月別アーカイブ 1月 2020

著者:enjie

介護施設・福祉施設の人手不足による倒産。採用に苦労しない仕組みとは?

介護施設が慢性的な人手不足であり、抜本的な対策を講じないとますます採用が難しくなり経営が苦しくなります。

介護事業所にとって現在の最大の経営課題は人材募集と定着ではないでしょうか。

弊社では50社近い介護事業所・障害福祉事業所のお客様とお付き合いさせていただいておりますが、社長様の一番の悩みは人手不足です。

スタッフが退職するので人材募集しても、ほとんど応募がない。

仕方なく人材紹介会社を活用して採用したが、すぐに辞めてしまい、高額な費用だけ払わせられた・・・といったような内容が非常に多いです。

しかし、中には、スタッフが辞めない(スタッフが辞めないことが最大の人手不足対策です!)、また、必要なときはスタッフが知り合いを紹介してくれたりする事業所もあります。

一方で、スタッフが辞め、新たな採用もできなくて、やむ無く倒産される事業所があることも事実です。

上記データは介護事業所の倒産件数の推移です。

廃業したり身売りしたりしたケースはこの何倍にも及ぶと言われております。

また、人手不足は今後年を追うごとに増していきます。

では、今後の人事戦略を考えるにあたり、どのような事業所になるべきなのでしょうか。

人材募集の方法やツールといったテクニックだけでは通用しない状況になっています。

まずは、今後の労働力人口の予測を見てみましょう。

 

15歳~64歳の2020年時点での人口6,404万人であり、2030年には5,880万円となり、

524万人減少することとなります。

また、厚生労働省によると、介護職員の必要数は2025年で34万人不足すると予測されております。

 

労働力人口が減少し、かつ介護職員必要数が増えていきますので、人材採用は今後ますます厳しくなり、恐らく倒産する件数も増えていくと思われます。

つぎに、転職を考えるきっかけをみてみましょう。

下記は『エン転職』年ユーザーアンケート調査結果です。

大きく分けると、

  • 「給与が低い」「残業・休日出勤など高速時間が長い」といった労働条件的なもの
  • 「やりがい・達成感を感じない」「評価・人事制度に不満があった」「自分の成長が止まった・成長感がない」といった、仕事へのやりがいやキャリアアップ的なもの
  • 「企業の将来性に疑問を感じた」「業界・企業の将来性が不安だった」といった会社の将来性的なもの
  • 「人間関係が悪かった」「社風や風土が合わなかった」といった社風に関するもの

に分けられます。

これらから分かるように、退職者の穴埋めのために多額の費用を使って新規採用をしても、上記のような、経営的な根本を見直さない限りスタッフの定着は難しく、またすぐに辞めてしまうという悪循環の繰り返しとなってしまいます。

そして最悪の場合倒産となってしまうかもしれません。

よい人材は貴社のどのような内容を見て応募しようとするのでしょうか?

理想を言えば、労働条件がよく、仕事へのやりがいがあり、キャリアアップもでき、会社の将来性に関する明確なビジョンがあり、人間関係が良好な会社に入りたいと誰もが思っているということです。

一言でいえば、誰もがホワイト企業に採用されたいのです。

誰もブラック企業には採用されたくありません。

ただ、人によって価値観が異なるため、自社が目指す会社が理想かどうかは一概には言えません。

どんなに努力しても、すべての人にとってのホワイト企業になることは不可能ということです。

従って、貴社が目指すホワイト企業になるように戦略的に体制を整えて、その理想に共感していただける方を採用すれば、すぐに辞めてしまうリスクが減ります。

しかし、すぐにそのようなホワイトな事業所になることは、費用やマンパワー面等によって難しいことは誰でも容易に理解できますし、労働者側にしても、そのようなホワイトな事業所が多く存在しているなんて誰も思ってはおりません。

 

では、よい人材は、貴社のどのような内容を見て応募しようとするのでしょうか?

