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社会保険労務士法人エンジー
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公開日 2024/04/02
今回は指定申請をご検討中の方で、創業融資を受ける際に知っておいて損はないことを纏めていきます。
創業時の融資は平均で約800万円程度が相場とされていますが、実際に受けられる融資額は業種や自己資金の額、事業計画などによって変動します。
日本政策金融公庫の創業融資の実例では、1件当たりの平均融資額が約500万円となっており、多くの場合、300万円から500万円程度が一般的な融資額となります。
また、日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合、『新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方』という要件があります。
融資を受ける際には、上記の自己資金要件だけでなく、事業計画や返済計画が重要視されるため、これらの数字をもとに具体的な資金計画を立てる必要があります。
融資の審査は申込者の返済能力や事業の持続可能性を評価するため、実際の運転資金や設備投資の必要性をしっかりと計算し、適切な融資額を申し込むことが肝要です。
融資を受ける際に、保証人や担保、更には保証協会付きを条件にされることがあります。
しかし自身の財産や経営者個人としての生活を守っていくということを考えると、無担保/無保証人の融資を受けることが重要です。
その為には以下の方針をとり、銀行交渉を進めていくことをお勧めします。
プロパー融資とは、保証協会を付けない融資のことを言います。
保証協会は、銀行と借入を申し込む中小企業との間に入って、中小企業が債務不履行に陥ったときにその中業企業の代わりに銀行へ代わりに債務を弁済する(代位弁済)機能を持つ組織です。
弁済後は、銀行への返済はなくなるものの、今度は代位弁済した保証協会への支払いが始まります。
銀行からの借入時に保証協会付きの融資という条件のもと、融資を受けると銀行への返済(元金+利息)に加えて、保証協会への保証料も併せて支払わなければなりません。
更に保証料は、原則として借入時に一括で支払わなければならないので負担も大きいです。
経営者保証ガイドラインとは、中小企業の経営者が自らの事業に関連する個人保証を減らすための指針です。
これは、金融機関が経営者に無理な保証を求めないようにし、経営者が自己の財産を守りながら事業を継続できるようにするためのものです。
国として経営者保証に頼らない貸し付けを推進するように銀行側にこのようなガイドラインを遵守させる働きかけをしていますが、借り手には以下のような取り組みが求められています。
イ)正確かつ丁寧に信頼性の高い情報を開示・説明する。
ロ)事業計画・業績見通し等に変動が生じた場合には、”自発的に適時適切な情報開示”に努める。
その他にも法人の代表者やそのご家族が法人に対して貸付をしていない等の要件があります。
保証人を付けないようにという指針があるにもかかわらず、現実としてまだまだ経営者保証を借入の際に要求されるようです。
銀行交渉の際に保証人を求められたらまずは、ガイドラインに従って交渉を進めながら保証人を付けずに融資を受けるにはどうすればいいか?と銀行側に投げかけ、そしてその条件を引き出すことが重要です。
引き出す際には、金利の上乗せや※①ABL、※➁停止条件または※③解除条件付保証契約などを交渉材料にするとよいでしょう。
また、不動産担保を要求された場合も同様の対応に取り組むようにしましょう。
※①ABL:流動資産担保融資のことで、売掛金や棚卸資産を担保としてみなす融資制度
※➁停止条件付保証契約:主たる債務者が特約条項に抵触しない限り保証債務の効力が発生しない契約
※③解除条件付保証契約:主たる債務者が特約条項を充足する場合は保証債務が効力を失う保証契約
資金繰り表は、訪問介護事業所で創業したという前提で解説していきます。
4月に開業し、最初に3,000千円を資本金としてスタートさせました。代表と他2.5名の社員がいます。
資金繰り表は売上がいつ入金されて、支払いがいつあるのかそして、月末の現金残高はどうなる見込みなのかを確認していくものです。
この例だと、4月の売上は5月に入金があり、経費も同様に考えています。
注目すべきは、一番最後の行にある“月末現金残高”です。3,000千円あった残高がみるみる減ってしまい、8月には0になってしまいます。
次に予め4月に4,000千円を借り入れ出来ていた場合を見ていきます。
同様の売上、経費水準でも現金残高を維持することができています。
信用力がない状況で融資金額を引き上げるには、こうした説得材料を入念に用意することが非常に重要です。
また、融資を受けずとも半年程度は事業が継続できるようなビジネスモデルであることを示したうえで融資を受けたいと伝えるとなお良いでしょう。
<おすすめの融資制度>
融資制度 | 新創業融資制度 | マル経融資 |
対象者 |
|
1年以上事業を営んでおり、商工会議所の会員になってから6カ月以上の方 |
融資上限額 | 3000万円(うち運転資金1500万円) |
2000万円 |
返済期間 | 概ね7年以内 | 設備資金10年(据置期間2年) 運転資金 7年(据置期間1年) |
利率 | 概ね2~3% | 概ね1~2% |
担保/保証人 | 原則不要 | 原則不要 |
訪問介護事業所を開業しようとする場合、利用者さんを受け入れるような施設を構える必要がないので、最初に必要な資金はそれほど多くありません。
そのような場合、日本政策金融公庫から受けられる新創業融資制度やマル経融資が使い勝手が良いです。
特にマル経融資は、商工会もしくは商工会議所の会員になってから6カ月以上かつ1年以上事業を営んでいる必要があるものの、低金利で担保や保証人も必要ないのでお勧めです。
その他、ハードルは高くなりますが、市中の銀行からの借入も可能な場合もあります。
弊社では、介護や障害福祉サービス事業の融資に強い提携税理士をご紹介頂くこともできます。
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