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社会保険労務士法人エンジー
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営業時間 平日:8:30-17:30
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公開日 2024/08/19
みなさん、こんにちは!
社会保険労務士法人エンジーでは、介護施設や障害福祉サービスを運営している事業者様に向けて、様々な情報を発信しています。
「介護福祉専門社労士直伝! これだけは絶対やってほしい介護の人材不足6つの解決策」でもご紹介した通り、昨今、少子高齢化の影響で介護施設の需要が高まる一方、働く介護士や介護スタッフの人手不足が深刻化しています。
介護業界では慢性的な人手不足の状態である状態がなかなか改善されず、「応募者が集まらない」「長期就業につながらない」という悩みが絶えません。
この業界全体の「人材不足問題」を解決するべく、2017年頃から厚生労働省が本格的に外国人介護職員の受け入れを推進し始めました。さらに、2019年4月に施行された「特定技能」という新しい在留資格の創設により、介護分野でもより広範囲にわたる外国人介護人材の受け入れがさらに進んでいます。
こうした国のバックアップに伴なって、「外国人雇用に挑戦しよう!」という事業所や施設も増えてきました。
今回は、外国人人材を介護職で
雇用するため制度や
注意点を確認していきましょう!
やはり、大きなメリットの一つといえば「人材不足の解消」です。 もちろん準備や受け入れるための対策、手続きなど必要なことはありますが、外国人介護人材を採用することで、例えば日本人で応募が集まりにくい勤務地などでも「働き手を得られる」というのは大きな収穫です。
それと同時に、雇用される外国人介護スタッフにとっても、日本での就労の大きなチャンスとなります。特に母国で定職を得るのが難しい場合など、日本での安定した収入は離れて暮らす家族の生活を支える大変重要な手段となるため、意欲的な姿勢で働くスタッフも多いようです。
介護施設に外国人介護スタッフが加わることをきっかけに、日本人や日本に慣れ親しんだ利用者・介護スタッフは、今まで知らなかった新しい文化や習慣に触れることができるため、視野が広がります。また、日常のケアやコミュニケーションについても、お互いに上手に意思疎通を測るために、新しい工夫が生まれることがあり、そういった面での新しい発見もメリットのひとつと考えられます。
日本と、外国人介護スタッフの母国(例えばベトナムやインドネシアなど)の文化を紹介しあったり、日本の伝統的な食事や礼儀など、日本人だけだった環境に新しい考え方や文化・価値観が入ることで、多様性への理解を深めることができます。
既に外国人介護スタッフを採用している施設では
自分では体験できない海外の伝統や日常の話を聞くのが
楽しみ!という利用者もおられるようです。
突然ですが、あなたが来月からベトナムで働くことになったとします。その話を聞いたとき、きっと初めに心配するのは「文化の違い」と「言葉の壁」ですよね。
事前にベトナム語を語学学校である程度勉強していて、日常的なコミュニケーションは問題なくこなせるレベルであったとしても、やはり「生きている現場」で得られるものは、計り知れないと思います。
同じように、外国人介護スタッフは利用者との日々の会話や、同僚となる日本人の介護スタッフや上司との業務・連携を通じて、日本語だけではなく、介護現場で必要な対人スキルや、日本的な考え方なども身につけることができるでしょう。
雇い入れる経営者や一緒に働く同僚としても、「どうコミュニケーションを取っていくか?」「自分たちでサポートできることは何か?」など、日本人同士では考えなかった視点や経験ができ、様々な目線での配慮や気遣いができるようになります。
十人十色をより強く感じる介護現場ですから、そういった経験は施設としても介護に関わる者としても、ひとつ上のステップに進めるのではないでしょうか。
外国人介護スタッフを採用することで、異なる文化や価値観を施設に取り入れることができ、日常のケアの新たなアイデアにつながります。また、外国人介護スタッフから見ても、異国での介護職経験は単なる職業経験ではなく、国際的な視点を持つ貴重なキャリア資産となります。
また、介護業界に限らず外国人労働者の中には日本で介護技術を学び、それを母国で役立てたいと考えている方も少なくありません。こうした高い目的意識を持つ人材を雇用すれば、日本の施設で学んだ技術が母国で広まり、その国の介護サービスの水準が向上するなど、国際貢献につながる可能性もあります。
メリットの中でも例に挙げた「言葉の壁」ですが、外国人介護スタッフが日本語を十分に理解できていない場合、利用者のニーズを的確に把握することや、迅速かつ正確な報告・連絡・相談の妨げになることもあるかもしれません。