 

それは、貴社が理想とする会社像が明確であり、その理想像に向かって、実際に動いていることが見えている事業所です。

また、介護業界はまだブラックだと思っている人が多いので、それを払しょくする努力も必要です。

ホワイトな会社になって(またはホワイトな会社になるような具体的計画をたててどんどん外部に発信しましょう。

下記は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(新入社員意識調査アンケート結果)による、新入社員が、会社を選んだ基準です。

 

当然ですが、会社を辞めた理由の裏返しですね。

では、どのようにして「雰囲気がよい」とか「仕事のやりがいがある」などが分かるのでしょうか。

中小企業の場合、効果的にこのようなことが把握できる内容が外部発信されていないため、なかなか募集しても人が来ない、ということは容易に推測できますね。

 

外部に発信するには、①発信する媒体と②発信する内容が必要です。

今の時代、発信する媒体はたくさんあります。

自社ホームページ、ブログ、LINE、facebook、instagramなど、その気になればいくらでもあります。

問題は、発信する内容がない、あったとしても、どのように具体化すればよいか分からない、ということではないでしょうか。

 

従って、前述しましたとおり、貴社のホワイト企業とする会社像を明確にして、その理想像に向かって、実際に動いていることを具体的に見せることが重要なのです。

ひいては社員の採用につながっていきます。

一口にホワイト企業と言ってもどうすればよいのか?

貴社にとってホワイトな会社の定義と明確なゴールを決めましょう。

と言われても、具体的にどうすればよいか分からないですよね。

そこで、ホワイト企業認定マークの取得を目指されてはいかがでしょうか?

このマークを取得することで、貴社はブラック企業ではないということはを明確に発信することができます。

ホワイト企業認定とは?

企業のホワイト化を総合的に評価する国内唯一の認定制度です。

“次世代に残すべき素晴らしい企業”を発見し、ホワイト企業認定によって取り組みを評価・表彰する仕組みです。

人々がそれぞれの個性と特徴を活かしながら、「家族に入社を勧めたい次世代に残していきたい」企業を指し、具体的には下記の3要素を併せ持っている企業です。

  • 長期にわたって健全な経営を続けられる優れたビジネスを行う企業
  • 従業員が案して働き続けられるために優れた社内統治をおこなう企業
  • 時代のニーズに合わせた従業員の働きがい(エンゲージメント)を高く保つ企業

そのため、下記の6つの項目において一定以上の取り組みをされている企業が認定されます。

 

現在(2019年4月時点)で144社が認定されております。

また、実際、ホワイト企業認定企業になったことで、2017年の新卒エントリー100名が2019年は505名になった事例がございます。

ホワイト企業認定の仕組み

ホワイト企業認定をされますと1年後の更新時に15万円の費用がかかり、以後同様となります。

ただ、実際、前述した6つの項目すべてにおいて、一定以上の点数がとれる体制をすぐに整えられる企業はほとんどありません。

そのため、現在、ホワイト企業認定取得に向けて取り組んでいる事業様向けに、チャレンジホワイト企業マークを利用することができます。

名刺やHPでの掲載や社内での改善活動のPR、また求人広告などにご利用いただくことができます。

また、コンサルティング契約がされている場合には、認定や更新に関する費用は必要ありません。

また、ホワイト企業認定に向けてチャレンジしていることを具体的に外部発信することで、よりよい人材を採用することができる事業所になると思われます。

弊社でお手伝いできること

弊社は、社会保険労務士事務所として20年近く活動しており、10人程度で組織的に組織的に経営している会社です。

専門職ではありますが、個人の能力に負うのではなく、組織としての能力でお客様にサービスを提供することをモットーとしております。

また、近年は、社会保険手続きや労務相談、助成金だけでなく、人事評価制度、経営コンサルティングに力を入れております。

そのコンサルティングのひとつとして、ホワイト財団による認定コンサルタントとして活動しております。

貴社の問題点をヒアリングし、貴社が「次世代に残すべき素晴らしい企業=ホワイト企業」になるべく具体的な提案をし、全力でサポート致します。

弊社のホワイト認定コンサルタントにおける想いは、下記URLを参照下さい。

https://jws-japan.or.jp/consultants/%e7%a6%8f%e7%94%b0%e3%80%80%e5%89%9b%e5%b9%b4/

