名古屋の介護・福祉業界に強い社会保険労務士法人エンジー/行政書士事務所エンジー/中小企業診断士エンジー
社会保険労務士法人エンジー
地下鉄名城線 東別院駅 徒歩1分
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営業時間 平日:8:30-17:30
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公開日 2020/12/01
最終更新日 2020/12/02
2021年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。
11月16日(月)・26(木)と分科会が開催される中、いよいよ、各サービスの具体的な改正論点が明確になってきています。
現状の情報を早めにインプットし、(心構えも含めた)然るべき準備を行っていくために、多くの介護事業者が関わられている可能性が高く、また、ポジティブな変化(≒報酬増につながる可能性大)につながる要素が多いと感じられる「居宅介護支援・介護予防支援」について、代表的な論点をピックアップ・確認していきたいと思います。
では、早速、中身を確認してまいりましょう。まずは、質の高いケアマネジメントについてです。
↓
※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋
下線①については、小規模居宅介護支援事業所にとっては「朗報」と呼べる内容かもしれません。
今までにも大規模居宅介護支援事業所との連携が叫ばれてきた小規模居宅介護支援事業所ですが、この「新たなインセンティブ」の登場により、連携を模索する事業所は増えてくるのではないでしょうか(とは言え、その一方で、「連携相手を探す」ということ自体も決して簡単な話ではないかもしれないことも理解しておく必要があるでしょう)。
下線②について、まだ仮称とは言え、「医療介護連携体制強化加算」とわざわざ銘打たれていることを考えると、「医療介護の連携強化は居宅介護支援事業所にとって重要業務の一つ」である、ということをあらためて明確に示す・位置付ける意図があるのではないか、と推測してしまいます。
申し上げるまでもないことかもしれませんが、ケアマネージャーの皆様はあらためてその点を確認しておいた方が良いともいえるでしょう。
次に、逓減制についてです。
↓
(注)ICT活用:・事業所内外や利用者の情報を共有できるチャット機能のアプリを備えたスマホ
・訪問記録を随時記載できる機能のソフトを組み込んだタブレット 等
※ 逓減制の適用を45件からとした場合には、特定事業所加算の要件(10)の介護支援専門員1人当たりの受け入れ可能な利用者数についても合わせて見直しを検討してはどうか。
・ 事業所がその周辺の中山間地域等の事業所の存在状況からやむを得ず利用者を受け入れた場合
※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋
こちらも前述のものと同様、居宅介護支援事業の経営者にとっては「朗報」と呼べる改正かもしれません。
仮に、増加する5名分が全て中重度者(要介護3~5)だったと考えると、ケアマネージャー1名当たりの月額報酬増額は、1,373単位×5名=6865単位≒68,650円となります。
下線部にあるように「一定のICT活用、又は、事務職員の配置を図る」等の工夫は確かに必要かもしれませんが、取組を前向きに検討するに値する内容だと言えるのではないでしょうか(他方、44件もの担当を持つことが出来るよう、業務効率化のみならず、ケアマネージャー個々の資質向上も併せて求められることになるでしょう)。
次に、通院時の情報連携、及び看取り期におけるサービス利用前の相談・調整等に係る評価の在り方についてです。
↓
※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋
↓
※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋
こちらも前述の「医療介護連携強化」に関連する改正内容として、取組を進めるに値する内容だと思われます。
最後は、介護予防支援についてです。
↓
その際、質の高い介護予防ケアマネジメントを実現する観点から、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターとの適切な情報連携等を求めてはどうか。
※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋
「何年にもわたり指摘・議論されてきた懸案事項がようやく前進した」そんな印象を覚えるような内容です。
あとは委託連携加算【仮称】の金額がどの程度になるのかに注目が集まるところだと思われますが、今までの「0.5件」という予防ケアプランのカウントに立脚し、そこにどの程度の色を付けるか?等の観点から加算額が導き出されるのか、或いは実際の利用者1人1月の労働投入時間データに基づいて導き出されるのか(≒要介護1は139.5分、要介護2は140.1分であるのに対し、要支援1は110.5分、要支援2は111.0分(出典:老人保健健康増進等事業(令和元年度)「居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する業務実態の調査研究事業」))、今後の動向が気になるところです。
以上、今回は居宅介護支援事業所1点に絞り、代表的な論点について確認・言及させていただきました。
この他にも全サービスにおいて論点、及び対応案が示されていますので、関連サービスについては是非、早めに目を通されておかれることをおススメします。
介護経営者としては「こうなるかもしれない」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地する可能性が高いのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢がますます重要となってくるでしょう(その意味からも是非、介護給付費分科会で提示されている資料も併せてご確認下さい)。
