みなさん、こんにちは!
社会保険労務士法人エンジーでは、介護施設や障害福祉サービスを運営している事業者様に向けて、様々な情報を発信しています。
本記事では、令和7年度版「職場環境等要件」を中心に、計画書・実績報告書でどのように「取り組み実績」を書けばよいかを整理しました。
「どの項目を選べばいいの?」「どこまで具体的に書けば審査で通るの?」といったお悩みに、区分別のポイントと例文でお答えします。
訪問介護事業所を含め、規模の小さな事業所でも真似しやすい内容を意識していますので、自事業所の状況に合わせてアレンジしながらご活用ください。
目次
- 「職場環境等要件」とは?
- 毎年少しずつ変わる「職場環境等要件」
- 令和7年度、最新版の内容について
- 審査で見られているポイント
- 訪問介護事業所ならではの「職場環境等要件」の書き方のコツ
- 提出前にチェック!確認項目
- まとめ
- お問い合わせ
「職場環境等要件」とは?
「職場環境等要件」は、月額賃金改善要件(お給料の上げ方に関するルール)、キャリアパス要件(昇給・研修・キャリアアップの仕組み)に並び、介護職員等処遇改善加算をとるために満たすべき3つの要件のうちの1つです。
このうち「職場環境等要件」は、有給休暇の取りやすさ、研修・資格取得支援、シフトの工夫、健康管理、ICT導入、生産性向上、やりがいづくりなど、「お給料以外の働きやすさ」に関する取り組みをチェックするためのものです。
「せっかく加算でお給料が上がっても、現場の負担が重すぎて人材が定着しない」といった状況を防ぐために、「職場環境等要件」が置かれています。
毎年少しずつ変わる「職場環境等要件」
「職場環境等要件」は、毎年まったく別物になるわけではありませんが、少しずつ中身やルールが見直され続けている分野です。
そのため、前年の計画書・実績報告書をそのまま流用してしまうと、気付かないうちに「今年の要件とズレていた…」ということも起こりがちです。
まずは、以下のリストを参考に、年度ごとに変更されやすい部分と、ほとんど変わらない基本の考え方を分けて押さえておくと、令和7年度版の職場環境等要件が理解しやすくなります。
年度ごとに変更されやすい部分
| ① 要件の整理のされ方・項目数 | 令和7年度からは、職場環境等要件は「6つの区分×合計28項目」という形で整理されています。今後も、項目の表現や整理の仕方が微調整されることがあります。 |
| ② 各区分で「何項目以上やればよいか」というルール | 新加算Ⅰ・Ⅱでは、各区分ごとに2つ以上、うち「生産性向上」の区分だけは3つ以上(しかも一部は必須)など、区分ごとに求められる取組数が決められています。 「何個以上必要か」は通知やQ&Aで見直されることがあるため、その年のルールを必ず確認する必要があります。 |
| ③ 重点的に見てほしいテーマ | 令和7年度以降は、とくに ・生産性向上(業務改善・働き方の見直し) ・ICTや介護ソフトの導入 ・業務改善委員会など「体制づくり」 といったテーマが強く意識されています。 「有給休暇の取得促進」や「研修の充実」といった従来からある取組も大事ですが、働きやすさ+業務の効率化をセットで語れるかが、今年のポイントです。 |
| ④ 様式や記入の細かなルール | 計画書(別紙様式2)・実績報告書(別紙様式3)は、 ・使うファイル(年度版のエクセル ・記入欄の名前や並び などが、毎年度、少しずつ変わることがあります。 古い年度の様式を使ってしまうと受理されないケースもあるため、必ず最新の年度版をダウンロードして使うようにしましょう。 |
| ⑤ 経過措置・猶予期間の取り扱い | キャリアパス要件など一部の要件では、対応を猶予する「経過措置」の期限が、令和8年3月まで延長されるなど、年度によって取扱いが変わります。 「今年はどこまで整えていればよいのか?」という点は、必ず最新情報を確認する必要がある部分です。 |
一方で、次のような、職場環境等要件に対する基本的な考え方は、毎年ほとんど内容が変わりません。
基本的な考え方