 

著者:enjie

人が辞めない介護施設・福祉施設の特徴

今年1月7日に、東京商工リサーチから2019年「老人福祉・介護事業」倒産状況

というレポートが発表されました。

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200107_01.html

 

すでにお読みになられた方もおられるとは思いますが、思ったことを記載いたします。

お客様の中でも人材に困っていない事業所がございます。

なぜなんだろうと考えてみました。

 

原因の最大は、賃金が安いことです。

ただ、処遇改善加算Ⅰを受給すると相当な金額になります。

これらの金額を、優秀な人材の採用と定着につながるように活用すべきです。

人材が定着している事業所は、どのような人に幾ら支給するのかという基準をしっかり決めて、スタッフに公表しております。

もちろん、通常の賃金と処遇改善加算分は明確に区別できるように、項目を分けていることはいうまでもありません。

また、このレポートにもありますが、二極化が進んでいることは実感としてあります。

 

上記は処遇改善加算の配分のお話しをいたしましたが、実際に事業所の制度として実施するにはそれだけではすみません。

賃金表を作成し、人事考課表を作成し、面談をしっかりと定期的におこなう必要があります。

貴社の身の丈にあった人事制度(キャリアアッププラン)が必要ということになります。

また、人材が定着している事業所の特徴としては、研修をしっかり行っております。

 

社風としましては、管理者(または社長)とスタッフの距離感が近い事業所です。

コミュニケーションがしっかりとれているので、スタッフの不満や懸念事項が早めに把握できるのでしょうね。

その他、福利厚生や研修計画、経営計画をスタッフと一緒に(または意見を取り入れて)作成したりもしております。

やり方は事業所ごとに様々ですが、結局のところ、スタッフ定着には王道を進むしかないということですね。

 

レポートの中で、“小・零細規模の倒産が大半を占めた。”とあります。

介護業界だけでなく、どの業界でも規模が小さくなるほど人材採用が難しくなっております。やはり、応募者としては、大きな会社で安定的に働きたいのでしょうね。

分かる気がします。

 

では、小・零細規模事業所はどうすればよいのでしょうか。

人材広告を出しても恐らく応募はほとんどないですよね。

実際そのような規模で人材に困ってない事業所は、現在のスタッフが新たなスタッフを紹介してくれているのです。

従って、紹介したくなる事業所にならなければならないということです。

弊社は、スタッフが定着する組織を作るお手伝いをさせていただくことができます。

ご興味がございましたらご連絡下さい。

著者:enjie

「介護保険制度の見直しに関する意見(素案)」のポイントをあらためて確認しておきましょう

2019年12月16日「介護保険制の見直しに関する意見」が上梓

2019年12月16日の介護保険部会にて素案が提示された、「介護保険制の見直しに関する意見(素案)」(以下、「本資料」という)。本部会では2021年度介護保険法改正・報酬改定に向けた論点整理、及び視点の提示が行われ、弊社としてもその議論内容を都度、皆様にも共有させいただいてまいりました。

今回はあらためて介護事業経営にとって重要だと思われるポイント、加えて現時点で認識しておいた方が良いと思われる内容を抜粋し、皆様にお伝えさせていただきたく思います。