また、早め早めに情報をキャッチアップし、頭の中で“PDCA”を回しておく事も必要です。「もし上記が実行された場合、自社にはどのような影響が出てくるか?」「それら想定される影響に対し、どのような対応を行う事が最適なのか?」幹部育成の視点も含め、そのような議論を社内で始めていかれる事を是非、おススメする次第です。
私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。
※本ニュースレターの引用元資料はこちら
↓
第194回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
公開日 2020/11/05
久しぶりに社内の取り組みの報告です。
弊社では経営理念、経営方針、行動指針、10年ビジョンなどを定めており、スタッフ全員に配布しております。
社内浸透するため、毎年ブラッシュアップのための取り組みをしており、今年は、経営理念をより具体的にイメージできるため、KJ法でグループワークを行いました。
ちなみに弊社の経営理念は、
です。
第1回目のグループワークとして、
について皆で思ったことを付箋に書き、模造紙に貼って話し合いました。
その内容が下記の写真です。
たくさん出て有意義な時間でした。
次回は、
についてのグループワークを予定しております。
楽しみです。
公開日 2020/11/01
最終更新日 2020/11/05
2021年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。2020年10月に入り、いよいよ、各サービスの具体的な改正論点が明確になってきています。
現状の情報を早めにインプットし、(心構えも含めた)然るべき準備を行っていくために、今回のニュースレターでは、多くの介護事業者が関わられているであろう「訪問介護」「通所介護」について、代表的な論点をピックアップ・確認していきたいと思います。
では、早速、中身を確認してまいりましょう。
まずは、通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護生活機能向上連携加算についてです。
と非常に低くなっている。
加算創設の目的(外部のリハビリテーション専門職と連携することにより、自立支援・重度化防止に資する介護を推進すること)を達成する観点から、どのような対応が考えられるか。
↓
【検討の方向(案)】
※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋
リハ(=医療職)と介護の連携体制を強化し、より効果的なケアを実行していくためにも「生活機能向上連携加算」の取得促進を進めていきたい、という厚生労働省の意思が明快に反映されたものと思われます。
尚、「検討の方向(案)」の文言は、加算を取得していない理由として、「近隣に該当の事業所・施設が存在するのかが分からない」という声が一定程度上がっていることが背景にあるようです。
次に、通所介護・地域密着型通所介護 個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)についてです。
を目指し機能訓練を実施した場合に、評価を行っている。
↓
【検討の方向(案)】
※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋
人員配置要件について、具体的には、「機能訓練指導員を常勤又は専従により配置することが難しい」という要因が加算不取得理由の多数を占めている状況を受け、この点に見直しが入ってくるものと思われます。
また、機能訓練項目の見直しについては、「個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定している場合において、訓練内容にほとんど差がなく、かつ、個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定している場合でも生活機能に関する訓練はほとんど実施されていない」という調査結果を踏まえての見直しになるものと思われます。
次に、通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護入浴介助加算についてです。
と非常に高くなっている。
↓
【検討の方向(案)】
※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋
上記内容及び付随資料の情報だけでは何とも解釈しがたい部分はありますが、可能性として、「入浴介助加算という加算項目が無くなり、個別機能訓練の中の訓練項目の一つとして位置付けられる」という方向性が打ち出されるかもしれない、ということは頭に置いておいた方が宜しいかもしれません(報酬はどうなるの?という点については言及が為されていないので、現時点では方向性が見えづらい状況です)。
次に、地域等との連携についてです。
といった効果があると考えられる。
↓
【検討の方向(案)】
※2020年10月15日 介護給付費分科会資料より抜粋
「“場”を有している」という観点含め、従来の機能に加え、通所介護事業所に今後、“地域連携”という更なる役割を担ってもらいたい、という厚生労働省の意図が明快に反映されたものと思われます。
次に、訪問介護 特定事業所加算についてです。
↓
【検討の方向(案)】
※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋
訪問介護における有効求人倍率が「15.03倍(2109年度時点)」となっており、人財確保策の一貫として訪問介護職員の処遇改善の重要性が高まる中、「区分支給限度基準額を超える利用者が出るとの理由から、要件を満たしているにも関わらず、特定事業所加算を算定できていない事業所が一定数存在」していることに対して改善を加え、処遇改善を促進させていこう、というのが本論点の意図となっています。
