名古屋の介護・福祉業界に強い社会保険労務士法人エンジー/行政書士事務所エンジー/中小企業診断士エンジー
社会保険労務士法人エンジー
地下鉄名城線 東別院駅 徒歩1分
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営業時間 平日:8:30-17:30
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公開日 2020/03/01
最終更新日 2020/03/24
「経済財政運営と改革の基本方針2019(いわゆる『骨太方針2019』)」に明文化され、その後の「介護保険制度の見直しに関する意見(2019年12月27日上梓)」でも大きく採り上げられる等、徐々に業界内でもその重要性が認識されつつある「保険者インセンティブ(今年度までの正式名称は『保険者機能強化推進交付金』)」。
その予算が来年度より200億円から400億円に倍増されることが既に決定している中、本インセンティブに対する大枠・方向性が、先月開催された「全国厚生労働関係部局長会議(以降、『同会議』と表記)」にて新たに発表されました。
今回、新たに発表された内容のポイントをピックアップし、皆様にご紹介してまいります。
では、早速、中身の確認に移ってまいりましょう。
同会議の老健局資料には、介護予防・健康づくり等に資する取組を重点的に評価することを目的に、次のような新たな文言(下記枠内の下線)が記載されています(これが今回のの最大のポイントです)。
令和2年度においては、公的保険制度における介護予防の位置付けを高めるため、保険者機能強化推進交付金に加え、介護保険保険者努力支援交付金(社会保障の充実分)を創設し、介護予防・健康づくり等に資する取組を重点的に評価することにより配分基準のメリハリ付けを強化
前述の通り、2019年度(令和元年度)においては「保険者機能強化推進交付金」しか枠組みが存在しておらず、故に今回の予算倍増もこの「保険者機能強化推進交付金」の予算額が200億円から400億円に増額される、との解釈が一般的でした。
しかしながら今回は、予算使途の意味付け、及び予算倍増に伴うメッセージをより一層明確化すべく、「保険者機能強化推進交付金で総予算200億円(内、都道府県分として10億円、市町村分として190億円)」「介護保険保険者努力支援交付金で総予算200億円(内、都道府県分として10億円、市町村分として190億円)」の2段構造へと変更になった次第です(下記はそのイメージ)。
※令和2年1月17日「全国厚生労働関係部局長会議」老健局資料より抜粋
上記イメージ図に記載がある通り、新設された「介護保険保険者努力支援交付金」は「予防・健康づくりに関する項目のうち重要な項目」に重点的に振り分けられることになります。
使途として重なる部分は色々と出てくると思われますので精緻な区分にはなり得ませんが、雑駁に整理してしまえば、保険者機能強化推進交付金は各保険者の「基盤(機能)整備」を中心に運用され、介護保険保険者努力支援交付金は予防・健康づくりに対する「アウトカム(成果)」を中心に運用される、と理解することが出来るのではないでしょうか。
では、予防・健康づくりに対する「アウトカム(成果)」とは一体、どのようなものなのでしょうか?
現時点においては2020年度(令和2年度)の評価指標は未だ開示されていないため、「まだ分からない」というのが正直なところですが、参考として、例えば2019年度(令和元年度)においては次のようなアウトカム指標が設定されていました。
<指標>個別事例の検討等を行う地域ケア会議における個別事例の検討件数割合はどの程度か
(個別ケースの検討件数/受給者数)
ア 個別ケースの検討件数/受給者数 ○件以上(全保険者の上位3割)
イ 個別ケースの検討件数/受給者数 ○件以上(全保険者の上位5割)
<配点>ア12点 イ6点 ア又はイのいずれかに該当すれば加点
<時点>2018年4月から2018年12月末までに開催された地域ケア会議において検討された個別事例が対象
<指標>居宅介護支援の受給者における「入院時情報連携加算」又は「退院・退所加算」の取得率の状況
ア 〇%以上(全保険者の上位5割)入院時情報連携加算
イ 〇%以上(全保険者の上位5割)退院・退所加算
<配点>各6点 ア又はイのいずれかに該当すれば加点
<時点>2019年3月時点及び2018年3月から2019年3月の変化率が対象
<指標>介護予防に資する住民全体の通いの場への65歳以上の方の参加者数はどの程度か
(【通いの場への参加率=通いの場の参加者実人数/高齢者人口】 等)
ア 通いの場への参加率が〇%(上位3割)
イ 通いの場への参加率が〇%(上位5割)
<配点>ア15点 イ8点 ア又はイのいずれかに該当すれば加点
<時点>前年度実績(2018年4月から2019年3月)
<指標>
1.軽度【要介護1・2】(要介護認定基準時間の変化)
一定期間における、要介護認定者の要介護認定等基準時間の変化率の状況はどのようになっているか。
2.軽度【要介護1・2】(要介護認定の変化)
一定期間における要介護認定者の要介護認定の変化率の状況はどのようになっているか。
3.中重度【要介護3~5】(要介護認定基準時間の変化)
一定期間における、要介護認定者の要介護認定等基準時間の変化率の状況はどのようになっているか。
4.中重度【要介護3~5】(要介護認定の変化)
一定期間における要介護認定者の要介護認定の変化率の状況はどのようになっているか。
<指標(1~4共通)>
ア 時点(1)の場合〇%(全保険者の上位5割を評価)
イ 時点(2)の場合〇%(全保険者の上位5割を評価)
<配点(1~4共通)>
15点 ア又はイのいずれかに該当すれば加点
<時点(1~4共通)>
(1)2018年1月→2019年1月の変化率
(2)2018年1月→2019年1月と2017年1月→2018年1月の変化率の差
※以上「2019年度保険者機能強化推進交付金(市町村分)に係る評価指標」より抜粋
上記4点については次年度も引き続き評価指標に盛り込まれる可能性も高く、加えて私見ながら、今後、上記以外にも“科学的介護”との連動の中で「ADLのアウトカム(バーセルインデックスetc)」「認知症のアウトカム指標(認知症行動障害尺度としてDBD13・意欲指標としてのバイタリティインデックスetc)」その他にも栄養管理、口腔ケア、排泄ケア等の重要領域についても様々な指標が新設される可能性も考えられるでしょう(保険者インセンティブのスキームを活用する場合もあれば、現状のADL維持等加算のように“事業者向け加算の拡充”というスキームを活用する場合もあるかもしれませんが)。
以上、次年度に新設される「介護保険保険者努力支援交付金」の大枠・方向性、並びに2019年度(令和元年度)の「保険者機能強化推進交付金」で採用された主なアウトカム指標についてご紹介させていただきました。
昨今の議論の流れから、国としてもこの“保険者インセンティブ”の取り組みを重視していることは誰もが知るところだと思います。
その意味でも事業者の皆様としては今後、公表される評価指標の内容全体にしっかり目を通した上で「自社に影響を及ぼしそうな指標」「自社が貢献できそうな指標」等についてピックアップし、早めに準備・整備を行っておく必要があると言えるでしょう。