「介護保険制の見直しに関する意見」重要テーマ・ポイントの確認

では、早速、中身を確認してまいりましょう。先ずは一つ目の論点についてです。

【ポイントその1:介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)】

  • 2040 年頃にはいわゆる団塊ジュニア世代が高齢者となり、高齢者人口がピークを迎える一方、現役世代が急激に減少する。このような中で社会の活力を維持、 向上しつつ「全世代型社会保障」を実現していくためには、高齢者をはじめとする意欲のある方々が社会で役割を持って活躍できるよう、多様な就労・社会参加 ができる環境整備を進めることが必要である。その前提として、特に予防・健康づくりを強化して健康寿命の延伸を図ることが求められる。

今後、いわゆる「生産年齢人口」が各地で減少する中、この“就労”“社会参加”というキーワードは「職員側」「ご利用者側」双方の視点において我々の業界においても大変大きな意味を持ってくるものと思われます。

この“就労”“社会参加”というキーワードを何らか自社に取り組んでいくことが出来ないか、経営者の皆様には頭に置いておいていただきたく思います。

続いて、2点目のポイントに移ります

【ポイントその2:一般介護予防事業等の推進】

  •  一般介護予防事業等による介護予防の取組を推進していくことが必要である。特に住民主体の通いの場の取組について、一層推進していくことが必要である。このため、通いの場の類型化等を進めるとともに、ポイント付与や有償ボランティアの推進等、参加促進を図るための取組を進めることが重要である。
  •  一般介護予防事業を効果的・効率的に実施するため、地域ケア会議や短期集中予防サービス、生活支援体制整備事業を始めとする地域支援事業の他事業との連携を進めていくことが重要であり、実態把握とともに、取組事例の周知等により、連携した取組を促していくことが適当である。
  •  通いの場の取組をより効果的・継続的に実施するため、医療等専門職の効果的・効率的な関与を図ることが必要である。医師会や医療機関等との連携事例を把握し自治体に実施方策を示すことが必要である。通いの場に参加しない高齢者への対応が必要である。支援が必要な者を把握し通いの場への参加を含めて必要な支援につなげることも重要である。なお、高齢者の社会参加には通いの場以外にも多様なニーズや方法があることに留意が必要である。

「地域のすべての高齢者との接点をつくり、各々個別に適宜、必要な支援を提供していく」地域包括ケアの要諦の一つとも言えるこのコンセプトを実現していくためにも、「通いの場」の重要性はますます高まることになるでしょう。

また、“町づくりへの貢献”を標榜する事業者にとっても、この領域は中長期的な視座に立って取り組みを検討すべきテーマかもしれません。心に引っ掛かりを覚えられた方は是非、頭に留めておくべき情報かと思います。

続いて、3番目のポイントに移ります。

【ポイントその3:総合事業】

  • 現在、総合事業の対象者が要支援者等に限定されており、要介護認定を受けると、それまで受けていた総合事業のサービスの対象とならなくなる点について、本人の希望を踏まえて地域とのつながりを継続することを可能とする観点から、弾力化を行うことが重要である。その際、認知症など利用者の状態に応じた適切な対応を行うことや、適正な事業規模とすべきことに留意が必要である。
  •  国がサービス価格の上限を定める仕組みについて、市町村が創意工夫を発揮できるようにするため、弾力化を行うことが重要である。その際、適正な事業規模とするよう留意が必要である。また、引き続き基準となる単価設定は必要との意見があることに留意が必要である。
  •  各市町村の事業規模については、その弾力化を求める意見がある一方、上限の枠内で効率的な事業実施を行うべきとの意見もある点に留意が必要である。

“朗報”という理解も成立しますが、一方では、「要介護1・2の方々の地域移行」の前哨戦、という見方も出来るかと思います。

また、サービス単価や事業規模の弾力化が図られない中で、どこまで比較的高単価(総合事業と比べて)な要介護者の受け入れが可能になるか等、周辺環境の動きにも注視しておく必要があるでしょう。