次に、訪問介護の生活機能向上連携加算についてです。
↓
【検討の方向(案)】
※また、通所介護における生活機能向上連携加算の検討の方向(案)と同様、連携先を見つけやすくするための方策を検討してはどうか。
※定期巡回・随時対応型訪問介護看護、(介護予防)小規模多機能型居宅介護も同様にしてはどうか。
※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋
本論点も通所介護同様の意図だと理解して差し支えないものと思われます。具体的には、サービス担当者会議の場を有効活用していく、という方向になるでしょう。
次に、訪問介護 通院等乗降介助についてです。
↓
【検討の方向(案)】
※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋
上記変更は極めて現実的・朗報と考えても差し支えないかもしれません。
最後に、訪問介護 看取り期における対応の充実についてです。
↓
【検討の方向(案)】
※2020年10月22日 介護給付費分科会資料より抜粋
現時点においても「看取り対応」を行っている訪問介護事業所も一定数存在すること、及び、訪問介護事業所において「看取り」という言葉が今以上に強く意識されるかもしれないことを含め、こちらも「朗報」と捉えて差し支えないものと思われます。
以上、代表的なサービスの、代表的な論点について確認・言及させていただきました。介護経営者としては「こうなるかもしれない」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地する可能性が高いのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢がますます重要となってくるものと思われます(その意味からも是非、介護給付費分科会で提示されている資料も併せてご確認下さい)。
また、早め早めに情報をキャッチアップし、頭の中“PDCA”を回しておく事も必要かと思われます。「もし上記が実行された場合、自社にはどのような影響が出てくるか?」「それら想定される影響に対し、どのような対応を行う事が最適なのか?」幹部育成の視点も含め、そのような議論を社内で始めていかれる事を是非、おススメする次第です。
※引用元資料はこちら
↓
第188回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14094.html
第189回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14240.html
公開日 2020/10/01
最終更新日 2020/10/07
2021年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。2020年6月より本格始動した本会は6月、7月は各2回、8月は3回、9月は2回開催されており、徐々に各サービスの具体的な法改正の論点が明らかになりつつあります。
中でも今回特徴的なのは、「感染症や災害への対応力強化」というトピックスが独立したテーマとして掲げられていること。
これらの情報を早めにインプットし、(心構えも含めた)然るべき準備を行っていく事を目的に、今回は、9月4日に開催された会で挙げられた論点について、内容を確認してまいります。
では、早速、中身を確認してまいりましょう。
まずは感染症対策等にかかる現状基準の確認です。施設サービスでは、下記のような対応が「義務(≠努力義務)」として定められています。
※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋
次に災害対策に関する現状基準の確認です。訪問系サービス及び居宅介護支援事業以外の全てのサービスにおいては、下記のような対応が同じく「義務(≠努力義務)」として定められています。
※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋
また、上記に加え、介護サービスの安定的・継続的な提供のための、「業務継続計画(いわゆるBCP)」についての論点も確認しておきます。
※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋
上記3点を踏まえた上で、今回の法改正に掲げられている「感染症や災害への対応力強化」についても確認しておきましょう。まずは、感染症への対応に関する現状整理についてです。
が設けられている。
また、介護保険施設に対しては、「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(平成31年3月改訂)」を示している。
「感染症や災害への対応力強化」についても確認しておきましょう。まずは、感染症への対応に関する現状整理についてです。
一時的に人員基準等を満たせなくなる場合の柔軟な取扱いや、対面での実施が求められる会議の柔軟化、サービス毎の特性に応じた柔軟な取扱いを可能とするなど、臨時的な取扱いを行うとともに、
また、現在、「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(平成31年3月改訂)」や今般の新型コロナウイルス感染症における「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点」を踏まえ、全てのサービス類型が対象となる、感染症対策に関するマニュアルや、事業継続計画(BCP)に関するガイドラインの作成を進めている。
※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋
次に、災害への対応に関する現状整理についてです。
具体的には、平成30年度以降、7回、臨時的な取扱いの対象となった災害があったが、その際には、被災により一時的に人員基準等を満たせなくなる場合や、避難所等で生活している者に居宅サービスを提供した場合、被災した要介護高齢者の受け入れにより高齢者施設等で人員超過等した場合に柔軟な取扱いを可能とするなど、臨時的な取扱いを行ったところ。