| ①処遇改善加算の 3つの要件のうちの1つとしての位置づけ | 処遇改善加算は ・月額賃金改善要件 ・キャリアパス要件 ・職場環境等要件 の3本柱で成り立っており、この構造自体は変わりません。 |
| ② 「賃金以外の働きやすさ」を示すための要件であること | 職場環境等要件は、 ・有給休暇の取りやすさ ・研修や資格取得の支援 ・両立支援、健康管理、生産性向上、 やりがいづくり など、お金以外の部分でどれだけ職場環境を良くしているかを示すための要件、という位置づけは変わりません。 |
| ④ 求められているのは“きれいな文章”ではなく“実際の取組” | 事例集の文章をそのまま写すのではなく、自分の事業所で本当にやっていること、これから確実にやることを、要件に合わせて整理することが大前提である点は変わりません。 |
| ⑤ 「見える化要件」で公表する、という考え方 | 上位区分(Ⅰ・Ⅱ)を算定するときは、選んだ職場環境等要件の取組をホームページ等で公表する「見える化要件」も、基本的な考え方として続いています。 |
このように、職場環境等要件における
基本的な考え方をおさえておくことで、
制度が変わっても
冷静に対応することができます。
令和7年度、最新版の内容について
令和7年度の「職場環境等要件」は、6つのテーマ(区分)×合計28項目に整理されました。加算区分ごとに、次のように必要な項目数が決まっています。
加算Ⅰ・Ⅱ:各区分ごとに2つ以上、
うち「生産性向上」の区分は3つ以上(⑰または⑱は必須)
加算Ⅲ・Ⅳ:各区分ごとに1つ以上、「生産性向上」の区分は2つ以上
ここでは、6つのテーマそれぞれが「どんな考え方で」「どんな取組をイメージしているのか」を、整理していきます。
| ① 入職促進に向けた取組 | 理念・方針の明文化/採用説明会・見学会/職場体験の受入れ/異業種・未経験者も応募しやすい求人 など |
| ② 資質の向上やキャリアアップに向けた支援 | 資格取得支援(受講料補助・試験前休暇)/外部・内部研修/キャリアパス・人事評価との連動/OJT・メンター制度 など |
| ③ 両立支援・多様な働き方の推進 | 育児・介護休業や看護休暇/短時間勤務・シフト調整/有給休暇の取得促進/パートから正社員への転換 など |
| ④ 腰痛を含む心身の健康管理 | 相談窓口の設置/健康診断・ストレスチェック/腰痛予防・介護技術研修/福祉用具の活用/事故・トラブル対応マニュアル など |
| ⑤ 生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組 | 業務改善委員会/業務時間・負担の見える化/マニュアル・記録様式の見直し/介護ソフト・タブレット等ICT導入/介護助手の活用 など |
| ⑥ やりがい・働きがいの醸成 | ミーティングでの意見・提案の反映/地域交流・行事参加/理念・ケア方針の共有/感謝の声・好事例の共有や表彰など |
この区分は、「ここで働いていて良かった」と
思えるかどうかに直結します。
小さな工夫でも、継続して行うことで大きな差につながる部分です。
令和7年度の職場環境等要件は、人員の定着や教育、業務の効率化、やりがいを感じられるような働き方を、6つの区分で網羅的に整理したものだと考えることができます。生産性向上への取り組みは必須であり、国も特に力を入れている部分です。
エンジーでは処遇改善加算職場環境改善コンサルに関するサポートも可能です。お困りの方は、ぜひチェックしてみてください。

審査で見られているポイント
職場環境等要件の計画書・実績報告書では、「それらしいことを書いてあればOK」というわけではなく、審査側が必ずチェックしているポイントがあります。
現場では、実際の取組はしっかり行っているのにも関わらず、その内容が書類にうまく反映されず、結果として評価されにくくなってしまうケースも少なくありません。
そうした《もったいない状態》を防ぐために、審査を意識した書き方のポイントを整理しました。
① 計画書と実績報告書のストーリーがつながっているか
