。

そのような視点で是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。

今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

 

※本ニュースレターの引用元資料はこちら

令和元年度 介護労働実態調査結果について

http://www.kaigo-center.or.jp/report/2020r02_chousa_01.html

著者:enjie_me-admin

7月に公表された「骨太方針2020」のポイントをおさえておきましょう

公開日 2020/08/01

最終更新日 2020/07/31

行政舵取りの「羅針盤」とも言える方針が公表

2020年7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(通称:骨太方針2020)。新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への甚大な影響により、改めて浮き彫りになった課題・リスク・取組の遅れを受け、「新たな日常」の実現に向けてどのような施策が展開されていくのかが示されています。

本書面の中で、介護業界に対してはどのような言及が為されているのか?今回は特に事業者として注視すべき5つのポイントをトピックスとして採り上げ、お届けしてまいります。

 

「骨太方針2020」で採り上げられている介護業界に関連するトピックス

では、早速、中身に移ってまいりましょう。相互にリンクする箇所等もあるため重複する内容もありますが、漏れが生じないよう全てを列挙させていただきます。

  • 社会保障については、感染症対策により医療・介護システムの課題として認識された、柔軟で強靱な医療提供体制の構築、デジタル化・オンライン化を実現する。世界に誇る国民皆保険を維持しつつ、社会保障制度について、基盤強化期間内から改革を順次実行し、団塊の世代が75歳以上に入り始める2022年までに基盤強化を進めることを通じ、より持続可能なものとし、次世代に継承する。
  • 国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの体制強化を図るとともに、一体的な取組を進めるための体制を構築する。また、介護・障害福祉施設に対する個室化など環境整備や在宅サービスも含めた感染拡大防止のための支援を行っていく
  • 求人数が全体として感染症の影響で減少している一方、介護、ITなど労働需要の高い職種も一部に見られ、また、「新たな日常」の下では労働需要の構造が大きく変化することが見込まれる。このため、離職者向けの公共職業訓練や求職者支援訓練を通じ、就職に必要な職業スキルや知識の習得を促し、ニーズの高い職種、成長分野へのマッチングを進めるとともに、優良な職業紹介事業者の明確化等により、医療介護福祉保育等の人材を円滑に確保する
  • 感染症、災害、救急等の対応に万全を期すためにも、医療・介護分野におけるデータ利活用やオンライン化を加速し、PHRの拡充も含めたデータヘルス改革を推進する
  • 感染症の下、介護・障害福祉分野の人手不足に対応するとともに、対面以外の手段をできる限り活用する観点から、生産性向上に重点的に取り組む。ケアプランへのAI活用を推進するとともに、介護ロボット等の導入について、効果検証によるエビデンスを踏まえ、次期介護報酬改定で人員配置の見直しも含め後押しすることを検討する。介護予防サービス等におけるリモート活用、文書の簡素化・標準化・ICT化の取組を加速させる。医療・介護分野のデータのデジタル化と国際標準化を着実に推進する。

国策の“風”を読み取り、早め早めの準備を

以上、「骨太方針2020」より、介護業界に直接関係のある部分のみを抜粋してお伝えさせていただきました。

繰り返しになりますが、本内容は国全体の舵取りの羅針盤方針的な位置づけであり、それ故、相応の重みを伴なった情報であることを強く認識しておく必要があろうかと思います。

事業者としては上記内容を踏まえつつ、「これらの情報に対し、自社としてどう適応していくか?」について事前に頭を働かせておくことは勿論、内容によっては打ち手や対策を早急に検討・開始していくことが重要だと思われます。

是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。

※の引用元資料はこちら

「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(骨太方針2020)

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2020/decision0717.html

著者:enjie_me-admin

令和2年度第二次補正予算(厚生労働省分)の内、注目すべき2点の予算メニューについて確認しておきましょう

公開日 2020/07/01

最終更新日 2020/11/05

令和2年度第二次補正予算案が可決・成立

「第二波」「第三波」等の言葉が叫ばれる中、“Withコロナ”の姿勢と共に、経営に対する“備え”の重要度がますます高まりつつある、昨今のコロナウイルス感染症問題。

そのような中、「感染拡大の抑え込み」と「社会経済活動の回復」の両立を目的に、2020年6月12日、令和2年度の第二次補正予算案が可決・成立されました。

今回はその中から厚生労働省主管分に焦点を当てつつ、特に介護業界に大きく関連するであろう2つの予算内容についてピックアップし、お伝えしてまいります。

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)