※本状の引用元資料はこちら
↓
令和元年度 全国厚生労働関係部局長会議
公開日 2020/02/01
最終更新日 2020/02/12
2020年1月17日に開催された「全国厚生労働関係部局長会議」。
そこでは各部局における来年度の予算案があらためて示されており、そこから読み取れる“注力領域”は今後、介護事業者の経営にも様々な影響を及ぼしてくるものと思われます。
今回は中でも大幅に支援メニューが拡大された“地域医療介護総合確保基金(※)”に注目し、特に介護事業者に直接的にメリットが生まれそうな支援内容を中心に抜粋してご紹介させていただきます。
(※)地域医療介護総合確保基金・・・・消費税率の引き上げによる増収分を使って創設された財政支援制度。介護サービス提供体制の強化を図る目的で47都道府県に設置されており、あらかじめ国が選定している政策メニューの中から都道府県や市町村などが地域の実情に応じて使途を決定する。
では、早速、確認してまいりましょう。
支援メニューは「介護施設等の整備分」で8種類・「介護人財分」で15種類の計23種類がありますが、そこから「介護施設等の整備分」で7点、「介護人材分」で4点、合計11点を抜粋して確認してまいります。
先ずは1点目の事業、「介護施設等の整備にあわせて行う広域型と施設の大規模修繕・耐震化整備」についてです(ご確認いただければ或る程度ご理解いただける内容であることから、以降は資料からの抜粋部分を一気に羅列する形式で記載してまいります)。
続いて2番目の事業、「介護付きホームの整備促進」についてです。
続いて3番目の事業、「介護職員の宿舎施設整備」についてです。
続いて4番目、「施設の大規模修繕の際にあわせて行うロボット・センサー、ICTの導入支援」についてです。
続いて5番目、「特養併設のショートステイ多床室のプライバシー保護改修支援」についてです。
続いて6番目、「介護施設等における看取り環境の整備推進」についてです。
続いて7番目、「共生型サービス事業所の整備推進」についてです。
以上が「介護施設等の整備分」支援メニューからの抜粋でした。ここからは「介護人材分」の支援メニューの注目内容・ポイントを見てまいります。
「介護施設等整備分」から続けて数えて8番目、「介護ロボットの導入支援等環境整備」についてです。
続いては9番目、ICT導入支援についてです。
続いては10番目、「第三者が生産性向上の取組を支援するための費用の支援(コンサル経費の補助)」についてです。
最後に11番目、「外国人介護人材受入れ施設等環境整備」についてです。
以上、全国厚生労働関係部局長会議の老健局分資料から、多くの介護事業者に関連し、メリットが生まれそうな支援メニュー内容を抜粋・紹介させていただきました。本基金は都道府県や市区町村が全支援メニューの中から自地域に適合しそうな内容をピックアップし、計画を策定した上で申請する形となりますので、もし、自法人として「この支援メニューを使いたい!」というものがある場合は、早め早めに都道府県や市区町村の窓口へ相談・要望を上げておいた方が宜しいかもしれません。また、今回のニュースレターでは紙面の都合上、ポイントをご紹介することしか出来ませんでしたが、他にも都道府県や市区町村から委託を受ける形で行われる事業に対する支援メニューなども豊富に揃っています(全支援メニューの全体像を確認されたい方は下記をご確認下さい)。その意味でも、関心があるものについては是非、ご自身で更に深く調べてみることをおススメする次第です。我々としても今後、より有益な情報・より有効な打ち手が見え次第、皆様に積極的にお伝えしてまいります。
※上記内容の参照元データはこちら(上記内容は老健局、社会・援護局の資料から抜粋しています)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2020/01/dl/8_roken-01.pdf
※全支援メニューの全体像はこちら
・介護施設等の整備分
・介護人材分
公開日 2020/01/20
最終更新日 2020/02/12
介護事業所にとって現在の最大の経営課題は人材募集と定着ではないでしょうか。
弊社では50社近い介護事業所・障害福祉事業所のお客様とお付き合いさせていただいておりますが、社長様の一番の悩みは人手不足です。
スタッフが退職するので人材募集しても、ほとんど応募がない。
仕方なく人材紹介会社を活用して採用したが、すぐに辞めてしまい、高額な費用だけ払わせられた・・・といったような内容が非常に多いです。
しかし、中には、スタッフが辞めない(スタッフが辞めないことが最大の人手不足対策です!)、また、必要なときはスタッフが知り合いを紹介してくれたりする事業所もあります。
一方で、スタッフが辞め、新たな採用もできなくて、やむ無く倒産される事業所があることも事実です。
上記データは介護事業所の倒産件数の推移です。
廃業したり身売りしたりしたケースはこの何倍にも及ぶと言われております。
また、人手不足は今後年を追うごとに増していきます。
では、今後の人事戦略を考えるにあたり、どのような事業所になるべきなのでしょうか。
まずは、今後の労働力人口の予測を見てみましょう。
15歳~64歳の2020年時点での人口6,404万人であり、2030年には5,880万円となり、
524万人減少することとなります。
また、厚生労働省によると、介護職員の必要数は2025年で34万人不足すると予測されております。
労働力人口が減少し、かつ介護職員必要数が増えていきますので、人材採用は今後ますます厳しくなり、恐らく倒産する件数も増えていくと思われます。
つぎに、転職を考えるきっかけをみてみましょう。
下記は『エン転職』年ユーザーアンケート調査結果です。
大きく分けると、
に分けられます。
これらから分かるように、退職者の穴埋めのために多額の費用を使って新規採用をしても、上記のような、経営的な根本を見直さない限りスタッフの定着は難しく、またすぐに辞めてしまうという悪循環の繰り返しとなってしまいます。
そして最悪の場合倒産となってしまうかもしれません。
理想を言えば、労働条件がよく、仕事へのやりがいがあり、キャリアアップもでき、会社の将来性に関する明確なビジョンがあり、人間関係が良好な会社に入りたいと誰もが思っているということです。
一言でいえば、誰もがホワイト企業に採用されたいのです。
誰もブラック企業には採用されたくありません。
ただ、人によって価値観が異なるため、自社が目指す会社が理想かどうかは一概には言えません。
どんなに努力しても、すべての人にとってのホワイト企業になることは不可能ということです。
従って、貴社が目指すホワイト企業になるように戦略的に体制を整えて、その理想に共感していただける方を採用すれば、すぐに辞めてしまうリスクが減ります。
しかし、すぐにそのようなホワイトな事業所になることは、費用やマンパワー面等によって難しいことは誰でも容易に理解できますし、労働者側にしても、そのようなホワイトな事業所が多く存在しているなんて誰も思ってはおりません。
では、よい人材は、貴社のどのような内容を見て応募しようとするのでしょうか?