雇用しはじめの時期や、イレギュラーなシーンなど現場や介護スタッフに余裕がない場合、職場内でのコミュニケーションに支障が出ることも考えられます。
しかし、忘れてはいけないのが
ストレスを感じるのは、外国人スタッフも同じ。
関わる全員で力を合わせて解決するべき課題です。
日本の介護現場では、特有の文化や習慣が深く根付いています。
日本人なら誰もがわかる(察することも含めて)暗黙の了解のようなものでも、外国人介護スタッフには知らない・理解できないことも多くあるでしょう。お互いに自国の文化や価値観のズレを感じることは少なくありません。
この文化や価値観・考え方の違いによって、外国人介護スタッフが職場での適応に時間がかかったり、利用者への対応が日本人介護スタッフと異なり、双方で誤解が生じたりする可能性もあります。
外国人介護スタッフが日本で働くため、また働いてもらうためには、日本の介護制度や専門知識を理解するための勉強会や研修が必要です。小さな勉強会だとしても、準備も含めるとやはりそれなりに時間や費用がかかってしまうでしょう。
また、勉強会や研修を終えた後も、将来的にどのようなキャリアを考えていけるのかが明確になっていない現場の場合、外国人介護スタッフのモチベーションの低下につながることがあります。(キャリアのことは日本人介護スタッフにも関係してくることではありますが)
母国への帰国後にその経験がどのように活かせるか?日本で長期的に働くことが可能か?といった点について、不安を感じる外国人介護スタッフも少なくありません。
デメリットとして今回は3つ紹介しましたが、
日本人介護スタッフ同士であっても、起こりえるものもあり
「外国人介護スタッフだから」というデメリットは
あまりないように感じました。
それでは、ここで外国人介護人材採用の現状を少し見ていきましょう。
厚生労働省が発表している「外国人雇用状況」の届出状況のまとめによると、2023年10月末時点で、医療、福祉のうち「社会保険・社会福祉・介護事業」で働く外国人労働者は66,660人と発表されてます。(医療、福祉全体だと90,839人)
前年2022年と比較すると22.2%増と、働き手は年々増加しています。その背景には技能実習、特定技能の新設により、外国人が介護分野で働きやすくなったことが挙げられます。
》厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和5年10月末時点)[PDF形式:563KB]
以前より受け入れられている特定活動である「EPA介護福祉士」は、受け入れのハードルが高く、人数も限られていたのに対し、「技能実習」や「特定技能」の要件難易度は低く、受け入れの間口が広まったと言えます。
介護業界に関わらず、外国人が日本で働くためには「就労ビザ」と呼ばれる在留資格が必要となります。 外国人が日本に在留する際には、この在留資格が必要となりますが、在留資格の種類によって、日本国内でおこなうことができる活動が異なります。
在留資格「介護」とは、外国人が介護職として働くための資格です。「介護」は2017年9月に新設された在留資格で、介護福祉士養成校を卒業し、介護福祉士の資格を持っている人が対象です。
外国人介護人材受入れの仕組みについては、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4つの制度があります。
出典:厚生労働省 外国人介護人材受入れの仕組み
介護分野で働ける在留資格は全部で4種類あります。
それぞれの在留資格の特徴を見ていきましょう。
「技能実習」は、発展途上国の人々に日本の技能や技術を習得させ、母国で活用してもらうことを目的とした在留資格です。日本の企業や団体で一定期間働きながら技能を習得することが求められ、在留期間は最長で5年です。
しかし、「技能実習」は基本的に学習が主目的であり、指定された職場でしか働けないという制限があります。
この制度は現在「育成就労制度」に改正される予定で、より効果的な技能習得と現場での実務経験の積み重ねが重視される方向に進んでいます。改正後は、技能実習生の待遇改善や技能の習得過程がより明確になることが期待されています。
「即戦力としての労働」を主な目的とした在留資格です。この「特定技能1号」を取得するためには、次の3つの要件を満たす必要があります。
・介護技能評価(介護分野で必要な技能を確認する試験)
・日本語試験(日本語能力試験N4相当以上/日常生活や業務で必要な日本語の能力を確認する試験)
・介護日本語評価試験(介護現場で特に必要とされる日本語の理解力を測る試験)
はじめに紹介した「技能実習」とは異なり転職が可能で、実務経験を積むことを重視している資格のため、労働力として即戦力となることが期待されます。技能的には「技能実習」よりも高いものとなります。
