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住宅型有料老人ホーム・サ高住を経営する皆様は注意が必要かもしれません

著者:enjie_me-admin

住宅型有料老人ホーム・サ高住を経営する皆様は注意が必要かもしれません

公開日 2020/04/01

全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議の開催がコロナウィルスの関係で中止に

毎年2月末~3月末に開催される「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(通称:担当課長会議)」。

日本中の保険者の介護保険を担当する部署の課長が東京に集い、次年度の厚生労働省全体方針について確認する定例会議なのですが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で会自体は中止となり、資料共有のみに留まる形になりました。

その中から特にサ高住や住宅型有料老人ホームを経営されている皆様に関連が深いであろうトピックスを一つピックアップし、お伝えしてまいります。

住宅型有料老人ホーム・サ高住に関し、国が憂慮しているポイントとは

では、早速、中身の確認に移ってまいりましょう。下

記は、厚生労働省 総務課 介護保険指導室 により提出された資料からの抜粋です。

住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった高齢者向け住まい(以下「高齢者向け集合住宅」という。)は、高齢者の多様な住まいのニーズの受け皿として重要な役割を果たしている一方で、併設する介護事業所から過不足のないサービスが提供されているかどうかといった様々な課題も指摘されている

このため、平成 30 年度予算において、これらの事業所に対する重点的な実地指導が推進されるよう、体制整備を支援する「高齢者向け集合住宅関連事業所指導強化推進事業」を創設し、実施している。

令和2年度においては、集合住宅関連事業所への実地指導の実施回数が多い自治体について、実施要綱を一部改正し、補助上限額の見直しを行うこととしているので、本事業の積極的な活用について検討をお願いしたい

〔事業概要〕

  • 高齢者向け集合住宅の入居者に介護サービスを提供している事業所に対して重点的に実地指導を行う場合に、それらに要する経費を補助
  • 事業の全部もしくは一部を指定都道府県事務受託法人又は指定市町村事務受託法人へ委託可能
  • 補助基準額は、1自治体あたり次の表のとおり実地指導を行う集合住宅関連事業所数ごとの上限とし、予算の範囲内で交付するものとする。

ここ数年の間、住宅型有料老人ホームやサ高住を経営されている全国の介護経営者様より、「今まで何も指摘を受けていなかったのに、突然、監査のような厳しい雰囲気で行政が実地指導にやってきた」等のお話をうかがう機会が格段に増えてきていたのですが、その背景には恐らく上記「高齢者向け集合住宅関連事業所指導強化推進事業」の創設があったと推測され、今回の補助額積み増しにより、この動きはさらに加速してくるのではないかと思われます。

ちなみに簡単におさらいしておきますと、本事業が創設されるに至った経緯・きっかけとしては、平成29年に大阪府福祉部高齢介護室が主催した「高齢者住まいの質の向上に関する検討部会」において明らかにされた下記データが発端となっている、と考えられます。

 

※出典:第1回 高齢者住まいの質の向上に関する検討部会(参考資料)

 

上記数値を確認する限り、大阪府内の住宅型有料老人ホーム・サ高住においては各要介護度別にみても「区分限度支給額に対する利用割合」が相当高いことがうかがえます(大阪府に限った話ではないと思われますが)。

ちなみに当時、比較対象として掲げられていたのが、厚生労働省が介護給費費分科会内で示した下記データ「要介護度別の支給限度額と平均的な利用率」です。

※出典:第145回介護給付費分科会(平成29年8月23日開催)

 

両データを比較すると、明らかに大きな差が生じていることが分かります。

住宅型有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅はあくまで「居住+在宅サービスの外付け」であり、その意味では在宅サービス全般との間でこれだけの差が生じていることについては、「囲い込みではないか」との疑念が生まれてしまうことも致し方ないことかもしれません。

勿論、区分限度支給額というのは「必要な場合、ここまでは介護保険を活用しても良い」という限度額を表しているものであり、かつ、利用割合が高いことについて一概に「高い」「低い」と議論を行うのはケアマネジメントの観点からしても不適切な部分があるものと思われます。

ただ、上記大阪府が示したデータの母数が「4,787名(住宅型有料老人ホームの入居者数)」「4,019名(サービス付高齢者向け住宅の入居者数)」(いずれも「高齢者住まいの質の向上に関する検討部会」資料より引用)であったことを考えると、上記数値は決して「特例」「外れ値」と捉えることは難しく、やはり、行政の目が懐疑に向かうことは止むを得ない、と言いますか、当然のことなのかもしれません。

(下記は比較しやすいように、上記両データを基に弊社が作成した「区分限度支給額に対する利用割合」一覧表です。)

 

対象事業者は早めに準備・対応を

以上、「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(2020年3月10日公表)」資料より特に気になった点について採り上げ、簡単に解説させていただきました。

住宅型有料老人ホームやサ高住を経営されている介護経営者様は数多くいらっしゃるかと思います。

その中でも「ここ数年、実地指導が来ていない」という方については、2020年4月以降の早期に実地指導が入る可能性も考えられなくはなく、然るべき対応を進めておく必要がある、と言えるのではないでしょうか。

 

※引用元資料はこちら

全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken_129155.html

第1回 高齢者住まいの質の向上に関する検討部会(参考資料)(大阪府福祉部高齢介護室)

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/18262/00260831/siryo1-2.pdf

区分限度支給額(参考資料)(第145回介護給付費分科会)

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000175118.pdf

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