それは、貴社が理想とする会社像が明確であり、その理想像に向かって、実際に動いていることが見えている事業所です。
また、介護業界はまだブラックだと思っている人が多いので、それを払しょくする努力も必要です。
下記は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(新入社員意識調査アンケート結果)による、新入社員が、会社を選んだ基準です。
当然ですが、会社を辞めた理由の裏返しですね。
では、どのようにして「雰囲気がよい」とか「仕事のやりがいがある」などが分かるのでしょうか。
中小企業の場合、効果的にこのようなことが把握できる内容が外部発信されていないため、なかなか募集しても人が来ない、ということは容易に推測できますね。
外部に発信するには、①発信する媒体と②発信する内容が必要です。
今の時代、発信する媒体はたくさんあります。
自社ホームページ、ブログ、LINE、facebook、instagramなど、その気になればいくらでもあります。
問題は、発信する内容がない、あったとしても、どのように具体化すればよいか分からない、ということではないでしょうか。
従って、前述しましたとおり、貴社のホワイト企業とする会社像を明確にして、その理想像に向かって、実際に動いていることを具体的に見せることが重要なのです。
ひいては社員の採用につながっていきます。
貴社にとってホワイトな会社の定義と明確なゴールを決めましょう。
と言われても、具体的にどうすればよいか分からないですよね。
そこで、ホワイト企業認定マークの取得を目指されてはいかがでしょうか?
このマークを取得することで、貴社はブラック企業ではないということはを明確に発信することができます。
企業のホワイト化を総合的に評価する国内唯一の認定制度です。
“次世代に残すべき素晴らしい企業”を発見し、ホワイト企業認定によって取り組みを評価・表彰する仕組みです。
人々がそれぞれの個性と特徴を活かしながら、「家族に入社を勧めたい次世代に残していきたい」企業を指し、具体的には下記の3要素を併せ持っている企業です。
そのため、下記の6つの項目において一定以上の取り組みをされている企業が認定されます。
現在(2019年4月時点)で144社が認定されております。
また、実際、ホワイト企業認定企業になったことで、2017年の新卒エントリー100名が2019年は505名になった事例がございます。
ホワイト企業認定をされますと1年後の更新時に15万円の費用がかかり、以後同様となります。
ただ、実際、前述した6つの項目すべてにおいて、一定以上の点数がとれる体制をすぐに整えられる企業はほとんどありません。
そのため、現在、ホワイト企業認定取得に向けて取り組んでいる事業様向けに、チャレンジホワイト企業マークを利用することができます。
名刺やHPでの掲載や社内での改善活動のPR、また求人広告などにご利用いただくことができます。
また、コンサルティング契約がされている場合には、認定や更新に関する費用は必要ありません。
また、ホワイト企業認定に向けてチャレンジしていることを具体的に外部発信することで、よりよい人材を採用することができる事業所になると思われます。
弊社は、社会保険労務士事務所として20年近く活動しており、10人程度で組織的に組織的に経営している会社です。
専門職ではありますが、個人の能力に負うのではなく、組織としての能力でお客様にサービスを提供することをモットーとしております。
また、近年は、社会保険手続きや労務相談、助成金だけでなく、人事評価制度、経営コンサルティングに力を入れております。
そのコンサルティングのひとつとして、ホワイト財団による認定コンサルタントとして活動しております。
貴社の問題点をヒアリングし、貴社が「次世代に残すべき素晴らしい企業=ホワイト企業」になるべく具体的な提案をし、全力でサポート致します。
弊社のホワイト認定コンサルタントにおける想いは、下記URLを参照下さい。
https://jws-japan.or.jp/consultants/%e7%a6%8f%e7%94%b0%e3%80%80%e5%89%9b%e5%b9%b4/
公開日 2020/01/20
最終更新日 2020/01/21
今年1月7日に、東京商工リサーチから2019年「老人福祉・介護事業」倒産状況
というレポートが発表されました。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200107_01.html
すでにお読みになられた方もおられるとは思いますが、思ったことを記載いたします。
お客様の中でも人材に困っていない事業所がございます。
なぜなんだろうと考えてみました。
原因の最大は、賃金が安いことです。
ただ、処遇改善加算Ⅰを受給すると相当な金額になります。
これらの金額を、優秀な人材の採用と定着につながるように活用すべきです。
人材が定着している事業所は、どのような人に幾ら支給するのかという基準をしっかり決めて、スタッフに公表しております。
もちろん、通常の賃金と処遇改善加算分は明確に区別できるように、項目を分けていることはいうまでもありません。
また、このレポートにもありますが、二極化が進んでいることは実感としてあります。
上記は処遇改善加算の配分のお話しをいたしましたが、実際に事業所の制度として実施するにはそれだけではすみません。
賃金表を作成し、人事考課表を作成し、面談をしっかりと定期的におこなう必要があります。
貴社の身の丈にあった人事制度(キャリアアッププラン)が必要ということになります。
また、人材が定着している事業所の特徴としては、研修をしっかり行っております。
社風としましては、管理者(または社長)とスタッフの距離感が近い事業所です。
コミュニケーションがしっかりとれているので、スタッフの不満や懸念事項が早めに把握できるのでしょうね。
その他、福利厚生や研修計画、経営計画をスタッフと一緒に(または意見を取り入れて)作成したりもしております。
やり方は事業所ごとに様々ですが、結局のところ、スタッフ定着には王道を進むしかないということですね。
レポートの中で、“小・零細規模の倒産が大半を占めた。”とあります。
介護業界だけでなく、どの業界でも規模が小さくなるほど人材採用が難しくなっております。やはり、応募者としては、大きな会社で安定的に働きたいのでしょうね。
分かる気がします。
では、小・零細規模事業所はどうすればよいのでしょうか。
人材広告を出しても恐らく応募はほとんどないですよね。
実際そのような規模で人材に困ってない事業所は、現在のスタッフが新たなスタッフを紹介してくれているのです。
従って、紹介したくなる事業所にならなければならないということです。
弊社は、スタッフが定着する組織を作るお手伝いをさせていただくことができます。
ご興味がございましたらご連絡下さい。
公開日 2020/01/01
最終更新日 2020/01/21
2019年12月16日の介護保険部会にて素案が提示された、「介護保険制の見直しに関する意見(素案)」(以下、「本資料」という)。本部会では2021年度介護保険法改正・報酬改定に向けた論点整理、及び視点の提示が行われ、弊社としてもその議論内容を都度、皆様にも共有させいただいてまいりました。
今回はあらためて介護事業経営にとって重要だと思われるポイント、加えて現時点で認識しておいた方が良いと思われる内容を抜粋し、皆様にお伝えさせていただきたく思います。
では、早速、中身を確認してまいりましょう。先ずは一つ目の論点についてです。
今後、いわゆる「生産年齢人口」が各地で減少する中、この“就労”“社会参加”というキーワードは「職員側」「ご利用者側」双方の視点において我々の業界においても大変大きな意味を持ってくるものと思われます。
この“就労”“社会参加”というキーワードを何らか自社に取り組んでいくことが出来ないか、経営者の皆様には頭に置いておいていただきたく思います。
続いて、2点目のポイントに移ります