まず何より大事なのが、計画書(別紙様式2)と実績報告書(別紙様式3)の一貫性です。よくあるのが、計画書では「○○を実施する」と書いていたのに、実績報告書では、それとは別の取組だけを詳しく書いてしまうといったパターンです。
審査側が見ているのは、次の2点です。
・本当に、その要件に沿った取組を行ったのか
・計画どおりに、または計画に準じて実施されたといえるか
計画と実績がつながっていないと「結局、何をどこまでやったのか」が伝わらず、評価がしにくくなってしまいます。
計画書:
「ICT機器を導入し、介護記録の電子化を図る。」
実績報告書(OK例):
「令和7年7月よりICT機器(タブレット端末)を導入し、介護ソフトを用いて訪問介護記録を電子化した。訪問介護職員10名全員がタブレットで記録を行うよう運用を変更し、紙での記録は原則廃止した。」
このように、計画書の文言を骨組みにして、実績を肉付けするイメージで書くと、ストーリーが自然につながり、審査側にも「計画 → 実施」の流れが伝わりやすくなります。
② 「誰が・何を・どのくらい」まで書けているか
原則として月45h・年360hが上限となります。
特別条項を付けた場合でも、年720h・複数月平均80h(単月100h)が絶対上限です。次に多いのが、内容が抽象的すぎるという問題です。
対象者:誰に
内容:何を
頻度・期間:いつから/どのくらい
成果:どんな変化・効果があったか
最低限、上記のうち2つ以上は入っているかを確認すると、ぐっと具体的になります。
| NG例 | OK例 |
| 資格取得支援制度を導入した。 | 令和7年4月に資格取得支援制度を導入し、介護福祉士・実務者研修を対象として受講料の50%を法人が補助した。令和7年度は5名が制度を利用し、そのうち2名が介護福祉士国家試験に合格した。 |
| ICT機器を導入し、記録業務を効率化した。 | 令和7年7月から訪問介護職員10名にタブレット端末を配布し、介護ソフトでサービス提供記録を入力する運用に変更した。その結果、事務所に戻ってからの紙記録作成が不要となり、職員アンケートでは『1日あたり平均30分程度、記録時間が短縮した』との回答が得られた。 |
③ 要件の文言との対応がはっきりしているか
3つ目は、「この取組は、どの要件を満たすためのものか」が分かる書き方になっているかです。
職場環境等要件には、「ICT機器等の導入による業務負担軽減」、「資格取得支援の充実」「両立支援・多様な働き方の推進」といった具体的な項目名(文言)があります。ところが実務では、要件の文言とズレた内容を書いてしまうことがよくあります。
まず、要件の文言をしっかり読み、「この要件は、何を求めているのか?」を一度噛み砕いて理解したうえで自分たちの取組が文言のどの部分に当てはまるのか、どんな点で要件を満たしているのかを確認するようにしましょう。
要件:
「ICT機器等の導入による業務負担軽減」
実績報告の書き方(OK例):
職員の記録業務の負担軽減を目的として、ICT機器(タブレット端末)と介護ソフトを導入し、サービス提供記録を電子化した。
このように、要件のキーワードである「ICT機器」「業務負担軽減」といった言葉を文章の中にしっかり入れておくと、審査側も「どの要件に対応した取組か」を認識しやすくなります。
訪問介護事業所ならではの「職場環境等要件」の書き方のコツ
訪問介護は、通所系サービスと違って 「事業所」と「利用者宅」が物理的に離れていることが大きな特徴です。ヘルパーさん同士が同じ時間・同じ場所にそろうことも少なく、情報共有やフォローのやり方にも工夫が必要になります。
この特性をふまえると、職場環境等要件では、次のような取組を書いていくと効果的です。
・訪問介護計画書・サービス提供記録のテンプレート統一によるミス削減
→ 生産性向上(業務の標準化・記録の効率化)の区分に該当
・ヘルパー同士が顔を合わせるミーティングや交流の機会の確保
→ やりがい・働きがいの醸成の区分に該当
・移動時間の平準化やシフト希望の反映のルールづくり
→ 両立支援・多様な働き方の推進の区分に該当
