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社会保険労務士法人エンジー
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営業時間 平日:8:30-17:30
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公開日 2025/07/24
みなさん、こんにちは!
社会保険労務士法人エンジーでは、介護施設や障害福祉サービスを運営している事業者様に向けて、様々な情報を発信しています。
介護・福祉施設の運営・経営をしていると「36協定の届出を出さなければいけないけど…」「そもそも36協定ってどんな内容だっけ?」「残業の上限規制はどうなっているんだっけ?」といった疑問が生まれることがあると思います。
36協定について一度は耳にしたことがあっても、実際にどのような内容なのか理解していない人が多いのではないでしょうか。
今回のブログでは、そんな36協定への疑問を解決するガイドとなりますので、ぜひ最後までご覧ください。
36協定は「サブロク協定」と読み、労働基準法で定められた法定労働時間「1日8時間、週40時間」を超えて従業員に残業(時間外労働)や休日労働をさせる場合に、使用者と従業員の間で締結する協定のことです。
正式名称は「時間外・休日労働に関する協定」で、労働基準法第36条に規定されていることから、一般的に36協定(サブロク協定)と呼ばれています。
36 協定を締結 + 所轄労基署へ届出しない限り、法定労働時間(1 日8 h/週40 h)を超える残業や法定休日出勤は一切させてはいけません。また、協定を作成していても届出より前の残業・休日労働は違法となります。
上記のように、36協定の控えの提示を求められた際に発覚することもあります。
「あとから出せばセーフ?」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、これは間違い。届出日以前の残業は全て違法となりますので、きちんと届出ることが必要です。
労働基準監督署から行政指導のリスクもあります。悪質・再犯・虚偽報告の場合は過去に書類送検されるケースも。
きちんとルールに則って経営・運営していくためにも、しっかりポイントを押さえておきましょう!
先ほどもご説明いたしましたが、労働基準法第36条に規定されています。協定を締結し、労基署へ届け出て、初めて時間外・休日労働が合法になります。
原則として月45h・年360hが上限となります。
特別条項を付けた場合でも、年720h・複数月平均80h(単月100h)が絶対上限です。
36協定における労働者代表は、労働者の過半数を代表する者のことです。この代表は労働者の意見を会社に伝える重要な役割を担うのですが、「投票または挙手」で公正に選ぶ必要があり、管理監督者や会社の意向で選ばれた者は労働者代表にはなれません。
夜勤も法定労働時間を超える部分は36協定の対象となります。勤務間インターバルが11h未満だと違法残業リスクありと判断されますので、注意が必要です。
介護業界では《夜勤明け+日勤入り》の連続勤務が多くなりやすいので、上限時間よりインターバル確保の指導が増えています。
1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて残業を命じる場合は、36協定の届出が必要になります。
ここで注意するべきポイントは「法定労働時間」と「所定労働時間」です。
所定労働時間とは、会社が就業規則などで取り決めている労働時間のことです。
たとえば「9時出社 休憩1h 17時退勤」と会社で定めた労働時間だった場合、所定労働時間は7時間となります。18時まで残業した場合は1時間残業したことになりますが、7時間+1時間=8時間ですので、法定労働時間「1日8時間」を超えないことになります。
この場合は、36協定を結ぶ必要はありません。
法定休日とは、労働基準法第35条で定められた労働者に必ず提供しなければならない休日のことです。
1週間に最低でも1回、もしくは4週間を通して4回以上の休日を設ける必要があると定められていますので、法定休日に労働を命じる場合も36協定の締結は必須です。
厚生労働省の最新様式は「一般条項=様式第9号」「特別条項=様式第9号の2」となります。
押印欄が削除され、法人番号欄と労働者代表署名欄が明確化されました。Word/PDF は厚労省サイトで取得できます。
電子申請なら「本社一括」扱いができるようになり、グループ施設を持つ法人様は提出工数を劇的に削減できます。
ただし36協定届を協定書として兼ねる場合、労働者代表の署名欄は PDFを印刷して「署名または記名押印」する必要があります。オンラインで提出する場合は、再度スキャンしてデータ化する手間がありますので、スケジュールに余裕を持っておきましょう!
項目 | 記入例 |
---|---|
時間外労働の限度 | 1日2h/月35h/年360h |
休日労働 | 月1回・年6回以内 |
協定期間 | 2025/4/1~2026/3/31 (基本的に期間は1年間) |
小規模事業所の残業は『送迎の際に予定より時間がかかった』など突発要因が中心です。上限を月35hとやや低めに設定すると、翌年度に是正勧告を受けにくくなります。
項目 | 記入例 |
---|---|
限度時間超えの延長 | 年720h 以内 |
休日労働 | 100h |
協定期間 | 80h以内 |
特別条項発動要件 | 「利用者急変・看取り」、「感染症拡大による欠員」ほか3項目 |
特別条項を入れる場合、「発動要件」を介護現場の具体語で書くのがポイント。
『繁忙期』だけだと監督署ヒアリングで突っ込まれますので、気をつけましょう。
厚生労働省で公開されている記載例も参考にご案内いたします。
》厚生労働省|「36協定届(一般条項・特別条項)記載例」(PDF)
ミス内容 | 指摘内容 | 防止策 |
---|---|---|
労働者代表が管理職 | 代表要件違反 | 勤務区分が“管理監督者以外”か確認 |
特別条項なしで月60h残業 | 上限超過 | 特別条項を付ける、もしくは残業抑制 |
夜勤明けの休憩の扱い | 夜勤明けを休憩扱いしてしまっている | 勤務間のインターバルを確保 |
掲示・周知なし | 労基法106条違反 | 食堂や共有PCにPDF掲示 |
夜勤明けを“休憩”に入れてしまう誤記は 年間200件超 の是正事例がある典型ミス。就業規則と賃金台帳、36協定が“同じ言葉”で書かれているか、必ず照らし合わせましょう。
法律上の上限はありません。ただし毎年の見直しを推奨していますので、年に一度時期を決めて確認するようにしましょう。介護報酬改定やシフト変更に合わせて更新することも必要です。
電子は即日〜3日、紙は1週間前後が目安となります。急ぎの場合は、e‑Gov一択で考えていいでしょう。
電子申請については、以下厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
》厚生労働省|労働基準法等の規定に基づく届出等の電子申請について
「夜勤 16h → 9h休息 → 早番」がよく問題視されます。インターバル不足は是正指導の対象となる可能性もあります。
令和8年4月の新年度開始を見据え、介護事業所で36協定を更新・新規締結するなら、労使協議→協定書締結→労基署届出 の3ステップを「協定発効日の30日前」から逆算し、代表者選出議事録も同時に準備することで、手戻りなく完了できます。
さらに、代表者が管理職だった/押印欄の記名漏れ/特別条項の上限値誤記といった《返戻の定番ポイント》を事前に潰しておくことが、是正勧告や残業代遡及を防ぐ最短ルートです。
36協定は毎年必ず提出しなくてはならない届出です。労使間で合意した有効期間の開始日までに必ず36協定届を提出するように準備をしていきましょう。
社会保険労務士法人エンジーでも、介護福祉に強みを持つ専門家として、皆様を全力でサポートしていきます。様々な課題や具体的な対策について、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
この記事は厚生労働省の情報を基に作成しています。最新情報は公式ページでご確認ください。
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