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来年度に予算が倍増される 「保険者インセンティブ」の大枠・方向性について確認しておきましょう

著者:enjie_me-admin

来年度に予算が倍増される 「保険者インセンティブ」の大枠・方向性について確認しておきましょう

公開日 2020/03/01

最終更新日 2020/03/24

2020年度(令和2年度)の「保険者インセンティブ」の大枠・方向性が明らかに

「経済財政運営と改革の基本方針2019(いわゆる『骨太方針2019』)」に明文化され、その後の「介護保険制度の見直しに関する意見(2019年12月27日上梓)」でも大きく採り上げられる等、徐々に業界内でもその重要性が認識されつつある「保険者インセンティブ(今年度までの正式名称は『保険者機能強化推進交付金』)」。

その予算が来年度より200億円から400億円に倍増されることが既に決定している中、本インセンティブに対する大枠・方向性が、先月開催された「全国厚生労働関係部局長会議(以降、『同会議』と表記)」にて新たに発表されました。

今回、新たに発表された内容のポイントをピックアップし、皆様にご紹介してまいります。

「保険者インセンティブ」2020年度(令和2年度)の大枠・方向性とは

では、早速、中身の確認に移ってまいりましょう。

同会議の老健局資料には、介護予防・健康づくり等に資する取組を重点的に評価することを目的に、次のような新たな文言(下記枠内の下線)が記載されています(これが今回のの最大のポイントです)。

令和2年度においては、公的保険制度における介護予防の位置付けを高めるため、保険者機能強化推進交付金に加え、介護保険保険者努力支援交付金(社会保障の充実分)を創設し、介護予防・健康づくり等に資する取組を重点的に評価することにより配分基準のメリハリ付けを強化

前述の通り、2019年度(令和元年度)においては「保険者機能強化推進交付金」しか枠組みが存在しておらず、故に今回の予算倍増もこの「保険者機能強化推進交付金」の予算額が200億円から400億円に増額される、との解釈が一般的でした。

しかしながら今回は、予算使途の意味付け、及び予算倍増に伴うメッセージをより一層明確化すべく、「保険者機能強化推進交付金で総予算200億円(内、都道府県分として10億円、市町村分として190億円)」「介護保険保険者努力支援交付金で総予算200億円(内、都道府県分として10億円、市町村分として190億円)」の2段構造へと変更になった次第です(下記はそのイメージ)。

※令和2年1月17日「全国厚生労働関係部局長会議」老健局資料より抜粋

 

上記イメージ図に記載がある通り、新設された「介護保険保険者努力支援交付金」は「予防・健康づくりに関する項目のうち重要な項目」に重点的に振り分けられることになります。

使途として重なる部分は色々と出てくると思われますので精緻な区分にはなり得ませんが、雑駁に整理してしまえば、保険者機能強化推進交付金は各保険者の「基盤(機能)整備」を中心に運用され、介護保険保険者努力支援交付金は予防・健康づくりに対する「アウトカム(成果)」を中心に運用される、と理解することが出来るのではないでしょうか。

では、予防・健康づくりに対する「アウトカム(成果)」とは一体、どのようなものなのでしょうか?

現時点においては2020年度(令和2年度)の評価指標は未だ開示されていないため、「まだ分からない」というのが正直なところですが、参考として、例えば2019年度(令和元年度)においては次のようなアウトカム指標が設定されていました。

【その1:ケアマネジメント領域】

<指標>個別事例の検討等を行う地域ケア会議における個別事例の検討件数割合はどの程度か

(個別ケースの検討件数/受給者数)

ア 個別ケースの検討件数/受給者数 ○件以上(全保険者の上位3割)

イ 個別ケースの検討件数/受給者数 ○件以上(全保険者の上位5割)

<配点>ア12点 イ6点 ア又はイのいずれかに該当すれば加点

<時点>2018年4月から2018年12月末までに開催された地域ケア会議において検討された個別事例が対象

 

【その2:医療・介護連携領域】

<指標>居宅介護支援の受給者における「入院時情報連携加算」又は「退院・退所加算」の取得率の状況

ア 〇%以上(全保険者の上位5割)入院時情報連携加算

イ 〇%以上(全保険者の上位5割)退院・退所加算

<配点>各6点 ア又はイのいずれかに該当すれば加点

<時点>2019年3月時点及び2018年3月から2019年3月の変化率が対象

 

【その3:介護予防/日常生活支援】

<指標>介護予防に資する住民全体の通いの場への65歳以上の方の参加者数はどの程度か

(【通いの場への参加率=通いの場の参加者実人数/高齢者人口】 等)

ア 通いの場への参加率が〇%(上位3割)

イ 通いの場への参加率が〇%(上位5割)

<配点>ア15点 イ8点 ア又はイのいずれかに該当すれば加点

<時点>前年度実績(2018年4月から2019年3月)

 

【その4:要介護状態の維持・改善の状況等】

<指標>

1.軽度【要介護1・2】(要介護認定基準時間の変化)

一定期間における、要介護認定者の要介護認定等基準時間の変化率の状況はどのようになっているか。

2.軽度【要介護1・2】(要介護認定の変化)

一定期間における要介護認定者の要介護認定の変化率の状況はどのようになっているか。

3.中重度【要介護3~5】(要介護認定基準時間の変化)

一定期間における、要介護認定者の要介護認定等基準時間の変化率の状況はどのようになっているか。

4.中重度【要介護3~5】(要介護認定の変化)

一定期間における要介護認定者の要介護認定の変化率の状況はどのようになっているか。

<指標(1~4共通)>

ア 時点(1)の場合〇%(全保険者の上位5割を評価)

イ 時点(2)の場合〇%(全保険者の上位5割を評価)

<配点(1~4共通)>

15点 ア又はイのいずれかに該当すれば加点

<時点(1~4共通)>

(1)2018年1月→2019年1月の変化率

(2)2018年1月→2019年1月と2017年1月→2018年1月の変化率の差

※以上「2019年度保険者機能強化推進交付金(市町村分)に係る評価指標」より抜粋

 

上記4点については次年度も引き続き評価指標に盛り込まれる可能性も高く、加えて私見ながら、今後、上記以外にも“科学的介護”との連動の中で「ADLのアウトカム(バーセルインデックスetc)」「認知症のアウトカム指標(認知症行動障害尺度としてDBD13・意欲指標としてのバイタリティインデックスetc)」その他にも栄養管理、口腔ケア、排泄ケア等の重要領域についても様々な指標が新設される可能性も考えられるでしょう(保険者インセンティブのスキームを活用する場合もあれば、現状のADL維持等加算のように“事業者向け加算の拡充”というスキームを活用する場合もあるかもしれませんが)。

 

自社に影響を及ぼしそうな内容、及び自社が貢献できそうな内容を読み取り、早めに取り組みの準備・整備を

以上、次年度に新設される「介護保険保険者努力支援交付金」の大枠・方向性、並びに2019年度(令和元年度)の「保険者機能強化推進交付金」で採用された主なアウトカム指標についてご紹介させていただきました。

昨今の議論の流れから、国としてもこの“保険者インセンティブ”の取り組みを重視していることは誰もが知るところだと思います。

その意味でも事業者の皆様としては今後、公表される評価指標の内容全体にしっかり目を通した上で「自社に影響を及ぼしそうな指標」「自社が貢献できそうな指標」等についてピックアップし、早めに準備・整備を行っておく必要があると言えるでしょう。

※本状の引用元資料はこちら

令和元年度 全国厚生労働関係部局長会議

https://www.mhlw.go.jp/topics/2020/01/tp0107-1.html

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