では、4番目のポイントに移ります。

【ポイントその4:ケアマネジメント】

  •  高齢者が地域とのつながりを保ちながら生活を継続していくためには、医療や介護に加え、インフォーマルサービスも含めた多様な生活支援が包括的に提供されることが重要であり、インフォーマルサービスも盛り込まれたケアプランの作成を推進していくことが必要である。
  •  適切なケアマネジメントを実現するため、ケアマネジャーの処遇の改善等を通じた質の高いケアマネジャーの安定的な確保や、事務負担軽減等を通じたケアマネジャーが力を発揮できる環境の整備を図ることが必要である。ケアマネジャー を取り巻く環境や業務の変化を踏まえ、ケアマネジャーに求められる役割を明確化していくことも重要である。

「質の高いケアマネージャーには相応の処遇改善が行われる」是非、そのような好循環を生み出してほしいものです。それでは、5番目のポイントに移ります。

【ポイントその5:地域包括支援センター】

  •  業務負担が大きいとされる介護予防ケアマネジメント業務について、要支援者等に対する適切なケアマネジメントを実現する観点から、外部委託は認めつつ、引き続き地域包括支援センターが担うことが必要である。外部委託を行いやすい環境の整備を進めることが重要である。介護報酬上の対応についても検討が必要である。

「外部委託を行いやすい環境の整備」是非、予防ケアマネジメントにかかる労力と整合性のつく単価設定についても検討いただきたいものです。それでは、6番目のポイントに移ります。

【ポイントその6:保険者機能強化推進交付金】

  • 評価指標について、成果指標の拡大や配分基準のメリハリを強化することが必要である。また、判断基準を明確化するなど実態を適切に評価できる客観的・具体的な指標とすることが重要である。
  •  要介護認定率などのアウトカム評価は、プロセス評価とも適切に組み合わせながら行うことが必要である。現場で必要な介護サービスが受けられなくならないよう配慮が必要である
  •  調整交付金は保険者の責めによらない年齢構成等の要因による水準格差を調整するものであり、その趣旨を踏まえた形での議論が必要との意見、保険者機能の強化は、既に導入されている保険者機能強化推進交付金の活用で行っていくことが適切との意見があった。

「通いの場への高齢者参加率」や「要介護認定基準時間の変化率」「要介護認定者の変化率」等々、今後、具体的な定量実績が計測できるアウトカム指標への配点が高くなったりを含め、成果創出への意欲が向上されるような取り組みが強化されてくるものと思われます。

もしそうなった場合、自治体の要介護認定マネジメントはどのように変化するのか・しないのか、、、、予め自保険者の目線に立った対応予測を立てておいた方が宜しい情報かと思われます。

それでは、7番目のポイントに移ります。

【ポイントその7:データ利活用の推進】

  •  データの収集にあたっては、事業者等提供側に、質の向上や事業所へのメリット等効果を示し理解を得て普及を図っていくことや、負担軽減を図ることも重要である。VISIT や CHASE については、当面は制度的な支援により協力事業所・施設を増やすことでデータの充実を図り、データの提出については事業所等から任意で求めることが適当である。

過去には「情報収集に協力してくれる事業者には相応のメリット(加算etc)が準備されるのでは?」という話も出てきています。

基本指標としてADL関連はバーセル・インデックス、認知症関連はバイタリティ・インデックスやDBD13等が活用されるとのこと、事業者としても早めにそれら評価指標に慣れておいた方が宜しいかもしれません。

続いて、8番目のポイントに移ります。

【ポイントその8:高齢者住まいの在り方】

  •  有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の質を確保するため、都道府県に届け出られた住宅型有料老人ホームに関する情報について市町村に通知し、市町村がこれらを把握できるようにするなど、行政による現状把握と関与の強化を図ることが適当である。未届けの有料老人ホームへの対応や、介護サービス利用 の適正化を進めることも重要である。利用者の適正な事業者の選択につなげるため、事業者に係る情報公表の取組を充実させることが重要である。地域支援事業の介護相談員等も活用しながら「外部の目」を入れる取組を進めることも重要で ある。地域に開かれた透明性のある運営につなげることも重要である。

