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公開日 2023/11/15
最終更新日 2023/11/17
今回は、生活介護事業所を例にとって売上高の算定方法から、事業を進めるうえで大切な収支計画の立て方について解説していきます。
障害福祉サービスにおける売上算定構造は以下の式のようになっています。
売上(給付金)=
サービスごとに算定した単位数×サービスごと、地域ごとに設定された1単位の単価
この式に更に加算減算を加えることで最終的な売上となっていきます。
たとえば、生活介護を名古屋市内で提供している施設(定員20名以下)で、障害支援区分3に該当される方にサービスを提供したと仮定して、売上を算定していくと
単位数:1,288 × 地域単価:10.92円 × 利用者1名 = 14,064円/日(小数点以下は切り捨て)
このように計算できます。
なお、この売上は障害支援区分6の方1名に対してサービスを1日提供したものとして計算されます。
20名を定員とする施設であると仮定し、利用者20名全員が障害区分6の方だとすると、
この施設の売上は以下のように計算できます。
単位数:1,288 × 地域単価:10.92円 × 20名 = 281,299円/日(小数点以下は切り捨て)
このように計算できます。
これを、23日で計算すると(土日を休みとして)
281,299/円 × 23日 = 6,469,877/月 となります。
この売上を達成するには、20名の利用者が1か月の間、誰一人欠かさず利用いただかなければなりません。
つまり稼働率が100%の状態を継続させる必要があるということです。
障害福祉で売上を高めていくためには、利用者数をいかに維持できるかが重要ということがわかります。
売上の構造がわかったところで、本題の収支予算の立て方です。
損益計算書(P/L:一年間の経営成績)の中身はおおむね上図のようになっています。
売上から経費(今回の場合、固定費)を引くことで経常利益が出るということですが、この利益について会社としてどの程度の利益が欲しいのかをあらかじめ利益の中に組み込んでおくと予算が立てやすくなります。
先ほどの図を少しだけ具体化させてみます。
例えば、借入金返済で年間120万円、将来の多店舗展開に必要な投資原資を年間180万円を組み込むと必要な経常利益は300万円となります。
次に、固定費の予算立てです。
固定費は以下のように分類分けするとわかりやすいです。
①人件費
給与や福利厚生費など人に関する経費
②未来に発生する費用
教育費用、広告宣伝費など投資的な意味合いを持つ費用をあらかじめ予算に組み込む
③一般経費
水道光熱費、家賃、旅費交通費など会社を運営させていく為に必要な経費
④減価償却費
資産として計上してある建物や機械装置などの減価償却費を計上
例では人件費1500万円、家賃を200万円、その他の経費を1000万円として合計で2700万円となるようにしています。
先の300万円と合計して売上は3,000万円必要ということになります。
今回の例を3年間推移させてみます。
1~2年目までは、生活介護や居宅介護のサービス提供から始まり3年目には、放課後等デイの売上も新たに増えるように、予算組させています。
これに伴って人件費についても上乗せさせています。
売上から経費を引くという単純な計算だけですが、自身のビジネスが何に幾らかかるのかを把握することは経営者にとって非常に重要な視点です。
今度は、月ごとの推移をみるようにします。
4月を期首としたとして、その1年間の推移を月ごとにシミュレーションしたものです。
なお、今回は創業1年目を想定しています。
スタートしてすぐは利用してくださる方もおらず、固定費が売上を上回ってしまいます。
家賃や従業員さんの給与は成果が出ても出なくても発生するものなので、適切な固定費設計が必要です。
独立行政法人福祉医療機構の調査によると、赤字の施設と黒字の施設とで顕著に差が表れたのが、人件費比率だといわれています。
黒字企業では人件費比率が60%程度であったのに対して、赤字企業では80%近くあったとあります。
出所:平成 29 年度 生活介護(障害福祉サービス)の経営状況について
人員が過剰でないかという視点や少人数でも効率よく運営していくにはどのような工夫が講じられるのかを創業段階で綿密に計画することが成功への近道といえそうです。
また、創業資金として仮に1000万円ほど準備していたとしても、このシミュレーションだと3カ月で約500万円の赤字になる計算です。
事業が軌道に乗るには、相応の期間を要しますので少なくとも売上げが全くなくとも6カ月以上は継続できるほどの資金を最初に用意しておくことが良いでしょう。
指定申請に必要な書類一覧 | |
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そもそもの事業を始めるには、上記の通り非常に多くの書類を準備する必要があります。
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