では、早速、中身を確認してまいりましょう。まず1つ目は、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)についてです。

※令和2年度厚生労働省第二次補正予算案(参考資料)より

 

こちらは感染症対策を徹底しつつ、介護サービスを再開し、継続的に提供するための事業者への支援となります。

具体的な支援内容として掲げられているものは、下記の通りです。

  • 感染症対策のために必要な物品の購入
  • 外部の専門家などによる研修の実施
  • 感染発生時の対応
  • 衛生用品の保管などに柔軟に使える多機能型簡易居室の設置

感染症拡大防止を大前提としつつ、万一、感染症が発症してしまった場合にも速やかに対応できるよう、設備や備品等、環境を整えることを目的とした支援が中心となっています。

また、「補助率100%(実施主体は都道府県)」という点も要注目です。多くの事業所様にとって「強い味方」の交付金となるのではないでしょうか。

続いて、2つ目の予算内容を確認してまいりましょう。

介護分野における効果的な感染防止等の取組支援事業

2つ目は、介護分野における効果的な感染防止等の取組支援事業についてです。

※令和2年度厚生労働省第二次補正予算案(参考資料)より

 

前述の予算との線引きが若干曖昧に感じられるところはあるものの、こちらは主に感染防止対策に対する「中長期視点に基づいた、ソフト面中心の補助メニュー」と理解・整理することが出来るかもしれません(その意味では、前述の「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の場合は設備や備品といった“ハード面中心の補助メニュー”だと理解しても差し支えないでしょう)。

日常的な相談窓口の設置に対する費用、感染対策のマニュアル作成費用、専門家による研修費用、業務継続計画(BCP)の作成費用等に対する支援が例として挙げられています。

また、こちらの事業も前述のものと同様、「補助率100%(実施主体は都道府県)」と書かれているものが多い点は同じく要注目だと言えるでしょう。

未来を見据えて早めに取り組みの検討・実施を

以上、令和2年度第二次補正予算(厚生労働省分)のうち、介護業界に大きく関わる点について採り上げ、簡単に解説させていただきました。

支援の開始時期や具体的な手続き方法等については今後、各自治体より順次発表されるかと思いますので、行政からの情報に対しては敏感になっておく必要があるかと思われます。

また2020年4月まで遡っての請求申請」が可能という話も出ておりますので、必要に応じて過去の購入内容や領収書を事前整理しておいても宜しいかもしれません。

機会損失を起こさぬよう、しっかり活用できるものは活用し、今後の事業所の運営に役立てていくことを強くお勧めする次第です。

今月も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

の引用元資料はこちら

令和2年度厚生労働省第二次補正予算案(参考資料)

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/02index.html

 

著者:enjie_me-admin

「withコロナ」時代に介護経営で取り組むべきことを準備していきましょう

公開日 2020/06/01

最終更新日 2020/05/29

新型コロナウイルスによる大きな環境の変化

5月14日(木)に39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されて以来、徐々に緊張感が緩まり始めてきています。このような環境変化に比例するかの如く、ここ数日の間に「今後、感染症のある社会(≒Withコロナ社会)ということを前提に考える中で、介護経営としてはどのような準備をすべきでしょうか?」というご質問を立て続けにいただく機会がありました。そこで今回は、現時点で感じている視点・ポイントについて是非、皆様に共有させていただきたく思います(叩き台として活用いただければ幸いです)。

「with コロナ」を前提に考える中で、介護経営としてどのような準備をすべきか

では、具体的に考えていく上で、下図のようなマトリックスに基づいて考えてみたいと思います。

※株式会社ケアビジネスパートナーズにより作成

 

先ずは左下、「運営×守り」の領域について。

一言で言えばこの領域は、「運営OSのバージョンアップ」と呼べるかもしれません。

ここから先は、“感染症予防”というキーワードを前提にすべてのものごとを考えなければならなくなることは明らかです。

今回はなんとか緊急対応で凌ぐことが出来た事業者様もいらっしゃるかと思いますが、“改善”というよりは抜本的な“改革”という観点で、知識やスキルの習得は勿論のこと、職場内の基礎環境や業務プロセス全体を全て見直し、再構築していく必要があるでしょう。