サービス付高齢者向け住宅には「外部の目」が入る仕組みが既に整備されていますが、住宅型有料老人ホームにはまだそこまでの仕組み・体制が整備されていないのが現状です。

高齢者住宅における、いわゆる“囲い込み”の問題も疑問視される中、特に住宅型有料老人ホーム事業者としては頭に置いておいた方が良い情報かもしれません。

それでは、9番目のポイントに移ります。

【ポイントその9:処遇改善】

  •  介護人材確保のためには、賃金制度の整備を進めることも含め、介護職員の更なる処遇改善を着実に行うことが重要である。

2019年10月にも大きな処遇改善が実施されましたが、更なる拡充施策が展開されるのか、、、注視しておきたいところです。

それでは、10番目のポイントに移ります。

【ポイントその10:ロボット・ICT の活用】

  •  人手不足に対応していくためには、ロボット・ICT の活用が必要である。普及にあたっては仕様や業務の標準化や事業者への支援が必要である。なお、介護サービスの質や安全性の確保に留意することが必要である。

「(普及に向けての)事業者への支援」とは果たしてどのようなものなのか?導入助成金?加算?それとも(ITを促進している企業に対する)認証評価?これからの議論の動向を注視しておく必要があるでしょう。

それでは、11番目のポイントに移ります。

【ポイント11:認知症予防】

  •  認知症の予防について、「通いの場」をはじめ、高齢者の身近な場における認知症予防に資する可能性のある活動を推進することが重要である。
  •  予防については可能な限りエビデンスに基づいて取り組むことが重要であり、予防に関するエビデンスの収集・分析を進めることが必要である。きちんとしたエビデンスを考慮しながら、国民にメッセージを発信していくことが必要である。
  •  予防については短期的な視点ではなく、長期的な予防、啓発、若いうちからの働きかけが必要である。企業における健康経営の推進という観点からも取組が必要である。
  • 「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを 遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味であり、誤った受け止めによって新たな偏見や誤解が生じないよう、取組を進める上で配慮が必要である。
  •  認知症高齢者グループホームについては、地域の中でさらに役割を発揮してもらうため、ユニット数や運営規模の弾力化を進めていくべきとの意見があった。

特に上記下線部分の定義・認識が重要だなぁ、とあらためて感じた次第です。それでは、12番目のポイントに移ります。

【ポイント12:被保険者範囲・受給者範囲】

  •  制度創設以降、被保険者・受給者範囲については、要介護となった理由や年齢の如何に関わらず介護を必要とする全ての人にサービスの給付を行い、併せて保険料を負担する層を拡大する「制度の普遍化」を目指すべきか、「高齢者の介護保険」を維持するかを中心に議論が行われてきた。
  •  被保険者範囲・受給者範囲については、介護保険制度創設時の考え方は現時点においても合理性があり、基本的には現行の仕組みを維持すべきとの意見、第2号被保険者の対象年齢を引き下げることについては若年層は子育て等に係る負担があること、受益と負担の関係性が希薄であることから反対との意見、被保険者範囲・受給者範囲の拡大の議論の前に給付や利用者負担の在り方について適切に見直すことが先決との意見があった。
  •  その一方で、将来的には、被保険者範囲を 40 歳未満の方にも拡大し介護の普遍化を図っていくべきとの意見、60 歳代後半の方の就業率や要介護認定率も勘案し 第1号被保険者の年齢を引き上げる議論も必要との意見、65 歳以上の就業者の増加や 40 歳以上の生産年齢人口の減少を踏まえ、中長期的な見通しを踏まえて方向性を決めていくことが必要との意見もあり、介護保険を取り巻く状況の変化も踏まえつつ、引き続き検討を行うことが適当である。

