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営業時間 平日:8:30-17:30
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公開日 2025/02/19
みなさん、こんにちは!
社会保険労務士法人エンジーでは、介護施設や障害福祉サービスを運営している事業者様に向けて、様々な情報を発信しています。
今回は放課後等デイサービスの「5領域」に焦点を絞って解説していきたいと思います。
令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定において、厚生労働省は放課後等デイサービスにおいて「5領域」の全てを含めた総合的な支援を提供することを運営基準として位置付けました。詳細は令和6年2月6日に「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」から公表された報酬改定の概要で確認ができます。
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について | 厚生労働省
今回のこの改定からは、厚生労働省が5領域を重視する姿勢が見て取れます。
ここでいう「5領域」とは、以下の5つの要素を指しています。
これらの領域は、障害のある子どもたちが自立した生活を送るために必要な基礎能力を育むことを目的に設定されています。これらをバランス良く支援することが、子どもたちの可能性を最大限に引き出すことに繋がるのです。
具体的には、「5領域」に基づく支援プログラムを策定しそれを公表することが事業者には求められ、未実施の場合には報酬の減算も適用されることとなりました。減算は所定単位数の15%となっています。
ただし、この減算措置には1年間の経過措置が設けられており、令和7年4月1日から適用されますので、減算を回避するためには、今年度中に支援プログラムを作成し、公表することが必要になります。
利用者である子どもたちや保護者の方々にとってみれば、より質の高い支援が提供されることとなり、放課後等デイサービスの意義がより深まるものになることが期待されます。
また、こども家庭庁が発表している「放課後等デイサービスの5領域に関するガイドライン(令和6年7月)」では、具体的な支援内容や取り組み事例が示されています。これから支援計画を策定する事業者さんは、このガイドラインも参考にされると良いでしょう。
この「5領域」は、単なる理論で終わる指針ではなく、現場での支援内容を具体化し、子どもたちの生活や成長に繋がる支援を行う実践的な指針なのです。
前置きが長くなってしまいましたが、以下では、5領域の基礎知識から具体的な支援方法まで、詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
「5領域」とは、放課後等デイサービスにおける支援内容を体系化したもので、障害のある子どもたちが自立した生活を送るために必要なスキルや力を、5つの観点に分け支援する考え方になります。
「5領域」は具体的には次の5つの領域を指しています。
たとえば、食事や着替えといった日常生活の基本動作を自分で行えるようになるための支援や、自分の気持ちを表現する力を育む支援を行うことで、子どもたちが地域社会の中で自立した生活を送れるようにするためのものです。
この「5領域」は、ただ発達支援を行うだけではなく、個々の子どもが将来直面するであろう課題に対応できるだけの力を養うための基盤を形づくるためのものとも言えますね。
ではなぜ厚生労働省は
5領域を重視するのか。
その背景について考えてみましょう。
こうした流れが生まれた背景には、子どもたちが安心して成長し、地域の中で自分らしく暮らしていくための「基礎づくり」が大切だと考えられているからです。
障害のある子どもは発達段階や得意分野が一人ひとり異なるため、健康や生活能力だけではなく、コミュニケーションや社会性を含めた複数の観点から支援を行う必要があります。
さらに、5領域を柱とした総合的な支援は、日常生活の困りごとを減らすだけでなく、将来の進学や就労など、ライフステージの変化に合わせて柔軟にサポートを続けられるというメリットもあります。
子どもたち自身が、自分のできることをしっかり理解し、個性を活かせるようになると、家族や周囲との関係も自然と良い方向へ向かい、お互いが安心して成長を見守ることができるでしょう。
質の高い支援を行うためには5領域すべてを見据えたプログラムが欠かせなくなっており、事業所にとっても子どもたちの将来を見据えた支援を提供することが、大切な役割となっているのです。
ここでは、5領域それぞれについて、どういった成果が期待されるのかについて具体的に掘り下げて見ていきましょう。
健康・生活の支援は、子どもたちが自立した生活を送る上で基本的な身の回りのことをこなせるようになることを目指します。例えば、食事の準備や後片付け、着替え、洗濯といった基本的な生活スキルですね。
こういったスキルは、子どもたちが日常生活の中で困難を感じる場面を減らすことに繋がりますし、健康管理の視点からも重要です。
運動・感覚の領域では、体を動かす活動や感覚刺激を通じて身体能力を育成します。
例えば、ストレッチや軽いスポーツ、遊具を活用した遊びを通じて体力を高める支援が行われます。