「地域のすべての高齢者との接点をつくり、各々個別に適宜、必要な支援を提供していく」地域包括ケアの要諦の一つとも言えるこのコンセプトを実現していくためにも、「通いの場」の重要性はますます高まることになるでしょう。
また、“町づくりへの貢献”を標榜する事業者にとっても、この領域は中長期的な視座に立って取り組みを検討すべきテーマかもしれません。心に引っ掛かりを覚えられた方は是非、頭に留めておくべき情報かと思います。
続いて、3番目のポイントに移ります。
“朗報”という理解も成立しますが、一方では、「要介護1・2の方々の地域移行」の前哨戦、という見方も出来るかと思います。
また、サービス単価や事業規模の弾力化が図られない中で、どこまで比較的高単価(総合事業と比べて)な要介護者の受け入れが可能になるか等、周辺環境の動きにも注視しておく必要があるでしょう。
では、4番目のポイントに移ります。
「質の高いケアマネージャーには相応の処遇改善が行われる」是非、そのような好循環を生み出してほしいものです。それでは、5番目のポイントに移ります。
「外部委託を行いやすい環境の整備」是非、予防ケアマネジメントにかかる労力と整合性のつく単価設定についても検討いただきたいものです。それでは、6番目のポイントに移ります。
「通いの場への高齢者参加率」や「要介護認定基準時間の変化率」「要介護認定者の変化率」等々、今後、具体的な定量実績が計測できるアウトカム指標への配点が高くなったりを含め、成果創出への意欲が向上されるような取り組みが強化されてくるものと思われます。
もしそうなった場合、自治体の要介護認定マネジメントはどのように変化するのか・しないのか、、、、予め自保険者の目線に立った対応予測を立てておいた方が宜しい情報かと思われます。
それでは、7番目のポイントに移ります。
過去には「情報収集に協力してくれる事業者には相応のメリット(加算etc)が準備されるのでは?」という話も出てきています。
基本指標としてADL関連はバーセル・インデックス、認知症関連はバイタリティ・インデックスやDBD13等が活用されるとのこと、事業者としても早めにそれら評価指標に慣れておいた方が宜しいかもしれません。
続いて、8番目のポイントに移ります。
サービス付高齢者向け住宅には「外部の目」が入る仕組みが既に整備されていますが、住宅型有料老人ホームにはまだそこまでの仕組み・体制が整備されていないのが現状です。
高齢者住宅における、いわゆる“囲い込み”の問題も疑問視される中、特に住宅型有料老人ホーム事業者としては頭に置いておいた方が良い情報かもしれません。
それでは、9番目のポイントに移ります。
2019年10月にも大きな処遇改善が実施されましたが、更なる拡充施策が展開されるのか、、、注視しておきたいところです。
それでは、10番目のポイントに移ります。
「(普及に向けての)事業者への支援」とは果たしてどのようなものなのか?導入助成金?加算?それとも(ITを促進している企業に対する)認証評価?これからの議論の動向を注視しておく必要があるでしょう。
それでは、11番目のポイントに移ります。
特に上記下線部分の定義・認識が重要だなぁ、とあらためて感じた次第です。それでは、12番目のポイントに移ります。
大きな枠組みの議論となるため、引き続き、情報を注視していくべき内容かと思われます。
それでは、13番目のポイントに移ります。
この制度が導入されれば非常に画期的だな、と感じる一方、既存の考え方とは相容れない仕組みであることも理解できるところです。
現時点では実現の可能性は極めて低そうな印象ですが、こちらも今後の流れを追いかけてまいりたいと思います。
それでは、14番目のポイントに移ります(こちらは目を通しておく程度で十分かと思われます)。
最後に、15番目のポイントを確認しておきましょう。
「住所地特例対象施設から同一市町村のグループホームに移る場合に限り、例外として住所地特例が適応される」そんな改正案が出される可能性もなくないかもな、と感じた次第です。
以上、今月は「介護保険制度の見直しに関する意見」の内容についてお伝えしました。
この資料により、2021年の法改正・報酬改定へ向けての大きな方向性は概ね示されたと思われます。
今後の手続きとしては、議論は介護給付費分科会へと引き継がれ、より細かな改正法案・改定報酬案に関する審議が展開されることになります。
経営者・幹部の皆様は是非、ご自身でも情報を追いかけていただくと共に、制度の活用は重要である一方、そこにばかり心が奪われ、結果、制度に振り回される、ということがないよう気をつけていただく必要もあるかもしれません。
いずれにせよ2018年の改正・改定へ向け、2020年はさらに具体的な議論が始まります。
我々もしっかりと追いかけ、タイムリーな情報提供を心掛けてまいりますので、引き続きよろしくお願い致します。
公開日 2019/12/01
最終更新日 2020/01/21
2019年12月上旬~中旬頃に上梓される「介護保険制度の見直しに関する意見」の最終とりまとめに向け、一気に議論が加速した感を覚えた2019年11月。
そんな中、前回の法改正時に「人材確保の状況について検証するべき」という名目で積み残された課題「居宅介護支援事業所の管理者要件の見直し(=居宅介護支援事業所における人材育成の取組を推進するため、主任介護支援専門員であることを管理者の要件とする)」について、当初予定されていた実効開始タイミング(当初の予定では2021年4月~)の延長案が示されました(恐らく年内中に正式決定となる見通し)。
今回はその案の中身についてあらためて確認すると共に、その理由・背景についても解説してまいります。
では、早速、案の中身を確認してまいりましょう。2019年11月15日開催に開催刺された「第172回介護給付費分科会」の中では同テーマについて、以下のような整理が為されておりました。
「令和3年(=2021年)3月31日時点で主任ケアマネジャーでない者が管理者を担っている事業所に限る」という条件は付いているものの、これは即ち、現時点において居宅介護支援事業所を運営している事業者全員が当てはまる訳ですから、単純に「当初の設定(=令和3年(=2021年)3月31日まで)が6年間、後ろ倒しされることになる」と理解して差し支えないものと思われます。
加えて、その背景・理由についても見ておきたいと思います。大きくは2点のポイントに絞られるのではないでしょうか。
そもそも、主任介護支援専門員研修の資格取得要件を満たすことが難しいケアマネ事業所が相当数存在しているため。
平成30年度に行われた「居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業」によると、令和元年7月末日現時点において主任介護支援専門員ではない管理者のうち、「経歴4年未満」の管理者は10.1%、加えて「経歴1年未満」の管理者も1.6%存在することが分かっています(下表参照)。
※第172回介護給付費分科会資料より抜粋
そもそも主任介護支援専門員の資格取得要件の1つとして「専任の介護支援専門員として従事した期間が通算して5年(60ヶ月)以上」が定められている以上、その要件を満たすことが「物理的に不可能」な事業所が存在する中で管理者要件の厳格化を行われるとするならば、それは確かに「横暴」「非現実的」な判断だ、と言う批判が起こるのも尤もな話です(無理矢理でもケアマネ事業所数を淘汰させたい、というのなら話は別かもしれませんが)。
また、前述の状況を勘案したからこそ「6年の延長(=ケアマネ実務経験5年+研修受講のための1年)」という判断には納得感を覚える次第です。
他方、主任介護支援専門員研修の資格取得要件を満たしているにも関わらず、「経過措置期間中に修了できる見込みがない」という方の割合が13.4%も存在している、というデータも前述の調査事業報告書には掲げられています(下表)。「見込みがない」理由が本人の意欲というのであれば考慮の余地はありませんが、仮に業務過多等がその理由として挙げられるのであれば、その点も同時に改善を進める必要があるのではないでしょうか。