※2020年9月4日 介護給付費分科会資料より抜粋
↓
第184回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
公開日 2020/09/01
最終更新日 2020/11/05
2020年8月7日、平成15年度から続く「介護労働実態調査」が公益財団法人介護労働安定センターより発表されました。
今月は、特に認識・確認しておいた方が宜しいかかもしれない情報・データを大きく4点、ピックアップして皆様にお届けさせていただきたく思います。
「さて、この視点において、自社の実情はどうなっているのだろうか?」是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。
では、早速、中身に移ってまいりましょう。まずは「家族の介護の状況(年齢階級別)」についてです。
「現在、介護している」は「55 歳以上60 歳未満」が26.2%と最も高く、次いで「60 歳以上65 歳未満」が23.9%、「50 歳以上55 歳未満」が21.8%となっています。
介護経営者としては突然の離職発生等のリスクを事前防止することを含め、自社のスタッフにおいての現状の情報収集を行っておいた方が宜しいかもしれません。
特に50歳以上のスタッフが多い職場では、具体的にどのような対応が可能かを考えていくことが必要・重要だと言えるでしょう。
では、2番目の項目に移ってまいります。介護や妊娠・出産・育児に係る両立支援のための取組みについてです。
「介護休業や介護休暇を就業規則に定めている」と「育児休業や育児休暇を就業規則に定めている」が7割前後の事業所で行われている一方、「育児休業や育児休暇の内容や利用手続に関して、従業員全員に周知している」「介護休業や介護休暇の内容や利用手続に関して、従業員全員に周知している」は5割前後に留まっています。
周知すること無しには、規則を定めていても活用していくことができず、「知らなかった」ことが理由となって離職につながってしまうことも大いに考えられることです。
その意味でも自社内でしっかり情報が浸透しているか、念のために確認をしておいた方が宜しい法人も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
では、3番目の項目に移ってまいりましょう。現在の仕事の満足度調査についてです。
満足度D.I.(「満足」+「やや満足」から「やや不満足」+「不満足」を引いたもの)をみると、「仕事の内容・やりがい」「職場の人間関係、コミュニケ-ション」「雇用の安定性」「職場の環境」については高い項目となっており、一方、低い項目は「賃金」「教育訓練・能力開発のあり方」「人事評価・処遇のあり方」等になっています。
自社の現状を振り返り、職場改善のヒントとしていきましょう。それでは最後、4番目の項目に移ってまいります。早期離職防止や定着促進のための方策についてです。
こちらは、早期離職防止や定着促進のための方策についての調査となります。スタッフの定着率にお悩みの経営者の皆様は、自社でできることが無いか、確認しておくことをおすすめする次第です。
以上、4点ほどデータをピックアップして概要・ポイントをお届けいたしました。
まだまだ様々な視点のデータが公表されておりますので、詳細は下記URLを参照いただければと思います。
介護経営に携わる方や人事・組織づくりに携わる皆様は、自社の現状を把握し、調査結果と比較することにより、様々な気付きや学び、或いは改善のヒント等を得ることが出来るものと思われます。
そのような視点で是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。
今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※本ニュースレターの引用元資料はこちら
↓
令和元年度 介護労働実態調査結果について
公開日 2020/08/01
最終更新日 2020/07/31
2020年7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(通称:骨太方針2020)。新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への甚大な影響により、改めて浮き彫りになった課題・リスク・取組の遅れを受け、「新たな日常」の実現に向けてどのような施策が展開されていくのかが示されています。
本書面の中で、介護業界に対してはどのような言及が為されているのか?今回は特に事業者として注視すべき5つのポイントをトピックスとして採り上げ、お届けしてまいります。
では、早速、中身に移ってまいりましょう。相互にリンクする箇所等もあるため重複する内容もありますが、漏れが生じないよう全てを列挙させていただきます。
以上、「骨太方針2020」より、介護業界に直接関係のある部分のみを抜粋してお伝えさせていただきました。
繰り返しになりますが、本内容は国全体の舵取りの羅針盤方針的な位置づけであり、それ故、相応の重みを伴なった情報であることを強く認識しておく必要があろうかと思います。
事業者としては上記内容を踏まえつつ、「これらの情報に対し、自社としてどう適応していくか?」について事前に頭を働かせておくことは勿論、内容によっては打ち手や対策を早急に検討・開始していくことが重要だと思われます。
是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。
※の引用元資料はこちら
↓
「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(骨太方針2020)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2020/decision0717.html
公開日 2020/07/01
最終更新日 2020/11/05