在留期間は最長で5年。特定技能の分野別上限人数が一番多く、介護分野での人手不足解消の強い味方となる資格となります。「技能実習」では、原則として指定された職場でしか働けませんが、特定技能1号では転職が認められていますので実務経験を積むことを重視しているためキャリアアップという意味でも「技能実習」から「特定技能1号」にシフトする外国人が増えているようです。
「介護」は、介護福祉士として日本で働くための在留資格です。
この資格を取得するためには、日本国内で介護福祉士の資格を取得することが必要です。具体的には、日本の専門学校などで2年以上の介護に関する教育を受け、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
この資格を取得することで、介護施設や在宅介護の現場で日本人と同じ立場で介護業務に従事することができます。
また、「介護」の在留資格を持つ外国人は、残留期間の更新や永住権の申請をすることができ、長期的に日本で働き続けることができます。またそのご家族も「家族滞在」という在留資格で日本に滞在することが可能です。
他の在留資格とは異なり、
在留資格「介護」は、外国人にとって
家族と共に長期的に日本で生活するための
魅力的な選択肢といえます。
「EPA介護福祉士」は、日本が特定の国(インドネシア、フィリピン、ベトナム)と締結している経済連携協定(EPA)に基づいた介護福祉士として働くための在留資格で、候補者が母国に帰国したときに、日本で得た技能を活かして、母国の介護分野をより良くすることが期待されている制度として作られた資格です。
「EPA介護福祉士」候補者は、日本での3〜4年間の研修や就労を経て、介護福祉士国家試験に合格すれば、正式に介護福祉士として働くことができます。
「EPA介護福祉士」は、他の「技能実習」や「特定技能」とは異なり、日本が国として推進している資格制度です。国際協力の一環として、受け入れ人数や資格取得後の待遇が厳密に管理されており、相手国との経済連携を強化するために積極的に進められています。
外国人介護人材を採用するには、いろいろと費用がかかります。たとえば、ビザの申請や渡航費、生活のサポート費用などが挙げられます。また、採用後の給料や福利厚生の費用も考えておく必要があります。これらの費用を事前にしっかりと把握して、予算を計画することが大切です。
当たり前ですが、外国人であっても当然最低賃金法は適用されますし、同じ立場の日本人と比較して安い賃金で雇うことや休日を与えず働かせることなどは禁止されています。
それぞれの在留資格によって、制度や手続きには違いがありますので、採用の時期や必要となる書類、手続きの流れ、さらには遵守すべきルールなどを事前にしっかりと確認しておくことが大切です。例えば、ビザの申請手続きには特定の書類が必要で、申請する時期によって審査の期間が変わることもあります。
手続きが複雑な場合や不安がある場合には、専門家に相談し、適切なサポートを受けることも検討すると良いでしょう。
外国人介護スタッフが仕事に慣れるためには、介護技術や日本語でのやりとり、日本の介護業界やその施設内にある文化を伝える機会として、勉強会や研修を行うほうが良いでしょう。
特に、日本の介護現場に馴染むためのサポートを施設としてしっかり行うことで、質の高いケアを提供できるようになります。定期的に勉強会や研修を開催して、スキルアップを応援、また一緒に働くスタッフの考えなどを吸い上げる機会も大切です。
外国人介護人材が安心して働けるように、職場や生活面でのサポート体制を整えることが重要です。具体的なサポート内容として挙げられるのは、住む場所の手配や生活の支援、日本語学習のサポート、心のケアなどです。
また、職場でのコミュニケーションをスムーズにするために、外国人スタッフと日本人スタッフが一緒に話し合うミーティングを定期的に開催し、意見交換やフィードバックの機会を作ることも大事です。
しっかりとしたサポート体制を作り、
長く働いてもらえる職場環境を整えましょう!
今回のブログでは、介護現場の人手不足解消の一助になる外国人介護人材の採用について、そのメリット・デメリットや、在留資格、注意点についてお話させていただきました。
実際に外国人を採用するには、作成する書類が多かったり、介護技術以外の面でのサポートが必要だったりと、これから外国人介護人材の採用を考えている施設にとっては、少々ハードルが高く感じるかもしれません。
とはいえ、監理団体や登録支援機構などからサポートを受けることができますので、そういったところも適宜活用しながら動くことで、スムーズに就労開始まで進めることが可能です。
もし、外国人介護人材の採用に関して不安や疑問がございましたら、ぜひ弊社までご相談ください。専門家が丁寧にサポートさせていただき、安心して採用を進められるようお手伝いいたします。
著者について