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バランススコアカードを使った将来のビジョンや策定について

著者:enjie_editor

バランススコアカードを使った将来のビジョンや策定について

今回のコラムは、介護福祉事業所における将来のビジョンや展望をどのようにして作成していくかについて解説していきます。 ビジョン策定には現在の会社の姿を知る必要があります。 現在の姿を漏れなく、ダブりなく知るために役立つフレームワークを使いながら考えていきましょう。

 

目次


 

<会社の将来のビジョンを策定する前に>

会社の将来のビジョンをいきなり策定するのは非常に難しいです。
ビジョン策定を急ぐ前に、まずは現在の姿を知ることから始めるとよいでしょう。
現在の姿を知るために今回は、バランススコアカード(BSC)と呼ばれるフレームワークを使っていきます。

バランススコアカードは、会社の構成要素を上図のように4つの構成要素で定義したものです。

<財務>
会社の売上や利益を表す損益計算書(P/L)の数字や会社の経営状態を表す貸借対照表(B/S)の数字を表現します。

例えば、介護福祉事業所における売上(給付)が現在どの程度なのか、働いてくださる従業員さんの人件費はどの程度なのか、毎月の事務所の家賃など

<顧客>
財務の層で定義した売上や利益をもたらす顧客に対して、どのようなアプローチ(マーケティング)をしているのかを考えます。

例えば、介護福祉事業所の利用者数は現在どの程度か、どのような施策で利用者を増やそうとしているかなど


<運営>
顧客の層で定義したアプローチは介護福祉事業として、今現在どのようにして実現されているのかを確認します。

例えば、施設内や設備は清潔に保たれているか、従業員さんのサービスの質はどうなっているか、標準化されているのか、普段の業務プロセスはどうなっているのか等について考えていきます。

<人>
業務を実行する従業員さんの能力やスキル、資格、また従業員さんを評価する体制は現状どうなっているかを確認していきます。

例えば、介護福祉士、理学療法士、言語聴覚士は今何人いるのか、人事考課では何を評価しているのか、そもそも従業員さんの貢献意欲や経営者層とのコミュニケーションはどうなっているか等を把握していきます。

財務から顧客、運営、人はそれぞれ密接につながっています。
会社が目標とする売上を達成するには、マーケティングを適切に計画しなければならず、マーケティングを実行するには、社内の体制が十分に整っている必要があります。 そもそも従業員さんに十分な教育を施していないならば、社内体制を整えることもできないでしょう。 このように会社の姿を4つの階層で示していくことで、自然と会社の姿が浮き彫りになっていきます。

<バランススコアカードで「現在の姿」を把握する>


次は、実際にバランススコアカードを使って現在の姿を把握してみましょう。
例として、訪問介護のバランススコアカードを作成してみます。
上図はあくまで例ですが、ぜひ自社に置き換えてみてください。情報を整理することで意外な発見が見えてくると思います。
また、ポイントは「構造化」です。バランススコアカードの各階層の隣にさらに別の要素を付け加えました。
こちらも絶対的な指標はないので、参考までにとどめて頂ければと思いますが、バランススコアカードで4つの階層に分けただけでは、何を切り口にしたらよいのか?の根本的な解決策にはなっていません。

そこで、各階層をもう少しだけ要素分解して表現していきます。 財務であれば、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)が代表的なものになるでしょう。

要素分解することで、それぞれに対応する現在の姿を把握できるだけでなく、漏れやダブりの可能性も低くなります。

<バランススコアカードで「将来の姿」を策定する>

 
ようやく、今回のメイントピックの会社のビジョン、将来の姿について考えていきます。
とはいいつつも、先ほどの現在の姿を把握する考え方と殆ど変わりありません。

将来の姿を5年後としたときに4つの各階層が現在の階層よりも良くなっているイメージを持たせることが重要です。

現在の姿と変わりなければ、ビジョンを策定する意味に乏しくなってしまいます。
異なるのは、定性的姿と定量的姿を設けているところです。
定性的姿とは、数字で表すことが難しい状態目標のようなものです。

例えば、利用者さんからより一層信頼されている、地域で一番働きやすい会社になっている、等です。

定量的姿とは、数字で表現できるものです。分かりやすく売上や利益目標は立てやすいでしょう。

このほかにもケアマネージャー取得者を3人以上といった表現をすることもできます。

定量的姿を表現してあげることで、5年後に達成できたのか答え合わせする意味もあります。

それでは、最終的な会社のビジョンはどこになるのか?という疑問が残ると思いますが、 これは、バランススコアカードの最上位に位置する財務の定性的姿がそれにあたります。

例えば、財務の定量的目標が売上5億円だったとします。 この売上を達成したとき周りの関係各所から自社はどのような姿として認知されているのか、どのような姿としてみてもらいたいのか、といった具合です。

逆に言えば売上5億円を達成しているということは、下の階層にある顧客、運営、人のそれぞれで定義した姿になっているということです。 そうでなければ、売上5億円を達成できていないはずです。
 

<まとめ>

 
今回のコラムは、少々回りくどく、抽象的な考え方なのでとっつきにくいかもしれませんが、順を追って考え進めることで、会社にとって適切なビジョン策定が可能となります。
また、 ビジョンを策定する際には、社長一人で考えるのは避けて従業員を巻き込んでいくことをお勧めします。 「運営」や「人」は、社長のお考えと従業員さんの現場の肌感覚に大きな乖離があることが多いように感じます。

社長は方向性を示しますが、行動するのは従業員さんなので、こうしたすり合わせを丁寧にすることで全社的に納得度の高いものが仕上がります。
 

 

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