「第二波」「第三波」等の言葉が叫ばれる中、“Withコロナ”の姿勢と共に、経営に対する“備え”の重要度がますます高まりつつある、昨今のコロナウイルス感染症問題。
そのような中、「感染拡大の抑え込み」と「社会経済活動の回復」の両立を目的に、2020年6月12日、令和2年度の第二次補正予算案が可決・成立されました。
今回はその中から厚生労働省主管分に焦点を当てつつ、特に介護業界に大きく関連するであろう2つの予算内容についてピックアップし、お伝えしてまいります。
では、早速、中身を確認してまいりましょう。まず1つ目は、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)についてです。
※令和2年度厚生労働省第二次補正予算案(参考資料)より
こちらは感染症対策を徹底しつつ、介護サービスを再開し、継続的に提供するための事業者への支援となります。
具体的な支援内容として掲げられているものは、下記の通りです。
感染症拡大防止を大前提としつつ、万一、感染症が発症してしまった場合にも速やかに対応できるよう、設備や備品等、環境を整えることを目的とした支援が中心となっています。
また、「補助率100%(実施主体は都道府県)」という点も要注目です。多くの事業所様にとって「強い味方」の交付金となるのではないでしょうか。
続いて、2つ目の予算内容を確認してまいりましょう。
2つ目は、介護分野における効果的な感染防止等の取組支援事業についてです。
※令和2年度厚生労働省第二次補正予算案(参考資料)より
前述の予算との線引きが若干曖昧に感じられるところはあるものの、こちらは主に感染防止対策に対する「中長期視点に基づいた、ソフト面中心の補助メニュー」と理解・整理することが出来るかもしれません(その意味では、前述の「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の場合は設備や備品といった“ハード面中心の補助メニュー”だと理解しても差し支えないでしょう)。
日常的な相談窓口の設置に対する費用、感染対策のマニュアル作成費用、専門家による研修費用、業務継続計画(BCP)の作成費用等に対する支援が例として挙げられています。
また、こちらの事業も前述のものと同様、「補助率100%(実施主体は都道府県)」と書かれているものが多い点は同じく要注目だと言えるでしょう。
以上、令和2年度第二次補正予算(厚生労働省分)のうち、介護業界に大きく関わる点について採り上げ、簡単に解説させていただきました。
支援の開始時期や具体的な手続き方法等については今後、各自治体より順次発表されるかと思いますので、行政からの情報に対しては敏感になっておく必要があるかと思われます。
また「2020年4月まで遡っての請求申請」が可能という話も出ておりますので、必要に応じて過去の購入内容や領収書を事前整理しておいても宜しいかもしれません。
機会損失を起こさぬよう、しっかり活用できるものは活用し、今後の事業所の運営に役立てていくことを強くお勧めする次第です。
今月も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
の引用元資料はこちら
令和2年度厚生労働省第二次補正予算案(参考資料)
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/02index.html
公開日 2020/06/01
最終更新日 2020/05/29
5月14日(木)に39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されて以来、徐々に緊張感が緩まり始めてきています。このような環境変化に比例するかの如く、ここ数日の間に「今後、感染症のある社会(≒Withコロナ社会)ということを前提に考える中で、介護経営としてはどのような準備をすべきでしょうか?」というご質問を立て続けにいただく機会がありました。そこで今回は、現時点で感じている視点・ポイントについて是非、皆様に共有させていただきたく思います(叩き台として活用いただければ幸いです)。
では、具体的に考えていく上で、下図のようなマトリックスに基づいて考えてみたいと思います。
※株式会社ケアビジネスパートナーズにより作成
先ずは左下、「運営×守り」の領域について。
一言で言えばこの領域は、「運営OSのバージョンアップ」と呼べるかもしれません。
ここから先は、“感染症予防”というキーワードを前提にすべてのものごとを考えなければならなくなることは明らかです。
今回はなんとか緊急対応で凌ぐことが出来た事業者様もいらっしゃるかと思いますが、“改善”というよりは抜本的な“改革”という観点で、知識やスキルの習得は勿論のこと、職場内の基礎環境や業務プロセス全体を全て見直し、再構築していく必要があるでしょう。
次に左上、「運営×攻め」の領域について。この領域のメインテーマは「顧客エンゲージメント(≒心理的つながり)の強化」だと考えています。
今回のコロナをきっかけに、特にデイサービスなどでは利用控えをされた方も多かったのではないかと思います。
また、利用を継続されている方々の中にも、Beforeコロナの時代には経験したことがなかったような不安やストレスを感じられている方々もいらっしゃるかもしれません。
そのような皆様の状況に対し、専門職としてどのようなスタンスのもと、どのような配慮やコミュニケーションを提供していくべきなのか?例えば入居系サービスを提供されている某法人様では、ご家族と面会できないご利用者の心理的ストレスを少しでも軽減できるよう、ご利用者の要望に応じて“お手紙”“電話”“ビデオ通話”など様々なツールを使い分けているそうです。
「職員側の感覚や都合でツールを選択するのではなく、ご利用者様が安心する、望むものを」という視点に基づき、コミュニケーションツールについても複数の選択肢を準備されている話をお聞きし、「正にソーシャルワーク視点に基づく価値提供だなぁ」とあらためて学びをいただいた次第です。
