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【介護保険事業所向け】売上算定構造と収支予測について解説します

著者:enjie_editor

【介護保険事業所向け】売上算定構造と収支予測について解説します

公開日 2023/09/25

最終更新日 2023/10/27

一般的な売上高の算定方法は、”客単価”×”客数”ですが、障害福祉事業所における報酬(売上)の算定方法は少し異なります。
今回は、介護事業所の方向けに売上高の算定方法を確認しながら、事業を進めるうえで大切な収支予測の立て方について解説していきます。

 

 報酬(売上)の算定方法 

介護保険や障害福祉サービス事業所の報酬(売上)の算定式は以下の通りです。

報酬(売上)= 地域単価×提供するサービス毎に定められた単位数×提供回数(提供者数)

見慣れない単語がいくつか登場してきましたので、それぞれ解説していきます。

 報酬(売上)の算定方法 -地域単価とは- 

地域単価とは、地域(区、市、町、村)ごとにあらかじめ定められた単価のことを言います。
地域にはそれぞれ1級~7級+その他と等級が設定されており、等級が高いほど地域単価は高くなります。
介護保険の場合は下記のとおりです。

等級 主な地域 地域単価  
1級 東京23区 11.40円  
2級 横浜市など 11.12円  
3級 名古屋市など 11.05円  
4級 船橋市など 10.84円  
5級 水戸市など 10.70円  
6級 仙台市など 10.42円  
7級 札幌市など 10.21円  
その他 1級~7級に区分されない地域 10.00円  

厳密には事業所が所在する地域と提供するサービスによって地域単価が決定されます。
※上記は介護保険事業所の例です。障害福祉事業所は上記と異なる場合があります。

サービス区分 1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級 その他
通所介護 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
短期入所療養介護 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
特定施設入居者生活介護 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
地域密着型通所介護 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
認知症対応型共同生活介護 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
地域密着型特定施設入居者生活介護 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
介護老人福祉施設サービス 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
介護老人保健施設サービス 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
介護療養型医療施設サービス 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
介護医療院サービス 10.9 10.72 10.68 10.54 10.45 10.27 10.14 10
訪問リハビリテーション 11.1 10.88 10.83 10.66 10.55 10.33 10.17 10
通所リハビリテーション 11.1 10.88 10.83 10.66 10.55 10.33 10.17 10
短期入所生活介護 11.1 10.88 10.83 10.66 10.55 10.33 10.17 10
認知症対応型通所介護 11.1 10.88 10.83 10.66 10.55 10.33 10.17 10
小規模多機能型居宅介護 11.1 10.88 10.83 10.66 10.55 10.33 10.17 10
複合型サービス 11.1 10.88 10.83 10.66 10.55 10.33 10.17 10
訪問介護 11.4 11.12 11.05 10.84 10.7 10.42 10.21 10
訪問入浴介護 11.4 11.12 11.05 10.84 10.7 10.42 10.21 10
訪問看護 11.4 11.12 11.05 10.84 10.7 10.42 10.21 10
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 11.4 11.12 11.05 10.84 10.7 10.42 10.21 10
夜間対応型訪問介護 11.4 11.12 11.05 10.84 10.7 10.42 10.21 10
居宅介護支援 11.4 11.12 11.05 10.84 10.7 10.42 10.21 10
介護予防支援 11.4 11.12 11.05 10.84 10.7 10.42 10.21 10

例えば、名古屋市は3級に該当し訪問介護を提供されている場合は、11.05円が地域単価となります。
※上記は介護保険事業所の例です。障害福祉サービス事業所は上記と異なります。

 

 報酬(売上)の算定方法 -提供するサービス毎に定められた単位数とは- 

サービス内容 算定項目 単位数
身体介護01 身体介護が中心20分未満 167
身体介護1 身体介護が中心20分以上30分未満 250
身体1生活1 身体介護が中心20分以上30分未満に引き続き生活援助20分以上45分未満行った場合 317
身体1生活2 身体介護が中心20分以上30分未満に引き続き生活援助45分以上70分未満行った場合 384
身体1生活3 身体介護が中心20分以上30分未満に引き続き生活援助70分以上行った場合 451
身体介護2 身体介護が中心30分以上1時間未満 396
身体2生活1 身体介護が中心30分以上1時間未満に引き続き生活援助20分以上45分未満行った場合 463
身体2生活2 身体介護が中心30分以上1時間未満に引き続き生活援助45分以上70分未満行った場合 530
身体2生活3 身体介護が中心30分以上1時間未満に引き続き生活援助70分以上行った場合 597

上図は、介護保険の訪問介護サービスを提供する場合の各種算定項目の一部を示しています。
訪問介護の場合は、身体介護や生活援助を支援した時間によってそれぞれ単位数が定められています。
ここでいう単位とは報酬(売上)を算定するためにサービスを数値化させたものです。

たとえば、身体介護1は単位数250であるため、月に10回提供すれば身体介護1の総単位数は2500と計算できます。

これに提供回数と先ほどの地域単価を乗じることで報酬(売上)を算定します。
事業所の所在地が東京23区であると仮定して、先ほどの身体介護1を月に10回提供したとすると以下のように計算できます。

報酬(売上)= 28,500円
内訳:地域単価11.4円 × 身体介護1(単位数250) × 提供回数10回 

このようにサービス毎の提供回数を記録しながら報酬(売上)を算定していきます。

 収支予測について 

障害福祉事業所の報酬(売上)を算定するうえで、これまでみてきたように地域単価や単位数、さらにはサービスの内容は予め細かく定められています。
提供回数が予測できれば、報酬(売上)もおおよそのもの算出することが可能となります。

上図のように事業所で提供しているサービスをそれぞれ列挙し、月ごとにどの程度提供しているかを記録していくことが収支予測の第一歩です。

 

提供しているサービス毎に1つずつ積算していくことで、1か月のおおよその売上を算定することができます。
上述までは訪問介護を例にとっていましたが、その他の区分のサービスを提供されている場合も同様です。

売上の次は、毎月定期的に発生する経費をそれぞれ計上することで利益の計算をしていきます。
従業員さんの給与や家賃の支払いなどは典型的な固定費なので、予測しやすい項目になります。

広告宣伝費など毎月固定的に発生しないような経費は、どの月にいくら広告を打つのかを事業主の経営判断を基に計上されると実態に近い収支予測が可能です。

 

 終わりに 

今回の記事で使用した収支予測の為のエクセルファイルをご用意しました。
これから創業される方はもちろん、収支予測の立て方にお悩みの方のご参考になれば幸いです。


収支予測PL

 

 

 

 

 

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