同じ「職場環境等要件」でも、訪問介護ならではの工夫だと分かるように書くことで、取組の意義が伝わりやすくなります。
訪問介護事業所が職場環境等要件を書くときは、
次の点を意識すると、
ぐっと伝わりやすくなります。
「この取組は、どの要件に当てはまるのか」をはっきりさせる
例)訪問介護計画書の標準化を行った場合
生産性向上:「業務手順・記録様式の標準化によるミス削減・作業時間の短縮」
やりがい・働きがい:
「誰が見ても分かる計画書にすることで、支援の質や安心感が高まる」
このように、どの区分・どの項目に紐づく取組なのかを意識して文章に落とし込むと、審査側も判断しやすくなります。
訪問介護ならではの背景事情を一言添える
ただ「標準化しました」と書くだけでなく、例えば「○○な利用者(認知症・医療的ケアなど)への訪問が多く、ヘルパーごとに記載の仕方が違うことで情報共有に時間がかかっていたため、計画書の標準化に取り組んだ。」といった具合に、「なぜその取組が必要だったのか」という現場の課題や事情を一言添えると、取組の必然性が伝わります。
テンプレートやマニュアルなど“成果物”を具体的に書く
訪問介護計画書の新しいテンプレート、記載マニュアル、チェックリスト など、実際に作成したものがあれば「○○のマニュアルを作成し、職員に配布した」と書いておくと、取組の実体がイメージしやすくなります。可能であれば、「研修で説明した」「内部点検をしてミスが減った」など、その後の効果までセットで示せるとベストです。
提出前にチェック!確認項目
計画書・実績報告書が一通り書けたあと、そのまま提出してしまう前に、ぜひ、抜け漏れがないか、今一度立ち止まって確認しておきましょう。
内容そのものはきちんと書けていたとしても、番号のつけ間違いや、表現の曖昧さがあると、審査側に正しく伝わりません。
以下のポイントを、提出前に確認するようにしてください。
□ 計画書の文章をベースに、実績報告書では時制を「実施した」に変えている
□ 「誰が」「何を」「どのくらい」「いつからいつまで」「どんな効果」が、少なくとも2つ以上書かれている
□ 単なるスローガンではなく、具体的な行動や仕組みが書かれている
□ 「単発のイベント」ではなく、継続性のある取組になっている
□ 事例集にある取組をコピペしただけでなく、自事業所の実情に合わせてアレンジしている
□ 事実と異なる誇張や、今後実施予定の内容を実施済みとして記載していない
まとめ
この記事では、職場環境等要件の全体像と最新のポイントを押さえつつ、計画書・実績報告書で審査に伝わりやすく書くためのコツを具体例つきで確認してきました。
特に「計画と実績のストーリーをそろえること」と「誰が・何を・どのくらい・どんな効果まで書くこと」は、どの事業所にも共通する重要な視点です。
訪問介護のように現場の特性がはっきりしているサービスでは、その特徴(移動・単独訪問・情報共有の難しさ等)を踏まえた取組として書いていくことで、より説得力のある内容になります。
社会保険労務士法人エンジーでは、次のようなサポートも行うことができます。
・職場環境等要件(6区分・28項目)の整理と、「自事業所ならどの項目を選ぶべきか」の検討支援
・処遇改善加算の計画書(別紙様式2)・実績報告書(別紙様式3)のドラフト作成支援・事前チェック
・訪問介護計画書やサービス提供記録のテンプレート標準化、マニュアル作成などの生産性向上支援
・キャリアパス要件・賃金規程・就業規則との整合性を踏まえたトータルな制度設計のご相談
・見える化要件に対応したホームページ等での公表文案づくり、職員向け説明会・研修資料の作成支援
「一度専門家の目で確認してほしい」「自分たちの取組をどう文章に落とし込めばいいか悩んでいる」といった場合は、ぜひお気軽にご相談ください
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この記事は厚生労働省の情報を基に作成しています。
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