続いて、2つ目の理由を見てまいりましょう。
主任介護支援専門員研修について、資格取得のための研修受講費、及び更新のための研修受講費のバラつきが都道府県で大きいため。
2017年度の実績をみると、主任ケアマネ研修で最も高かったのは広島県の6万2000円。
次は大阪府と和歌山県で6万円、岐阜県が5万8000円と続く一方、逆に安い順でみると、秋田県が2万996円、福島県が2万3000円、島根県が2万4320円、という状況にあります(厚生労働省老健局振興課調べ)。
同時に、主任ケアマネの更新研修受講費のバラつきも問題となっており、最高は愛知県の5万2000円で、続いて山口県の5万円、青森県、埼玉県、愛媛県の4万6000円。
一方、最安は栃木県の1万円、続いて岩手県の1万5900円、3位は福島県の2万円、となっています。地域医療介護総合確保基金の活用の有無等が背景にあると思われますが、いずれにせよ、上記状況の中で「管理者を主任ケアマネに限る」と厳格化を実効させるのは不適切、と言わざるを得ないのではないでしょうか。
以上、介護給付費分科会資料より抜粋しながら「ケアマネ事業所の管理者要件の厳格化」の状況について確認してまいりました。
猶予期間が延びた、ということでホッと胸を撫で下ろしている方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、とはいえ、日常業務に奔走しているとあっという間に時間が過ぎ去ってしまい、「気が付けば研修申込期限が過ぎてしまった(或いは定員に達してしまった)」などと言うケースが発生することも十分に考えられます。
該当の皆様としては自身の研修受講要件が満たされるのはいつなのかをしっかり確認しつつ、早め早めに時間調整・スケジューリングを行っておくことをお勧めする次第です。
※上記内容の参照先URLはこちら
↓
公開日 2019/11/01
最終更新日 2020/01/21
2021年度法改正に向けての論点整理を行う“介護保険部会”が進みつつある2019年10月。
そんな折、財政的観点から次回法改正に釘を刺すかの如く“財政制度分科会”が10月9日(水)に開催されました。“国の金庫番”とも呼べる財務省が介護業界に対し、どのような改革案を突き付けているのか?今回は財政制度分科会の資料から論点を採り上げ、お届けしてまいります。
では、早速、中身に移ってまいりましょう。
財政性分科会の資料においては、「論点」→「(論点を踏まえた)改革の方向性(案)」という構成で介護分野では8点のポイントが公表されています。
約半年前にも同会が開催されており、前回と被る内容も多く含まれていますが、再確認の意味も含め、是非、一つ一つに対して目を通してみていただければ幸いです。
では早速、一番目の論点に入ってまいります。
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【改革の方向性(案)】
居宅介護支援におけるケアマネジメントに利用者負担を導入すべき。
また、ケアマネジメントの質を評価する手法の確立や報酬への反映と併せ、利用者・ケアマネジャー・保険者が一体となって質の高いケアマネジメントを実現する仕組みとする必要。
今まで“問題提起→流案”を繰り返してきた本テーマですが、次回法改正時にはいよいよ決着がつく可能性もあろうかと思います。
「1割負担、2割負担といった方法ではなく、例えば月額500円など定額制でも良いのではないか」等という意見も出ており、今後も議論の流れを追いかけていく必要があるかもしれません。続いて、次の論点に移ります。
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【改革の方向性(案)】
論点1と同様、幾度も問題提起されてきた同テーマですが、前回の提起内容と比較すると、内容面においての変化を見て取ることが出来ます。
2019年4月23日に開催された財政制度分科会においては、本テーマにおける「改革の方向性(案)」について、下記のような文言が記載されていました。
「要支援者向けサービスの地域支援事業への定着・多様化にも引き続き取り組むとともに、軽度者のうち残された要介護1・2の者の生活援助サービス等についても、第8期介護保険事業計画期間中の更なる地域支援事業への移行や、生活援助サービスを対象とした支給限度額の設定又は利用者負担割合の引上げなどについて、具体的に検討していく必要。」
4月23日(≒約半年前)には「生活援助サービス等についても」という表記だったものが、今回は「生活援助型サービスをはじめとして」に変更となっていることを考えると、「先ずは生活援助型サービスから改革を進めていこう」と“段階的革新”の方針を財務省が新たに打ち出した、と理解することも出来なくはないかもしれません(あくまで筆者の勝手解釈ですが)。
また、その改革アイデアについても、従前は「第8期介護保険事業計画期間中の更なる地域支援事業への移行や、生活援助サービスを対象とした支給限度額の設定又は利用者負担割合の引上げなど」と幾つかの案が配列的に記されていましたが、今回は「全国一律の基準ではなく地域の実情に合わせた多様な人材・多様な資源を活用したサービス提供を可能にすべき」と一点に絞られていることから、“総合事業への移行”を確信の本丸に据えた、と理解することが出来るでしょう(繰り返しになりますが、あくまで筆者の勝手解釈です)。
続いて、次の論点に移ります。
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【改革の方向性(案)】
「従前相当のサービスが中心では社会保障費の合理的圧縮が実現し難い中、(従前相当より単価が低く済む)基準緩和型サービスの拡大に一層拍車をかけていくべき」という財務省の意向を見て取ることが出来ます。事業者としては“基準緩和型でも持続できるサービスモデル”を早めに検討する必要があるでしょう。
では、次の論点に移ります(次の論点については、4・5をまとめてコメントを加えさせていただきます)。
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【改革の方向性(案)】
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【改革の方向性(案)】
端的に言えば、「“実行しました”というプロセスで見るのではなく、“成果を出しました”という結果(=アウトカム)で判断する指標を増やす必要がある」ということ、そして、「頑張って成果が創出出来ればその分だけプラスに予算を付ける一方、頑張らなくても(or頑張れなくても)現状と比較して財政的にマイナスにはなることはない」という現在の仕組みを見直し、「頑張らなければ(or頑張れなければ)通常配分されていた予算総額がマイナスになる(=ディスインセンティブ)」ような仕組みを導入することによって、自治体の変革スピードを促進させるべき、ということかと思われます。恐らく市長会は猛反発すると思われますが、重要な論点として今後の動静を見守る必要があるでしょう。
では、次の論点に移ります。
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【改革の方向性(案)】
財政的な観点から考えれば「直接的受益者である利用者の負担率上昇」という施策はごく自然な(といいますか、止むを得ない)事であるのようにも思いますが、本施策が実行された暁には利用控え等、現場の経営に少なからず影響を及ぼしてくるかもしれません。
こちらも今後の議論の動向を注視しておく必要があるでしょう。では、次の論点に移ります。
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【改革の方向性(案)】
公平性、という観点から考えれば、実行される可能性が高い、と考えて差し支えないかもしれません。