さて、今度は右下、「経営×守り」の領域について。今回のコロナ禍により、Beforeコロナ時代には予想も出来なかった「突然の収入減」や、「職員の心理ストレスの増大」等が浮き彫りになりました。
同様の状況が今後また発生するかもしれないことを前提として、また、マトリックス上の左側の領域(=「運営×守り」「運営×攻め」の領域)を実現していくためにも、何をおいてもまずは、事業体としての「基礎体力増強」をはかっておくことが不可欠かと存じます。
具体的には「ヒト」「カネ」の視点が重要かと思いますが、例えば「ヒト」視点については、職員に生活上の補償だったりメンタル面のサポートだったり等、可能な限り、不安を取り除けるような工夫を施すこと。そして「カネ」視点はシンプルに「資金調達」や「コストダウン」により、余裕資金を可能な限り確保していくことが重要になってくるでしょう。
ちなみに「ヒト」の部分について、慰労金の支給を検討されている法人もいらっしゃるかと思いますが、是非、支給の際には一手間かけ、皆様の「想い」をしっかりと伝えていただきたいと思います。
例えば某法人様では慰労金を支給する際、代表者名で次のような手紙を添えられたとのことで、代表の想いに感激・涙し、使命感と誇りに気持ちを新たにされた職員も数多くいらっしゃったそうです。
「このコロナウイルスの感染が広がる中、以前と全く変わりなく多くのご利用者に接して下さっている職員の皆様に心より感謝いたします。医療現場と同様に介護現場も感染リスクが高いにも関わらず、皆様はご利用者の身体能力維持やご家族の安心のために日々尽力して下さっています。(中略)ほんのささやかではありますが、みなさまの毎日の奮闘に敬意を表して慰労金を送らせていただきます。(中略)この先、友達と会ったり旅行に出かけたりできる日が必ず来ます。その日まで皆で手を取り合って、不安を一人で抱え込まずに過ごしていきましょう。マスク無しの笑顔の皆様と会える日を楽しみにしています」・・・・
そして最後、右上の「経営×攻め」の領域について。
ここのテーマは “イノベーション”です。
今までは人材不足の話からこの領域が注目されつつも、なかなか取り組みが進まない、という実態が多かったと思われますが、“非対面”“非接触”“非集合”でも業務可能となるICTやロボットを導入すること自体が感染対策にもつながりますし、右下で話した職員の安心感の増大にも貢献するであろうことは間違いありません。
今まではテクノロジーの導入になんとなく後ろ向きだった方も、考え方自体をアップデートさせていかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
またこの領域の重要テーマとして「新たな収益源の確保(新規事業)」も付け加えさせていただきたいと思います。
今回のコロナ禍を受け、「現状の事業だけでは将来が不安」という想いや危機感を改めて強くした方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。
この機会だからこそ、未来を見据えて自社の新たな柱となるような“新規事業”を本気で考えてみる必要があるのではないかな、と感じる次第です。
以上、思考の叩き台として活用してみていただければ、との想いのもと、簡単にまとめさせていただきました。
「今回のアクシデントは自社に何を示唆してくれているのか?」について冷静に考え、これから新たな第一歩を踏み出されることをお勧めする次第です。
今後も引き続き、本テーマを含め、より有益な情報・事例等を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
公開日 2020/05/01
最終更新日 2020/05/29
「経済財政運営と改革の基本方針2019(いわゆる“骨太方針2019”)」に明文化されて以降、多くの介護経営者様が意識されるようになり、頻繁に質問をお受けするようになった“保険者インセンティブ”。
2018年度・2019年度までは予算規模200億円だったものが2020年度には倍増の400億円規模となり、インセンティブについても下図の通り、「保険者機能強化推進交付金(≒保険者としての機能整備に対する交付金)」と「介護保険保険者努力支援交付金(≒健康寿命延伸・社会保障費削減に対するインパクトが大きい取り組みや成果に対する交付金)」の2種類に分けられたことについては既にお伝えさせていただいた通りです。
その後の2020年3月23日、厚生労働省より両交付金の評価指標があらためて示される運びとなりました。
今回はこの“2020年度版保険者インセンティブ”について内容の確認、及びポイントについてピックアップし、皆様にご紹介してまいります。
では、早速、中身の確認に移ってまいりましょう。先ずは、評価指標の概要についてです(下図)。
※2018年度・2019年度保険者機能強化推進交付金評価指標(市町村分)をもとに弊社作成
2018年度は612点満点、2019年度は692点満点で評価指標が構成されていましたが、今回は大幅に増えて1,575点満点。
評価項目については2018年度・2019年度と変わらず、大項目は3項目(=「1.PDCAサイクルの活用による保険者機能の強化に向けた体制等の構築」「2.自立支援、重度化防止等に資する施策の推進」「3.介護保険運営の安定化に資する施策の推進」)となっており、2、3についてはその下に更に中項目が設けられています。
また、表の右側にある(内、支援)というのは「保険者機能強化推進交付金の評価指標であると同時に、介護保険保険者努力支援交付金の評価指標でもる」指標の合計点数を指しています。
この概要表から推察するに、「保険者機能強化推進交付金(1,575点満点)の結果を分け合う財源が190億円」「介護保険保険者努力支援交付金(880点満点)の結果を分け合う財源が190億円」と言う事から考えると、当然ながら「介護保険保険者努力支援交付金」の対象評価指標にて高い点数を取った方が保険者にとっては財源配分が増加する可能性が高くなる」ことは誰もがお分かりになるのではないか、と思われます。
では、一体、どのような評価指標が「介護保険保険者努力支援交付金」の対象となっているのか?