感覚統合療法といって、視覚、聴覚、触覚などの複数の感覚を組み合わせ、体のコントロールを自然にできるよう促すといった療育もあります。
これらは身体的な成長だけでなく、不安やストレスの軽減にも寄与するという効果もあります。
認知・行動の支援は、集中力や判断力、問題解決能力を向上させるための取り組みです。
計画性や論理的思考を養う支援が一般的で、そのほかにも感情のコントロールに関するプログラムもこの領域に含まれます。
言語・コミュニケーション能力は、他者との交流をスムーズにするための重要なスキルです。
この領域では、話す力、聞く力、そして自分の考えを言葉で表現する力を伸ばす支援を想定しています。
この領域は、子どもたちが他者と良好な関係を築き、地域社会に溶け込む力を育てることがねらいです。
グループ活動や地域イベントへの参加を通じて、協調性や共感力を養い、他者と協力する力を学びます。また、異なる背景を持つ人々と交流する機会を提供することで、多様な価値観を理解する力も育まれます。
このように5領域はそれぞれが
独立しているのではなく相互に関連しながら
子どもたちの成長を支えています。
実際の放課後等デイサービスでは、5領域に基づいた具体的な支援プログラムが提供されています。
ここでは、各領域で行われる具体的なプログラム例とあわせて解説していきます。
「健康・生活」の支援では日常生活で必要なスキルの習得が想定されていることから、簡単な料理作りを体験するプログラムが行われたりします。
こうした経験を通じて、子どもたちは「自分で身の回りのことをする」ための意欲やスキルを身につけていきます。
体操やスポーツは定期的に行われ、体力やバランス感覚の向上に役立つことが期待されます。
子どもたちも楽しく取り組むことができるようにするというのがとても重要ですね。そうすることで、心身のストレス軽減にも繋がり、リラックスした状態で他の活動にも参加しやすくなります。
課題解決型ゲームやパズルを通じて、論理的思考や集中力を養います。
こういった支援により、子どもたちは段階的に「考えて行動する」姿勢を身につけ、日常生活での困難な場面でも自らをコントロールしやすくなります。
言語・コミュニケーションの支援では、言葉を使った表現力を伸ばすプログラムが中心です。絵本の読み聞かせや、発表会の場を設けることで、子どもたちは自分の考えや気持ちを他者に伝える練習を行います。
さらに、ディスカッションや質疑応答の活動も取り入れることで、相手の話をしっかり聞き取るスキルについても育むことが可能となり、聞く力と伝える力の両面からコミュニケーション能力を磨くことができます。
「人間関係・社会性」の支援では、多様な人と関わる機会を増やし、チームワークや共感力を育てる取り組みを行います。
こうした経験を重ねることで、子どもたちは自分以外の人とのコミュニケーションの取り方を学び、社会生活へよりスムーズに適応する素地を築きます。
これらのプログラム例は、5領域の支援を現場でどのように実践しているかを示すあくまで一例です。5領域の視点を取り入れることで、子どもたちは様々な角度からバランスよく成長していくことができるのです。
放課後等デイサービスの5領域の支援は、
子どもたちの未来を支える重要な役割を
果たしているということがわかっていただけたかと思います。
それぞれの領域に基づいた支援は、子どもたちが自分たちらしく自立して生きていけるようにするためのものです。最後に5領域に基づく支援の効果について振り返りましょう。
子どもたちは日常生活で必要な基本的なスキルを習得し身の回りのことを自分でできるようにするためのものでした。
子どもたち自身が自立に向けての一歩を踏み出すきっかけとなり、自己肯定感を高めることにも繋がります。
運動や感覚統合を取り入れたプログラムは、子どもたちの身体的な成長を促進しバランス感覚や体力が向上します。ただ、それだけでなく、身体を動かす楽しさを体験することでストレス解消にも繋がり、心身ともに健康的な体づくりをすることが可能になります。
協調性や共感力といった子どもたちが他者と関わる力を高めることで、子どもたちは学校や地域社会の中で他者と円滑に交流できるようになります。そのことが本人たちの自信にも繋がり社会参加に踏み出す勇気を与えることにもなります。
これらの支援は子どもたちの成長を包括的にサポートするものですが、事業者にとっても、こうした支援の重要性を理解しプログラムを提供することが、子どもたちやご家族の満足度を高める上でも重要なポイントとなるでしょう。
今回は、令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定において評価基準として位置付けられた「放課後等デイサービスにおける5領域」について、その中身について解説してきました。
「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」という5つの領域に基づいた支援を総合的に行うことで、子どもたちは日常生活や社会生活で必要なスキルを身につけ、自己肯定感や社会性を育むことができるのです。
放課後等デイサービスを運営する事業者のみなさまにとっても、5領域の理解と実践は、サービスの質を高める重要な要素となります。
当法人でも、5領域に基づく支援プログラムの立案や運営改善のご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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