では、最後の論点に移ります。
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【改革の方向性(案)】
「年金額が低くても、預貯金が500万円程度があれば10年居住が可能(特養の平均入所期間は約4年間。約8割は5年未満で退所)」という財務省試算から考えると、「基準を1,000万→500万に引き下げるべき」
という論点が次回の法改正時に議論される可能性が高い、と考えることが出来るでしょう。
以上、財政制度分科会内の資料「社会保障について」より、介護事業者に直接関係のある部分から論点を幾つか抜粋してお伝えさせていただきました。
本内容は国全体の方針ではなく、あくまで「財務省」という一省庁の意見である、ということはしっかり認識しておく必要はあろうかと思いますが、それでも10%への増税が実行され、「財政健全化」が待った無しとなっている我が国としては、財務省の挙げる声に一定の重みがあることも否めない事実だと思われます。
事業者としては上記内容を踏まえつつ、「もしこれらの施策が実行された場合にどう対応するか?」について事前に頭を働かせておくことが重要だと言えるでしょう。
私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※上記内容の参照先URLはこちら↓
公開日 2019/10/01
最終更新日 2020/01/21
「経済財政運営と改革の基本方針2019(いわゆる“骨太方針2019”)」に明文化されて以降、多くの介護経営者様が意識されるようになり、頻繁に質問をお受けするようになった“保険者インセンティブ”(正式名称:保険者機能強化推進交付金)。
2017年度に交付された「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律(いわゆる“地域包括ケアシステム強化法”)」において、「高齢者の自立支援・重度化防止等に向けた保険者の取組や都道府県による保険者支援の取組が全国で実施されるよう、PDCAサイクルによる取組を制度化」することが定められ、その一環として「市町村や都道府県の様々な取組の達成状況を評価できるよう客観的な指標を設定し、」「その達成状況に応じて財政的インセンティブを付与する」ことが2018年度より開始された、この動きを以てして“保険者インセンティブ”と呼んでいる訳ですが、「では、具体的にどのような指標に基づいて評価されているのか」については以外にもご存じない、と言った方が数多くいらっしゃるのではないでしょうか。
2019年度の“保険者インセンティブ”評価指標の概要と共に押さえるべきポイントについてピックアップし、皆様にご紹介してまいります。
では、早速、中身の確認に移ってまいりましょう。先ずは、評価指標の概要についてです(重点項目を分かりやすく理解するために、2018年度と比較する形をとりました)。
※2018年度・2019年度保険者機能強化推進交付金評価指標をもとに当社作成
上記の通り、2018年度は「612点満点」2019年度は「682点満点」で評価指標が構成されており、2019年度は2018年度に比べて全体として満点が70点(682点-612点)高くなっています。
評価項目については2018年度・2019年度共に変わらず、大項目は3項目(=「1.PDCAサイクルの活用による保険者機能の強化に向けた体制等の構築」「2.自立支援、重度化防止等に資する施策の推進」「3.介護保険運営の安定化に資する施策の推進」)となっており、2、3についてはその下に更に中項目が設けられています(この項目も2018年度・2019年度共に変わらず)。
次に、2019年度と2018年度を比較する形で各項目ごとの配点比率を見ると、大項目1は97.6%と下がっている一方、大項目2は117.5%、大項目3は118.6%と上昇しています。
また、大項目2と大項目3における中項目に目を移してみると、配点比率が100%を超えている項目が全部で6項目(=2-(1)、2-(5)、2-(6)、2-(7)、2-(8)、3-(2))となっており、これらの数値全体を見渡す限り、2019年度においては特に上記6項目の強化にウェイトが高く設定されている(=国が上記6項目の更なる強化を各保険者に求めている)、と捉えることが出来るでしょう。
さて、そのような視点に基づき、本来であればこの6項目各々の内容について確認を行いたいとことなのですが、紙幅の関係上、ここでは最も配点比率が高まっている2-(8)についてのみ内容を確認しておきたいと思います(下記)。
上記の通り中項目「要介護状態の維持・改善の状況等」においては「軽度」「中重度」各々の分類において「要介護認定等基準時間の変化率」「要介護認定の変化率」の2つの数値を求めることとされており(時点(1)・時点(2)の2パターン)、その数値の上位5割の保険者には各15点が加算されることになっています(逆に言えば各々の数値が上位5割に入らなかった場合、点数は「0点」になってしまいます)。
一方、これらの数値において上位5割に入るような数字を叩き出すためには自治体の努力だけでは到底難しく、実際にサービス提供を行っている介護事業者に対しても何らか、各自治体毎に独自にインセンティブを設定してくる可能性もあるでしょう(例えば神奈川県川崎市が取り組む「かわさき健康福寿プロジェクト」においては、2019年7月1日時点と2020年7月1日時点とを比べてご利用者の要介護度が改善した場合には、事業者に5万円程度/人の報奨金が出る、というユニークな取り組みが既に数年前からスタートしています)。
以上、保険者機能強化推進交付金(2019年度市町村版)の評価指標の概要、並びに配点比率が2018年度比で最も高まった項目の内容についてお伝えさせていただきました。
2018年度・2019年度においては交付金の総額が200億円に設定されている現状ですが、来年度はその予算額を400億円まで引き上げることが議論されている等、国としてもこの“保険者インセンティブ”の取り組みを重視していることがうかがえます。
他方、現状においての交付金振り分けは絶対評価方式(=評価点数を中心とした指数に基づいて予算を全参加自治体に振り分け)となっていますが、将来的には相対評価方式の下、“ディスインセンティブ(=(相対的にみて)成果を上げた自治体には予算を多めに振り分けるが、(相対的にみて)成果が低かった自治体には(結果として)従来下りてきていた予算よりも削減される)”の導入についても2021年度法改正を照準に議論が展開されています。
もし、それらの仕組みが導入されるとなると、自治体は本評価指標の達成にますます積極的にならざるを得なくなり、項目によっては事業者に成果に合わせたインセンティブを設定してきたり(=前述の川崎市のような仕組みを導入するetc)、或いはディスインセンティブを設定してきたり(=国が自治体に対して検討しているのと同様に)、というケースも十分に考えられます。
その意味でも事業者の皆様としては、先ずは評価指標の内容全体にしっかり目を通した上で「自社に影響を及ぼしそうな指標」「自社が貢献できそうな指標」等についてピックアップし、早めに準備・整備を行っておく必要があると言えるでしょう。
私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報・事例等を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※紙幅の都合上、今回は「2-(8)要介護状態の維持・改善の状況等」の指標しかご紹介できませんでしたが、是非、その他のすべての指標に目を通してみていただければと思います。関心をお持ちになられた方は、下記よりダウンロード下さいませ。
2019年度保険者機能強化推進交付金(市町村分)に係る評価指標
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http://carebp.com/file/2019hokenja-incentive.pdf