紙幅の関係上、ここでは「保険者機能強化推進交付金」対象評価指標が100%「介護保険保険者努力支援交付金」の評価指標にスライドしている「(5)介護予防/日常生活支援」の中から特に介護事業者に関係がありそうな内容を10項目、下記の通り抜粋してお伝えさせていただきたいと思います(それ以外の項目についても是非、文末のURLよりダウンロードしてご確認下さい)。
【①】
<指標>関係機関との意見交換や都道府県等による継続的な支援等を踏まえ、介護予防・生活支援サービス事業における多様なサービス(※)及びその他の生活支援サービスを推進するための課題を明らかにした上でそれに対応する方針を策定・公表するとともに、実現に向けた具体的な方策を設定・実施しているか。
※ 基準を緩和したサービス、住民主体による支援、短期集中予防サービス、移動支援を指し、予防給付で実施されてきた旧介護予防訪問介護相当サービス・旧介護予防通所介護相当サービスに相当するサービスは含まない。
ア 多様なサービス及びその他の生活支援サービスを推進するための課題を明らかにした上でそれに対応する方針を策定・公表している
イ 課題への対応方針の実現に向けた具体策を設定・実施している
<配点>ア20点 イ10点 複数選択可
<時点>2019年度又は2020年度(予定)の取組 が対象
【②】
<指標>サービスC(短期集中予防サービス)を実施し、かつ、サービス終了後に通いの場へつなぐ取組を実施ているか。
<配点>30点
<時点>2019年度の取組が対象
【③】
<指標>通いの場への65 歳以上の方の参加者数はどの程度か(【通いの場への参加率=通いの場の参加者実人数/高齢者人口】 等)
ア 週一回以上の通いの場への参加率
a 全保険者の上位1割 b 全保険者の上位3割 c 全保険者の上位5割 d 全保険者の上位8割
イ 週一回以上の通いの場への参加率の変化率
a 全保険者の上位1割 b 全保険者の上位3割 c 全保険者の上位5割 d 全保険者の上位8割
ウ 月一回以上の通いの場への参加率
a 全保険者の上位1割 b 全保険者の上位3割 c 全保険者の上位5割 d 全保険者の上位8割
エ 月一回以上の通いの場への参加率の変化率
a 全保険者の上位1割 b 全保険者の上位3割 c 全保険者の上位5割 d 全保険者の上位8割
<配点>アa及びイa各20点 アb及びイb各15点 アc及びイc各10点 アd及びイd各5点ウa及びエa各10点 ウb及びエb各8点 ウc及びエc各5点 ウd及びエd各3点
それぞれa~dのいずれかに該当すれば得点
<時点>前年度実績(調査時点)
【④】
<指標>医師会等の関係団体との連携により、介護予防の場にリハビリテーション専門職等が関与する仕組みを設け実行しているか。(地域リハビリテーション活動支援事業等 )
<配点>20点
<時点>2019年度の取組が対象
【⑤】
<指標>地域の多様な主体と連携しているか。
ア 地域の多様な主体と連携して介護予防を進める体制を構築している
イ 多様な主体が行う通いの場等の取組・参加状況を把握している
<配点>各10点 複数選択可
<時点>ア 2019年度の取組が対象 イ 2019年度又は2020年度(予定)の取組が対象
【⑥】
<指標>社会福祉法人・医療法人・NPO・民間サービス等と連携した介護予防の取組を実施しているか。
ア 多様な主体の提供する予防プログラムを通いの場等で提供している
イ 参加前後の心身・認知機能等のデータを管理・分析している
ウ 参加者の心身改善等の成果に応じて報酬を支払う成果連動型の委託を実施している
エ 参加者の○%以上が心身・認知機能等を改善している
<配点>ア及びイ各10点 ウ及びエ各5点 複数選択可
<時点>○ ア、イ、エ 2019年度の取組が対象
○ ウ 2019年度又は2020年度(予定)の取組が対象(複数年度契約で事業を実施している場合も含む)
【⑦】
<指標>経年的な分析を可能がなるよう、通いの場の参加者の健康状態等をデータベース化しているか。
<配点>20点
<時点>2019年度の取組が対象
【⑧】
<指標>通いの場の参加者の健康状態等の把握・分析により、通いの場の効果分析を実施しているか。
<配点>15点
<時点>2019年度の取組が対象
【⑨】
<指標>自立支援・重度化防止に取り組む介護サービス事業所に対する評価を実施しているか。
<配点>20点
<時点>2019年度の取組が対象
【⑩】
<指標>高齢者の社会参加を促すため個人へのインセンティブを付与しているか。
ア 参加ポイント事業を実施しているか
イ 高齢者のポイント事業参加率が当該地域の高齢者全体の○割を超えているか
ウ ポイント事業参加者の健康状態等のデータベース化を実施しているか
エ ポイント事業参加者の○%以上が心身・認知機能等を維持改善している
<配点>各10点 複数選択可
<時点>2019年度の取組が対象
以上、保険者機能強化推進交付金及び介護保険保険者努力支援交付金(2020年度市町村版)の評価指標の概要、並びに保険者がより高いモチベーションで取り組む可能性が高いと思われる項目から幾つかの具体的評価内容を抜粋してお伝えさせていただきました。
事業者の皆様としては、先ずは評価指標の内容全体にしっかり目を通した上で「自社に影響を及ぼしそうな指標」「自社が貢献できそうな指標」等についてピックアップし、早めに準備・整備を行っておく必要があると言えるでしょう。
私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報・事例等を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※文中でも申し上げた通り、紙幅の都合上、今回は「2-(5) 介護予防/日常生活支援」の一部の指標しかご紹介できませんでしたが、是非、お時間を取ってその他全ての指標に目を通していただければと思います。関心をお持ちになられた方は、下記よりダウンロード下さいませ。