大きな枠組みの議論となるため、引き続き、情報を注視していくべき内容かと思われます。

それでは、13番目のポイントに移ります。

【ポイント13:現金給付】

  •  我が国では、介護保険制度創設時より、現金給付を介護保険給付として制度化するか否かについて議論を行ってきた。制度創設時においては、家族介護の固定 化に対する懸念、サービスの普及を妨げることへの懸念、保険財政が拡大するおそれ、介護をする家族には、デイサービスやショートステイなどの在宅サービスの普及により介護の負担軽減を図ることが重要である、といった考え方により、現金給付の導入を行わないこととした。
  •  現金給付については、介護者の介護負担そのものが軽減されるわけではなく、介護離職が増加する可能性もあり、慎重に検討していくことが必要との意見があり、現時点で導入することは適当ではなく、「介護離職ゼロ」に向けた取組や家族支援を進めることが重要である。

この制度が導入されれば非常に画期的だな、と感じる一方、既存の考え方とは相容れない仕組みであることも理解できるところです。

現時点では実現の可能性は極めて低そうな印象ですが、こちらも今後の流れを追いかけてまいりたいと思います。

それでは、14番目のポイントに移ります(こちらは目を通しておく程度で十分かと思われます)。

【ポイント14:要介護認定制度】

  • 平成30年度の有効期間拡大後の有効期間の設定状況や、更新認定後の要介護度の変化状況等を踏まえ、平成30年度に更新認定の有効期間を拡大した際の考え方を参考に、更新認定の二次判定において直前の要介護度と同じ要介護度と判定された者については、有効期間の上限を 36 か月から 48 か月に延長することを可能とすることが必要である。なお、状態が重度化・軽度化した場合の区分変更申請が適切に行われるようにすることも重要である。
  •  認定調査員の要件について、認定調査を指定市町村事務受託法人に委託して実施する場合において、ケアマネジャー以外の保健、医療、福祉に関しての専門的な知識を有している者も実施できることとすることが適当である。認定調査員の質の確保には留意する必要がある。

最後に、15番目のポイントを確認しておきましょう。

【ポイント15:住所地特例】

  •  住所地特例の対象施設と同一市町村にある認知症高齢者グループホームを住所地特例の対象とすることについては、地域密着型サービスは住民のためのサービスであること、現行でも市町村間の協議で他の市町村でのサービス利用が可能で あること、また、制度が複雑になることも踏まえ、現時点においては現行制度を維持することとし、保険者の意見や地域密着型サービスの趣旨を踏まえて引き続き検討することが適当である。
  • なお、住所地特例の対象施設に入所する者が認知症高齢者グループホームに移ると住所地特例がはずれてしまうことについては問題であり、検討が必要との意見、認知症高齢者グループホームは利用を希望する方も多く、住所地特例の対象とすることについて検討が必要との意見もあった。また、今後の人口減少を鑑みれば、基盤整備やサービスの提供について、自治体間で広域的に連携していくことも重要との意見もあった。

「住所地特例対象施設から同一市町村のグループホームに移る場合に限り、例外として住所地特例が適応される」そんな改正案が出される可能性もなくないかもな、と感じた次第です。

タイムリーにキャッチアップしつつも、過度に振り回されないように

以上、今月は「介護保険制度の見直しに関する意見」の内容についてお伝えしました。

この資料により、2021年の法改正・報酬改定へ向けての大きな方向性は概ね示されたと思われます。

今後の手続きとしては、議論は介護給付費分科会へと引き継がれ、より細かな改正法案・改定報酬案に関する審議が展開されることになります。

経営者・幹部の皆様は是非、ご自身でも情報を追いかけていただくと共に、制度の活用は重要である一方、そこにばかり心が奪われ、結果、制度に振り回される、ということがないよう気をつけていただく必要もあるかもしれません。

いずれにせよ2018年の改正・改定へ向け、2020年はさらに具体的な議論が始まります。

我々もしっかりと追いかけ、タイムリーな情報提供を心掛けてまいりますので、引き続きよろしくお願い致します。