公開日 2019/09/01
最終更新日 2020/01/21
『「〇〇状態の要介護高齢者に、△△ケアを提供すれば、◎◎という効果が得られる」というような、“根拠に基づく介護サービス”が確立されれば、“自立支援に資するサービス提供”“介護現場の負担軽減(効率化)”等が実現できるだろう』──そのような期待のもとに現在、国で積極的に議論されている「科学的介護」。
そんな折、先月の7月16日には「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」取りまとめ報告書(以下、「本報告書」と表記)が公表されました。本報告書では、介護に関するサービス・状態等を収集する新たなデータベース「CHASE(=Care, HeAlth Status & Events)」の 2020 年度本格運用開始を目指し、現場の負担も考慮しながら「CHASEにおいてどのようなデータを収集することが有効・有益なのか?」について議論を行ってきた結果がまとめられています。
本情報を是非、事前に皆様にご認識いただきたく、特に事業者に大きく関連してくるであろうポイントをピックアップし、皆様にご紹介してまいります。
では、早速、中身に移ってまいりましょう。この場では大きく2点、即ち「ADLの評価指標」「認知症の評価指標」について確認を進めてまいりたいと思います。先ずはADLに関する情報集項目についてです。本テーマについて、本報告書の中では次のような文言が記載されています 。
上記を確認する限り、科学的介護を推進する上でのADLに関する評価指標としては「BI(Barthel Index)の活用が濃厚になる」と理解することが出来ると思われます。ちなみに、既に活用している等でご存じの方も数多くいらっしゃるかもしれませんが、BI(Barthel Index)の評価項目は下記の通りです。 【BI(Barthel Index)の評価指標】
※公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」より抜粋
続いて認知症に関する収集項目を見てまいりましょう。上記ADLの場合と同様、認知症については下記内容が本報告書に記載されています 。
・「認知症」領域における介護事業所からの収集項目は、診断からケアの実施とその評価を一連の流れとして捉える必要がある。介護現場において、ケアニーズ等も含めて認知症の進行度を把握し、診断や状態別に適切なケアの内容を検討し実施することが重要であり、そのためには、認知症ケアの効果および認知症の身体的ケア効果を判定する項目の収集が必要である。
・認知症のスクリーニングに必要な項目として、認知症の既往歴(新規診断を含む。)、 認知症ケアに活かす項目として、認知症の周辺症状に係る指標であるDBD13、意欲の指標である Vitality Index については、基本的な項目とするべきである。ただし、DBD13とVitality Index については、並行して、項目の簡素化等、介護現場か らの収集のフィージビリティ等についてモデル事業等を通じた検証が必要である。
【DBD13の評価指標】
※平成25年度「認知症の早期診断、早期対応につながる初期集中支援サービスモデルの開発に関する調査研究事業」資料より抜粋
【Vitality Index(バイタリティ・インデックス)の評価指標】
※一般社団法人日本老年医学会ホームページより抜粋
以上、「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」取りまとめ報告書より特に皆様にご認識いただきたいポイントを2点、ピックアップしてお伝えさせていただきました。
前述の通り、本テーマについては2020年度から本格運用を実施し、その後、全国の事業所に対して情報提供が求められてくるのは2021年度から、と計画されています。
「データ提供は決して義務ではなくあくまで任意」というのが現状のスタンスのようですが、とはいえ、次の報酬改定のタイミングにおいてはデータ提供を行う事業所に対して新たな加算の創設の検討を進める等、国としては「“科学的介護”の精度を高めていくためにも是非、データ収集に前向きに協力してほしい」というスタンスであることは間違いないと思われます。
事業者としては上記内容を踏まえつつ、「これらの施策に対し、自社としてどう適応していくか?」について事前に頭を働かせておくと同時に、場合によっては上記に示したような各種指標について早めに自社の運営に取り込み、慣れておいた方が良い、という判断も必要かもしれません。
是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。
※紙幅の都合上、今回はADLと認知症の指標についてのみ抜粋して採り上げましたが、本報告書の中ではそれ以外にも「口腔」「栄養」等に対する評価について言及が為されています。より詳細の情報をお知りになりたい方は是非、下記よりご確認下さいませ。
「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」取りまとめ報告書
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公開日 2019/08/01
最終更新日 2023/06/22
2019年8月末の届出期限が近づく中、一層の関心が高まりつつある「介護職員等特定処遇改善加算(以降、本加算と表記)」。
そんな中、4月12日に公表された介護保険最新情報Vol.719 Q&A(第一弾)に引き続き、今月7月23日には第二弾Q&Aが示されました。
第二弾で示されたQ&Aの数は全部で21項目。中には「当初より柔軟性が増したな」と感じられるような内容も含まれています。内容について確認・解説してまいります。
それでは早速、中身に移ってまいりましょう。先ずはQ&Aの1点目についてです。
上記問いの中にも記載がある通り、「喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件等を満たせないことにより、入居継続支援加算等が算定できなくなった場合については、直ちに変更することを求めるものではなく、当該状況が常態化し、3か月間を超えて継続した場合に変更の届出を行えばよい」というルールが存在しています。
そのルールを前提に、本加算についてもその届出と合致させたタイミングでの届出が必要となることを意識しておく必要があるでしょう(=変更届を出した翌月、即ち4か月目より本加算の算定が出来なくなる)。
続いて2つ目のQ&Aについてです。
考え方としては同様です。
が、訪問介護については、「特定事業所加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)の算定により介護福祉士の配置等要件を満たすことができる」となっており、喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件等を満たせず特定事業所加算(Ⅰ)が仮に算定できなくなったとしても、特定事業所加算(Ⅱ)の要件を満たしていれば3ヶ月の経過措置の対象とはなりません。更に付言すると、特定事業所加算(Ⅱ)を算定できない場合には本加算(Ⅱ)を 算定することとなるため、変更の届出が必要であることを認識しておきましょう。続いて3つ目のQ&Aについてです。
原則的には画書策定時点においてサービス提供体制強化加算等を算定している等、介護福祉士の配置等要件を満たしていることが必要ですが、それらは絶対条件ではなく、「計画書策定時点では算定していないものの、特定加算(Ⅰ)の算定に向け、介護福祉士の配置等要件を満たすための準備を進め、特定加算の算定開始時点で、介護福祉士の配置等要件を満たして」いれば算定することが可能であることも理解しておきましょう。
続いて4つ目のQ&Aについてです。