次に左上、「運営×攻め」の領域について。この領域のメインテーマは「顧客エンゲージメント(≒心理的つながり)の強化」だと考えています。

今回のコロナをきっかけに、特にデイサービスなどでは利用控えをされた方も多かったのではないかと思います。

また、利用を継続されている方々の中にも、Beforeコロナの時代には経験したことがなかったような不安やストレスを感じられている方々もいらっしゃるかもしれません。

そのような皆様の状況に対し、専門職としてどのようなスタンスのもと、どのような配慮やコミュニケーションを提供していくべきなのか?例えば入居系サービスを提供されている某法人様では、ご家族と面会できないご利用者の心理的ストレスを少しでも軽減できるよう、ご利用者の要望に応じて“お手紙”“電話”“ビデオ通話”など様々なツールを使い分けているそうです。

「職員側の感覚や都合でツールを選択するのではなく、ご利用者様が安心する、望むものを」という視点に基づき、コミュニケーションツールについても複数の選択肢を準備されている話をお聞きし、「正にソーシャルワーク視点に基づく価値提供だなぁ」とあらためて学びをいただいた次第です。

 

さて、今度は右下、「経営×守り」の領域について。今回のコロナ禍により、Beforeコロナ時代には予想も出来なかった「突然の収入減」や、「職員の心理ストレスの増大」等が浮き彫りになりました。

同様の状況が今後また発生するかもしれないことを前提として、また、マトリックス上の左側の領域(=「運営×守り」「運営×攻め」の領域)を実現していくためにも、何をおいてもまずは、事業体としての「基礎体力増強」をはかっておくことが不可欠かと存じます。

具体的には「ヒト」「カネ」の視点が重要かと思いますが、例えば「ヒト」視点については、職員に生活上の補償だったりメンタル面のサポートだったり等、可能な限り、不安を取り除けるような工夫を施すこと。そして「カネ」視点はシンプルに「資金調達」や「コストダウン」により、余裕資金を可能な限り確保していくことが重要になってくるでしょう。

ちなみに「ヒト」の部分について、慰労金の支給を検討されている法人もいらっしゃるかと思いますが、是非、支給の際には一手間かけ、皆様の「想い」をしっかりと伝えていただきたいと思います。

例えば某法人様では慰労金を支給する際、代表者名で次のような手紙を添えられたとのことで、代表の想いに感激・涙し、使命感と誇りに気持ちを新たにされた職員も数多くいらっしゃったそうです。

このコロナウイルスの感染が広がる中、以前と全く変わりなく多くのご利用者に接して下さっている職員の皆様に心より感謝いたします。医療現場と同様に介護現場も感染リスクが高いにも関わらず、皆様はご利用者の身体能力維持やご家族の安心のために日々尽力して下さっています。(中略)ほんのささやかではありますが、みなさまの毎日の奮闘に敬意を表して慰労金を送らせていただきます。(中略)この先、友達と会ったり旅行に出かけたりできる日が必ず来ます。その日まで皆で手を取り合って、不安を一人で抱え込まずに過ごしていきましょう。マスク無しの笑顔の皆様と会える日を楽しみにしています」・・・・

 

そして最後、右上の「経営×攻め」の領域について。

ここのテーマは “イノベーション”です。

今までは人材不足の話からこの領域が注目されつつも、なかなか取り組みが進まない、という実態が多かったと思われますが、“非対面”“非接触”“非集合”でも業務可能となるICTやロボットを導入すること自体が感染対策にもつながりますし、右下で話した職員の安心感の増大にも貢献するであろうことは間違いありません。

今まではテクノロジーの導入になんとなく後ろ向きだった方も、考え方自体をアップデートさせていかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。

またこの領域の重要テーマとして「新たな収益源の確保(新規事業)」も付け加えさせていただきたいと思います。

今回のコロナ禍を受け、「現状の事業だけでは将来が不安」という想いや危機感を改めて強くした方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。

この機会だからこそ、未来を見据えて自社の新たな柱となるような“新規事業”を本気で考えてみる必要があるのではないかな、と感じる次第です。

未来を見据えて早めに取り組みの検討・実施を

以上、思考の叩き台として活用してみていただければ、との想いのもと、簡単にまとめさせていただきました。

「今回のアクシデントは自社に何を示唆してくれているのか?」について冷静に考え、これから新たな第一歩を踏み出されることをお勧めする次第です。

今後も引き続き、本テーマを含め、より有益な情報・事例等を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

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