2020年度保険者機能強化推進交付金・介護保険保険者努力支援交付金に係る評価指標
(PDFのp1~p17までが都道府県向け評価指標、p18~p40までが市町村向け評価指標になっています)
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000610972.pdf
公開日 2020/04/01
毎年2月末~3月末に開催される「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(通称:担当課長会議)」。
日本中の保険者の介護保険を担当する部署の課長が東京に集い、次年度の厚生労働省全体方針について確認する定例会議なのですが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で会自体は中止となり、資料共有のみに留まる形になりました。
その中から特にサ高住や住宅型有料老人ホームを経営されている皆様に関連が深いであろうトピックスを一つピックアップし、お伝えしてまいります。
では、早速、中身の確認に移ってまいりましょう。下
記は、厚生労働省 総務課 介護保険指導室 により提出された資料からの抜粋です。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった高齢者向け住まい(以下「高齢者向け集合住宅」という。)は、高齢者の多様な住まいのニーズの受け皿として重要な役割を果たしている一方で、併設する介護事業所から過不足のないサービスが提供されているかどうかといった様々な課題も指摘されている。
このため、平成 30 年度予算において、これらの事業所に対する重点的な実地指導が推進されるよう、体制整備を支援する「高齢者向け集合住宅関連事業所指導強化推進事業」を創設し、実施している。
令和2年度においては、集合住宅関連事業所への実地指導の実施回数が多い自治体について、実施要綱を一部改正し、補助上限額の見直しを行うこととしているので、本事業の積極的な活用について検討をお願いしたい。
〔事業概要〕
ここ数年の間、住宅型有料老人ホームやサ高住を経営されている全国の介護経営者様より、「今まで何も指摘を受けていなかったのに、突然、監査のような厳しい雰囲気で行政が実地指導にやってきた」等のお話をうかがう機会が格段に増えてきていたのですが、その背景には恐らく上記「高齢者向け集合住宅関連事業所指導強化推進事業」の創設があったと推測され、今回の補助額積み増しにより、この動きはさらに加速してくるのではないかと思われます。
ちなみに簡単におさらいしておきますと、本事業が創設されるに至った経緯・きっかけとしては、平成29年に大阪府福祉部高齢介護室が主催した「高齢者住まいの質の向上に関する検討部会」において明らかにされた下記データが発端となっている、と考えられます。
※出典:第1回 高齢者住まいの質の向上に関する検討部会(参考資料)
上記数値を確認する限り、大阪府内の住宅型有料老人ホーム・サ高住においては各要介護度別にみても「区分限度支給額に対する利用割合」が相当高いことがうかがえます(大阪府に限った話ではないと思われますが)。
ちなみに当時、比較対象として掲げられていたのが、厚生労働省が介護給費費分科会内で示した下記データ「要介護度別の支給限度額と平均的な利用率」です。
※出典:第145回介護給付費分科会(平成29年8月23日開催)
両データを比較すると、明らかに大きな差が生じていることが分かります。
住宅型有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅はあくまで「居住+在宅サービスの外付け」であり、その意味では在宅サービス全般との間でこれだけの差が生じていることについては、「囲い込みではないか」との疑念が生まれてしまうことも致し方ないことかもしれません。
勿論、区分限度支給額というのは「必要な場合、ここまでは介護保険を活用しても良い」という限度額を表しているものであり、かつ、利用割合が高いことについて一概に「高い」「低い」と議論を行うのはケアマネジメントの観点からしても不適切な部分があるものと思われます。
ただ、上記大阪府が示したデータの母数が「4,787名(住宅型有料老人ホームの入居者数)」「4,019名(サービス付高齢者向け住宅の入居者数)」(いずれも「高齢者住まいの質の向上に関する検討部会」資料より引用)であったことを考えると、上記数値は決して「特例」「外れ値」と捉えることは難しく、やはり、行政の目が懐疑に向かうことは止むを得ない、と言いますか、当然のことなのかもしれません。
(下記は比較しやすいように、上記両データを基に弊社が作成した「区分限度支給額に対する利用割合」一覧表です。)
以上、「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(2020年3月10日公表)」資料より特に気になった点について採り上げ、簡単に解説させていただきました。
住宅型有料老人ホームやサ高住を経営されている介護経営者様は数多くいらっしゃるかと思います。
その中でも「ここ数年、実地指導が来ていない」という方については、2020年4月以降の早期に実地指導が入る可能性も考えられなくはなく、然るべき対応を進めておく必要がある、と言えるのではないでしょうか。
※引用元資料はこちら
↓
全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken_129155.html
第1回 高齢者住まいの質の向上に関する検討部会(参考資料)(大阪府福祉部高齢介護室)
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/18262/00260831/siryo1-2.pdf
区分限度支給額(参考資料)(第145回介護給付費分科会)