「地域支援事業実施要綱」では「対象事業所が、併設の指定訪問介護事業所において特定事業所加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定していることを要件とする」と定められています。届出の際には、併設の訪問介護事業所の特定事業所加算の取得有無を確認する必要があることを踏まえておきましょう。
続いて、5番目のQ&Aについてです。
結論として、「現行加算のキ ャリアパス要件(Ⅱ)は満たされる」「職場環境等要件の「資質の向上」の項目の一つである「研 修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動」の取組を行っているものとして取り扱われる」ことになります。
続いて6番目のQ&Aについてです。
当該要件については、特定加算も含めた処遇改善加算の算定状況や、賃金以外の処遇 改善に関する具体的な取組内容に関する公表を想定しているため、2019年度においては要件としては求めず、2020年度からの要件となっています。
続いて7番目のQ&Aについてです。
本要件はあくまで「外部の者が閲覧可能な形で公表」することが求められているものであり、公表方法はホームページに限った訳ではなく、事業所・施設の建物内の入口付近など外部の者が閲覧可能な場所への掲示等の方法により公表することでも要件として充足されることを認識しておきましょう。
続いて、8番目のQ&Aについてです。
介護福祉士の配置等要件はあくまで特定加算(Ⅰ)の算定要件である一方、経験・技能のある介護職員のグループの設定等は事業所内における配分ルールとなっており、根本的に質が異なる要素となっています。
このため、特定加算(Ⅱ)を算定する場合であっても、経験・技能のある介護職員のグループの設定が必要となります(なお、事業所の事情に鑑み経験・技能のある介護職員に該当する介護職員がいない場合の取扱いについては、(Vol.1)問5を参照下さい)。
続いて、9番目のQ&Aについてです。
年収 440 万円を判断するに当たっては、現行の介護職員処遇改善加算による改善を含めて計算することが可能です。
続いて、10番目のQ&Aについてです。
「特定加算による改善を行わなくとも、経験・技能のある介護職員のグループ内に既に賃金が年額 440 万円以上である者がいる場合には、当該者が特定加算による賃金改善の対象となるかに関わらず、新たに月額8万円の改善又は年収 440 万円となる者を設定しなくても特定加算の算定が可能」という趣旨となっています。
続いて11番目のQ&Aについてです。
その他の職種の平均賃金額が他の介護職員の平均賃金額を上回らない場合においては柔軟な取扱いを認め、両グループの平均賃金改善額が等しくなる(1:1)までの改善が可能となります。
続いて、12番目のQ&Aを見てまいりましょう。
介護給付のサービスと介護予防・日常生活支援総合事業を一体的に行っており、同一の就業規則等が適用される等労務管理が同一と考えられる場合は、法人単位の取扱いを適用するのではなく同一事業所とみなし、「月額8万円の改善又は年収440 万円となる者を1人以上設定すること」「配分ルールを適用すること」により、特定加算の算定が可能となります。
なお、介護給付のサービスと予防給付のサービス(通所リハビリテーションと予防通所リハビリテーションなど)、特別養護老人ホームと併設されている短期入所生活介護、介護老人保健施設と短期入所療養介護等についても、同様の考え方を踏襲することも認識しておきましょう。
続いて、13番目のQ&Aについてです。
特定加算の算定対象サービス事業所における業務を行っていると判断できる場合には、その他の職種に含めることができます。
続いて、14番目のQ&Aについてです。
事業所毎に「経験・技能のある介護職員」のグループを設定することが必要となりますが、介護職員の定着が進み、勤続年数が長くなったこと等により、当該事業所で働く介護職員全てが、「経験・技能のある介護職員」であると認められる場合には、「経験・技能のある介護職員」と「その他の職種」のみの設定となることも想定することができます。
なお、その場合における配分ルールについては、当該事業所における「経験・技能のある介護職員」の平均賃金改善額が、「その他の職種」の平均賃金改善額の4倍以上となることが必要です。
続いて、15番目のQ&Aについてです。
各事業所において特定加算による処遇改善に加え、事業所の持ち出しで処遇改善を行うことは可能です。
尚、この場合においては、特定加算による賃金改善分について配分ルールを満たしていることを確認するため、実績報告書における賃金改善所要額、グループごとの平均賃金改善額等においては、特定加算による賃金改善額を記載のうえ、持ち出しにより更なる賃金改善を行った旨を付記する必要があることに注意が必要です(改善金額の記載までは不要)。
続いて、16番目のQ&Aについてです。
勤務時間の全てでなく部分的であっても介護業務を行っている場合は、介護職員として「経験・技能のある介護職員」もしくは「他の介護職員」に区分することは可能です。
なお、兼務職員をどのグループに区分するか、どのような賃金改善を行うかについては、労働実態等を勘案し、事業所内でよく検討し、合理的な判断を下すことが求められます。
続いて、17番目のQ&Aについてです。
どのサービスからの収入かに関わらず、実際にその介護職員が収入として得ている額で判断して問題ありません。
続いて、18番目のQ&Aについてです。
その他の職種に配分しない場合等においては、人数部分について「0(ゼロ)」等と記載する等、記入漏れと判断されることがないように対応しておくことが必要です。
続いて、19番目のQ&Aについてです。
年額 440 万円の基準を満たしているか判断するに当たっては役職者であるかどうかではなく、事業所毎で設定された、経験・技能のある介護職員の基準に該当するか否かで判断することが可能です。
今般の特定加算については年度途中から開始するものであり、給与体系等の見直しの時期が、年に1回である事業所等において、既に年度当初に今回の特定加算の配分ルールを満たすような賃金改善を行っている場合も十分に想定されます。
こうした場合にはその年度当初から 10 月より前に行っていた賃金改善分について、介護 職員等特定処遇改善加算を充てることも可能です。
なお、当該取扱いを行う場合にあっても介護職員の賃金低下につながらないようするとともに、事業所内でよく検討し、計画等を用いて職員に対し周知することが必要です。
計画書における賃金改善計画、介護福祉士の配置等要件に変更が生じた場合は、必要な届出を行うことが必要となります。
以上、第二弾のQ&Aについて雑駁ながら内容の確認及び解説をさせていただきました。
筆者個人の見解としては、「問13」「問19」「問20」のQ&Aに注目した次第です。
届出締切まであと約1か月を切り始めている頃かと思われますが、事業者としては(Q&A第一弾含め)あらためて現時点の全情報を網羅しつつ、経営目線、職員目線(=新たな仕組みが職員から見て魅力的に映っているか?定着促進のインセンティブとして機能出来そうか?etc)」、そして地域内競合目線(=同地域内の法人はどのような手を打ってくるか?etc)」という3つの目線に気配り・目配りを行いながら、「これがベストだ」と思うことができる水準に達するまで想定額の算出や職員の区分割りなどに対して頭を働かせること(=心構えを含めた事前準備)が重要だと言えるでしょう。
※上記内容の参照先URLはこちら
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https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2019/0723150802628/ksvol734.pdf
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